【イベントレポート#3】定着率70%!メカ設計者の視点を活かした東洋電装のLychee Redmine運用の工夫

「Lychee Redmine」のユーザー会「Lychee Fun Basket」にて、Lychee Redmineを活用する企業さまから、様々な事例を発表いただきました。

本記事では、東洋電装株式会社のご担当者様よりお話しいただいた、社内でのLychee Redmineの導入と取り組みについて、登壇内容の一部をご紹介いたします。

登壇者・会社プロフィール

東洋電装株式会社ロゴ

会 社 名 :東洋電装株式会社
担当者所属部署:開発本部 技術管理部 技術管理課 上級研究員
事業内容 :自動車・オートバイ・汎用製品の研究・開発・製造・販売
利用プラン:スタンダードプラン

東洋電装様ご登壇の様子

メカ設計者からIT担当へ転身し、
メカ設計者の立場からプロジェクト管理の効率化を考えるように

私は入社以来、ずっとメカ設計を担当していました。主にエンジン車やバイクの始動や制御に関わる部品の設計に携わり、エンジンの回転数を計測するセンサーや、バイクのギアポジションを表示するセンサー等の開発にも取り組んできました。

ある日突然、IT担当への異動が決まり、プロジェクトマネジメントを担うことになったのです。それまで全くIT知識のないメカ設計者だった立場から、プロジェクト管理ツールのLychee Redmineの運用を始めることになったわけです。こうしたなかで、メカ設計者だった経験を活かし、「メカ設計者がどのような点で不便を感じるのか」を理解した上で、運用を進めていくことを意識してきました。

Redmine導入経緯

近年は自動車業界に限らず、あらゆる業界で電子化が急速に進み、ハードウェアとソフトウェアが一体となる流れが加速しています。弊社でも製品の電子化・ソフトウェア化を推進してきましたが、それに伴い、従来に比べて検証項目数が数倍に増えるケースも珍しくなくなってきました。

加えて、取引先や製品の要件に応じて、国際規格への対応も求められるようになっています。このようなビジネス環境の変化に柔軟に対応しながら、「進捗管理の効率化」を図るべく、社内でプロジェクトプランの策定に取り組むことになったのです。

メカ設計の現場では、長年Excelによる独自の進捗管理が行われており、ガントチャートのようなツールは使われていませんでした。
業務の進捗管理や月次の更新作業には一定の手間と時間を要しており、効率化の余地を感じていました。

また、社内の承認フローにおいても手続きに時間がかかる場面があり、業務全体の流れをよりスムーズに進めるための見直しや改善の必要性を意識するようになりました。
さらに、情報共有の在り方についても見直す契機となりました。関係者間のやりとりが個別に行われることが多く、状況の把握に時間を要することもありましたが、共有の仕組みを整えることで、チーム全体の連携をより強化できると感じていました。

こうした課題を解決するために、以下の3つの観点から取り組みをスタートし、より効率的な業務環境の構築を目指しました。

  1. 開発ルールの運用簡素化
  2. 文書の一元管理
  3. ナレッジ共有の仕組み化

弊社では、業務の約7〜8割がメカ設計関連で、主に「メカ」「ソフト」「ハード(基板等)」の3つの要素に分類されます。すべてが新規開発となる場合、量産開始までに500以上の検証項目をクリアすることが、社内の基準として定められています。そこで、「誰が・いつ・何を担当するのか」を明確化するために、開発部門だけでなく各部門にリーダーを配置し、それぞれ必要な書類や検証項目の作成・管理を担う体制を構築しました。

しかし、このやり方が本当に効率的だったかは、正直なところ疑問が残りました。特にプロジェクト管理の面では、Excelのタブを多用することで管理が煩雑になり、必要な情報が埋もれてしまうことがよくあったのです。

こうした背景から、直感的でシンプルなUIを持ち、部門をまたいで情報を集約・共有しやすいプロジェクト管理ツールの必要性を感じるようになり、Lychee Redmineの導入を検討し、そこから実際の活用が始まりました。

基本運用の確立に注力したLychee Redmine導入1年目

Redmine運用開始で実施したこと(1年目)

ここからLychee Redmineの導入と運用に関する取り組みをご紹介します。
導入1年目は、まず基本的な運用体制を整えることに注力しました。

Lychee Redmineの社内マニュアルは、オンライン上のマニュアル情報を参考にしつつ、自社の運用ルールに最適化した内容で作成し、最終的には約40ページにおよぶボリュームとなりました。また、ツール導入の必要性を丁寧に伝えるため、約400人の開発部門メンバー全員を対象に、1回1時間の説明会を年間でおよそ100回にわたり実施しました。

加えて、操作講習会も開催。チケットの作成からクローズまでの一連の操作を画面を共有しながら学ぶハンズオン形式で、1回2時間の講習を約150回実施しました。結果として、ルールの定着を図るだけでなく、私自身もLychee Redmineの理解を深めることができました。

説明会や講習会を通じて、ツールの有用性は一定理解されましたが、一方で「操作に慣れるまでのハードルが高い」「業務が忙しくて活用が進まない」といった声も多く、初年度の定着率は33%に留まりました。
とはいえ、「現行のやり方で問題はない」と考える層へのアプローチや、ツール操作に慣れるまでの時間をどう短縮するかなど、次年度以降に向けて取り組むべき課題が明確になった1年でもありました。

導入2年目は活用範囲の拡大と組織全体への定着を図った

Redmine運用開始で実施したこと(2年目)

2年目は、開発部門に加えて営業など他部門との連携を強化し、Lychee Redmineの活用範囲の拡大に努めました。

社内に浸透させるためには、上層部の理解と支持が大きな鍵になると考え、まずはトップ層の賛同を得ることに取り組みました。そのうえ、各部門のリーダーに対しても説明会を実施し、Lychee Redmine活用の重要性を丁寧に伝えていきました。

こうしたアプローチを重ねることで活用が徐々に広がっていき、組織全体での定着が進みました。特に、研究テーマや将来の展望に関するプロジェクト活動にもLychee Redmineを活用するようになったことで、海外の関係者とのやりとりがスムーズになり、「会議記録や変更対応が、時間に縛られずに確認できる点が非常に便利」といったポジティブなフィードバックも得られました。

従来、紙ベースで運用していた業務のデジタル化が進んだことで、検証項目における確認作業の効率も大きく向上し、定着率は45%まで上昇し、大きな成果となりました。

しかし同時に、想定以上に開発部門以外からも「Lychee Redmineを使いたい」という声が多く寄せられ、嬉しいことではありますが、今後どのように利用範囲を広げていくかを再検討する必要が出てきました。

国内外への展開と新たな課題を発見した導入3年目

Redmine運用開始で実施したこと(3年目)

3年目は、国内7つの工場と海外拠点にもLychee Redmine導入の働きかけを行い、定着率は56%まで向上しました。また、利用状況を把握するため、社内アンケートも実施しました。回答率は50%程度に留まりましたが、「プロジェクトに関与していないので使用しない」「今までのやり方で仕事ができているので変えたくない」といった意見が寄せられ、あらためて導入にあたっての問題点が明確になりました。

これまでの取り組みを通じて、Lychee Redmineを活用することで関連部門との連携がスムーズになり、プロジェクトの進捗が把握しやすくなったという成果は得られました。
ただし一部では、「Lychee Redmineは新規開発向けのツール」という印象が残っており、ルールに沿った使い方が浸透していない現状も明らかになりました。

こうした背景から、ExcelとLychee Redmineの使い分けや管理方法を改めて見直し、新入社員やトレーニーでも使いやすいように、操作方法やシステムの説明をできるだけ簡潔に分かりやすいものにする必要性を感じました。

Lychee Redmine導入4年目で社内の定着率は70%に向上

Redmine運用開始で実施したこと(4年目)

4年目は、アンケート結果をもとに部門ごとの課題に対応しながら、さらなる定着を目指しました。
そのなかで見えてきたのは、ボトムアップのアプローチが大事である一方で、「役職者の関心と理解」がツール浸透に大きく影響するということです。実際に、役職者の意識が高いプロジェクトでは、開発案件に関わらず日々の業務管理にもLychee Redmineを活用する傾向が見られました。一方で、役職者の関心が薄いプロジェクトでは、活用がなかなか進まない現状が明らかになりました。

現在、定着率は70%にまで拡大しています。一方で、一部の部門ではまだ十分に活用が進んでいない状況も見られます。今後は、部門ごとの運用状況や活用が進みにくい要因を丁寧に見極めながら、さらなる改善と活用促進に取り組んでいきたいと考えています。

活動結果(まとめ)

これまでの取り組みを振り返ると、Lychee Redmineの利用率は年々着実に向上し、メカ設計を中心とする当社においてもツールの活用が現実的かつ有益であることが確認できました。特に、ツールの定着を図るうえでは、丁寧な説明とフォローはもちろん、上司やリーダーが積極的に活用する姿勢が、現場の浸透に大きく影響します。引き続き、これらの取り組みを通じて、部門全体の業務効率化とプロジェクト管理の質の向上に取り組んでまいります。

また、導入後のツール利用における抵抗感を減らすために、トラッカーやワークフローなど、初期設定はできるだけシンプルにすることが重要です。まずはミニマムな設定で運用を開始し、状況に応じて徐々に機能を拡張していくことで、無理なく定着させることができるでしょう。シンプルな業務であれば、カンバン機能を活用するのも効果的です。視覚的にタスクを把握しやすくなるため、日常業務の効率化にもつながります。

プロジェクト管理ツール
30日無料トライアルをはじめる
  • 多機能ガントチャート/カンバン/バックログ/リソース管理/CCPM/レポートなど
  • ・ クレジットカード登録不要
  • ・ 期間終了後も自動課金なし
  • ・ 法人の方のみを対象

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。