プロジェクト管理を勉強すると、一度くらいはEVM(Earned Value Management)というキーワードは聞いたことがあるかもしれません。

EVMは、計画値(PV)、出来高(EV)、実績値(AC)の積み上げにより、プロジェクトが計画した通りに進んでいるか管理・監視する手法です。出来高管理システムとも言われます。

このEVMは、しっかり運用できると非常に強力です。僕も過去のプロジェクトで実際に運用したことがありましたが、特に重宝したのはEVとACでした。この2つの数字を把握できるだけで、プロジェクトの状況は大分見えやすかったです。

「じゃあ、次のプロジェクトではEVM導入しよう!」

と思い立ったとして、身近にあるエクセルで導入してみようとたら、様々な問題に直面しかなりの確率で挫折します。紆余曲折があり、最後は報告のために前日に慌てて作って体裁を整えるだけ、そんな状態におちいってしまいます。

僕がそうでした。報告のために時間をかけて、プロジェクト管理という本来の目的からかけ離れて。

実はエクセルを使わなくても、EVMでの管理は可能です。そしてエクセルで上手くいかない挫折ポイントも解消されます。

今回は、EVMを使ったプロジェクト管理にエクセルを使用する際の挫折ポイントとエクセル以外での管理方法について紹介していきます。

プロジェクト管理にEVMを導入するメリット

そもそも、プロジェクト管理にEVMを導入するメリットとは何でしょうか。普段の開発では、作業やタスクの予定や実績はWBS(Work Breakdown Structure)やタスク管理ツールなどで管理する方が多いかなと思います。

WBSやタスク管理ツールは、予定と実績の工数(金額)を管理しやすく、短い期間での開発であれば特に問題はありません。しかし、開発期間が長期間になればなるほど予定と実績の管理だけではプロジェクトの状況は見えにくくなります。

EVMをプロジェクト管理に導入するメリットは、出来高(EV)があること、これが積み上がることによりプロジェクト全体の進捗率がわかるようになり、「プロジェクトの状況を見やすくできる」点です。

通常のWBSやタスク管理ツールだけでなく、あえてEVMを導入するメリットはここにあると思います。

また、EVMでは計画値(PV)と実績値(AC)で工数・金額が超過しているか、下回っているかが分かります。また、出来高(EV)と計画値(PV)を比較することにより、案件の状況が分かってきます。

例えば、この図ではPVとEVはいい感じに差異もなく進捗してきてわますが、ACは常にPVとEVよりも上回っています。これは、計画に対して生産性が低くなっている(予定よりも作業に時間がかかっている)ことが分かります。

プロジェクトマネージャーであれば、この事実に対して生産性を向上させる手を打たないといけないし、このままで改善しないなら、予算の見直しが必要になります。

EVMはこのようにビジュアル的にやるべきポイントが一目で分かるのが非常にありがたいって思うし、簡単に導入でいればプロジェクトマネージャーにとっては強力なツールになりえます。

EVMのプロジェクト管理をエクセルで行う挫折のポイント

では、こんなにEVMには導入するメリットがあるのに、色々なプロジェクトで浸透しないのか。

原因はその人が置かれている環境によっても色々あると思いますが、僕の経験上エクセルで頑張って管理しようとするのが大きな要因かなって思います。

僕が考えるエクセルによる挫折ポイントは3つあります。

仕組みを作るのが面倒

エクセルでEVMのグラフを作ろうとすると、予定や実績を積み上げるためWBSとかに予定と実績、進捗率を記入する必要があるので、そのためのシートを作成する必要があります。で、そこから、日ベース(場合によっては週ベース)で集計を行い、EVMのグラフに反映させる。

この段取りだけでも、「うっ」ってなりますよね。

入力するのが面倒

計画段階では、各作業の計画値を設定。基本的には作業、タスクにかかる工数、時間を入力するかと思います。そして、実際に作業に入ると実績の入力。しかもエクセルだと、毎回エクセルを開いて自分の作業を見つけて。。。。実績の工数と進捗率を入力。結構面倒なんですよね。この作業って、1日なら簡単だけど、毎日、毎日続けると結構面倒です。

しかも、EVMを導入するようなプロジェクトなので、それなりの人数がいます。そんな人達が同時に入力をしないといけないって結構大変ですよね。当然エクセルの共有化とか入力時間を整理するとかしますが、でも、その制御自体が大変です。

運用するのが面倒

運用面も結構大変です。実際に運用するなら、日々の入力状況の確認、定期的に入力されている数字の確認、進捗報告を行う際のレポート作成など、プロジェクトマネージャーにとって頭の痛い作業があります。

大規模なプロジェクトであれば、PMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)の方々が、サポートしてくれるかもしれませんが、そもそもこれらの作業を行うのにそれなりの時間と労力がかかっていることには違いがないです。

日々の入力状況の確認は、僕も過去に経験しましたが、かなり大変です。プロジェクトの状況によって、入力ができる人、できない人がいて、そもそも入力しない人もいます。結構プロジェクトに浸透させるだけでも一苦労ですし、人が多いとエクセルに作業が集中して、夜遅くにしか状況確認が出来なくて、レポートまでいくと夜も更けてくるって話もよくあると思います。

EVMをエクセルで実践するのは結構面倒

以上、3つのポイントを書いていましたが、エクセルでEVMを実践するのは結構大変だったなと思います。正直ベースでは、プロジェクトを通して完遂できたって実感がないです。スミマセン。プロジェクトのどこかで、だらけるんですよね。

EVMをエクセル以外のツールで管理する

と、EVMがエクセルとかで実践しようと思うとかなり大変ってことを書いてきましたが、皆さんはどうでしょうか。僕と似たような経験をしている人って結構いるんじゃないでしょうか。

「LycheeEVM」なら、いままで挙げてきたエクセル管理の面倒なポイントを解消してくれます。「LycheeEVM」「LycheeRedmine」のプラグインの一部になり、Redmineの拡張機能(プラグイン)にあたります。

Redmineは、プロジェクト管理を行ったことのある方はご存知かもしれませんが、無料で提供されているプロジェクト管理ツールです。

「LycheeEVM」はRedmineのタスクに予実を入力するだけで、EVMが実現できてしまいます。プラグインなので、設定に苦労することもなく準備できます。

エクセルへの入力もなく、Redmineのサイトにアクセスして自分のタスクを入力する。なれると結構簡単にできます。あと、他の人の編集を待つ必要もないです。

運用面もRedmineであれば、作業状況はクエリなどでも抽出可能ですし、タスクの一覧でも確認できます。運用にかけるコストも大分押さえることができるかと思います。

「LycheeRedmine」は有料になりますが、様々な拡張機能がありRedmineがさらに使い安くなりEVM管理もできるようになります。エクセルでEVMを頑張って作らなくて済むんですから、かなり有難いですよね。

あと、プロジェクト管理コストと「LycheeRedmine」の導入コストを天秤にかけると意外といい勝負するかもです。

まとめ

プロジェクトマネージャーとしてプロジェクト管理をすると、効率よくプロジェクトの状態とかを把握できないと、結構致命傷になることって結構あるんですよね。

で、僕はプロジェクト管理の方法を調べていったら、WBS、ガントチャートなどに出会い、その後EVMに出会いました。

出会った当時、EVMは本当にすごいと思いました。自分でみても分かり安いし、上位者に対する説明もしやすい。

ですが、実際に運用してみると本当に難しかった。なによりエクセルの限界を感じました。計画値を変えるのも大変、日々の実績を取るのも大変、なによりチーム全体がそれをやろうという気持ち、動機付けするのが大変でした。

「LycheeEVM」はそんな悩みを解消してくれます。課題はRedmineを使う文化が浸透しているかぐらいでしょうか。EVMを手軽に作成できる点では、是非とも皆さんにも使ってもらえればなと、思います。

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