株式会社アジャイルウェアでは、2020年12月2日(水)に、オンラインイベント「Lychee Redmine ユーザ会2020」を開催、「Lychee Redmine」ユーザー企業様による、様々な事例を発表いただきました。

本記事では、「Redmine」ユーザーのためのコミュニティ「Redmine Free Salon」を主催する“ゆきあ”様の発表“「Redmine」の運用成功率の方程式と「Lychee Redmine」の関係性”をご紹介します。

ゆきあ様 プロフィール

求人情報サービスを提供する会社のシステム担当。2019年10月くらいからRedmineが急に面白くなった人。Redmine利用者が自由におしゃべり出来る、Redmine Free Salonを主催。noteでもRedmineに関する記事を発信中。https://note.com/eastwest

note記事:
・Redmine運用成功率の方程式 (ゆきあ様による「Lyhcee Redmineユーザー会」振返り記事
・Redmine Free Salon ご利用案内 ~運営原則や行動規範、利用開始方法など〜
・Redmineをどうも好きになれない人のための、20%の基礎を抑えれば、80%位の業務に対応できると気がついた長話。
・タスク管理ツールにやたら詳しいミルクボーイ

プロフィール

「Lychee Redmine」はあなたにとってなぜ必要か?

ご存知の通り「Redmine」は15年以上の長い歴史があるオープンソースソフトウェアです。様々なプロジェクトや組織で使われており、タスク管理ツールとしては、おそらく一番有名ではないでしょうか?ですが、

人気がある=「Redmine」は簡単ということではありません。

「Redmine」を使いこなしたいが難しい!という初心者ユーザーは、過去の私のように『「Lychee Redmine」のような有料プラグインさえ使えば、翌日から「Redmine」運用に成功するはず!』と思いがちです。でも、そこで必要なのは「Redmine」そのものを使う“基礎体力”です。

Redmineが難しいと感じるのにLycheeを使うって、ピクニックに酸素ボンベを持ち込むのと同じだと思う。

登山に例えると、「Redmine」という山に登るための酸素ボンベが「Lychee Redmine」です。Redmine山には、簡単に山頂に到達できるロープウェーはありません。

山に登る準備ができている人、“基礎体力”がある人だけが、酸素ボンベを付けてさらに高く遠くへ行けるのです。では、その“基礎体力”とは何でしょうか?

 

Redmine」の運用成功率の方程式とは?

漠然とした“基礎体力”について整理し、私なりの方程式にしたものがこちらです。

Redmineの運用成功率=(信用貯金力×業務設計力×Redmineの理解度)×技術力
信用貯金力: 仲間の数やレベル、やるき、組織、立場、上司、決済権
業務設計力: 業務に対する理解度、プロセスの再構築や最適化。
Redmineの理解度: Redmineの基本的な仕組みや考え方の理解
技術力: Web、サーバ、プログラムなどの技術理解と実践力

この方程式を職場での事例に適用してみましょう。

Redmineの運用成功率= (信用貯金力 × 業務設計力 × Redmineの理解度) × 技術力

一つ目は、職場のリーダー(Redmine未経験)の例です。変数それぞれの想定は以下の通り

・仲間はいないけど、やる気と決裁権がある(0.8)
・業務理解はバッチリだぜ(1)
・でもRedmineは分からん。(0.1)
・技術系の専門職ではない(1以上なので1)

成功率はわずか8%という計算結果です。Remineの理解度の低さが成功率を引き下げていますね。

二つ目の例、転職してきたエンジニアですが、Redmineが得意で技術力もあるとして、このような想定になりました。
・信用貯金は無いけど、採用されている訳なので一定度の期待はある(0.5)
・業務は基本的な流れとかは分かるけど、知らん事の方が多い(0.3)
・Redmineの理解度はバッチリだぜ!(1)
・サーバの設定は余裕だし、検証用の環境作るのも苦では無いし、そもそもDockerとか使って環境構築作業そのものを効率化すればいいんでないの?(5)

信用貯金や業務理解が低くても、成功率は75%と高い結果です。Redmine運用成功に必要な“基礎体力”とは、私にとってこのようなイメージです。もちろん、この方程式は個人や職場によって変数も係数も異なるでしょう。ご自身の方程式を思いついた方は、ぜひ教えてください。

「Lychee Redmine」が補ってくれること

それでは、「Lychee Redmine」のプラグインや機能は、方程式の変数「信用貯金力」「業務設計力」「Redmineの理解度」「技術力」のどれを補っているのでしょうか?私の独断でプロットしてみました(下図参照)。

「業務設計力」や「技術力」の補完については、以前から「Lyhee Redmine」の機能として定評があります。さらに、最近は、これまで空白地帯だった“信用貯金を稼ぎやすく”する新機能開発に力を入れているようです。

ですが、この図で注目したいのは、「Redmineの理解度」を補うプロダクトがない(のではないか?)ということです。やはり、「Redmine」の理解度をあげるには、ロープウェーのような近道はないのです。

Redmineの理解度をあげる方法
では、「Redmine」の理解度が高いとはどんな状態が理想で、どうすれば理解度があげられるのでしょうか?

まず、理想の状態は、“トラッカー・ロール・ワークフローの設定に迷わない”ことだと、私は思っています。

目指すべき理想の状態とは?

例題

例題として、「Redmine」で利用部門の上長が承認したチケットのみを完了出来るようにしたい時、回答例A・Bのような選択肢がすぐに思いつき、枠内の応用問題(トラッカーは共通で、プロジェクトごとに関係者が・・・)もスラスラと回答できる状態、これは理想的です。

こんな同僚がいたら頼もしいですが、そんな人は多くはないでしょう。

回答例

目指すべき理想の姿になるためには、何事も修行が必要ですよね。私がおすすめする「Redmine」修行は、以下の3つです。

① 一人で修行せず、仲間を見つける。出来れば師匠を見つける。

「Redmine」はオープンソースプロダクトなので関わり方・使い方が無数にあります。また、前提となる業務経験も人により違うため、同じ用語、同じアプローチでも解決法がバラバラなことが多いです。

となると、理想の師匠は“「Redmine」使いの職場の先輩”ということになりますが、職場の「Redmine」で練習するのは、運用管理者に嫌がられます。管理者権限を新参者に渡すというのは、家の鍵を子どもに渡すのと同じような感覚で、とても怖いことなのです。

そんな時は、外の世界に話を聞きに行きましょう。「Redmine」のユーザーコミュニティは非常に活発で、SNSからイベントまで充実しています。私が運営するslackのワークスペース「Redmine Free Salon」もおすすめです。

あなたのRedmine仲間はどこにいるの?

②「Redmine」でなければダメな理由を見つける

私にとっての「Redmine」でなければダメな理由、他のツールではダメな理由は、『ワークフロー機能、つまり権限や承認による、組織的な統制の設計自由度が高いこと』でした。

③ 最後は体で覚える

端的にいうと「Redmine」の設定の数をこなすことです。これを繰り返していると、業務フローを「Redmine」に設定しているつもりが、「Redmine」が業務フローの曖昧なところを教えてくれる状態になります。

まとめ:「Redmine」は面白い!

「Redmine」は簡単なツールではありません。そのため、運用成功率をあげるには、自分に何が足りないかを見極めること、特に「Redmine」の理解度をあげることがとても重要です。「Redmine」の理解度があがると、ツール運用だけでなく自分の業務の効率化や改善にも繋がります。その面白さに夢中になった私も含めた多くの人達が、「Redmine」を盛り上げているのだと思います。

「Lychee Redmine」だけでなく「Redmine」の普及活動も行っているアジャイルウェアさんには感謝しています!これからもよろしくお願いします。

参加者からご質問:「管理者権限を渡すのは、家の鍵を渡すようで不安という点に大いに共感しました。管理者権限を渡すタイミングはどのように判断していますか」

ゆきあ様ご回答:「トラッカー、ワークフロー、ロールをどのように設定したいかをチケットで管理させてみて、その内容を見ることで理解度を確認しています。目指す設定の通りに実現できるようなったことを確認してから、管理者権限を渡すようにしています」

 

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