導入の背景と効果
課 題
解決策
効 果
静岡県三島市に本社を置く株式会社ドゥシステム。独立系のソフトハウスとして、 組み込み系・制御系・オープン系・Web系など、幅広い分野のシステムを受託開発している。また、顧客企業のシステムを検証する評価事業も展開。全体で常時60~70のプロジェクトが動いている。
同社は2020年12月に「Lychee Redmine」を導入。部署やチームごとにバラバラだった管理ツールを統一し、プロジェクトに関する詳細なデータを収集した。さらに、ガントチャート機能や自社開発のプラグイン機能などを活用し、各プロジェクトの進捗状況とパフォーマンスを可視化したという。「Lychee Redmine」の導入・活用を推進する取締役の上田信介氏に話を聞いた。
(取材日:2023年10月19日)
当社は開発部と評価部に合計20~30のチームが存在し、常時60~70のプロジェクトが動いています。その部署やチームによって、プロジェクト管理の方法がバラバラでした。その結果、余計な工数が発生したり、状況の悪化を見落としたりしていたんです。
たとえば、スケジュールや品質の管理方法は各プロジェクトのリーダー任せ。Excel、Microsoft Project、Redmineなど、さまざまな管理ツールを使用していました。すると、メンバーが部署やチームを異動する度に、新たなツールの使い方を覚えなければなりません。
仮に同じ管理ツールを使っていたとしても、チームごとに資料のフォーマットや記入項目が異なります。お客様に指定されているチームもあれば、ガントチャートの無料テンプレートを使っているチームもありました。それらに新メンバーが慣れるまで、異動の都度、一人ひとりに1週間くらいかかっていたんです。はじめてプロジェクトリーダーに就く場合、もっと苦労していましたね。
当社は受託開発のビジネスなので、お客様の指定でバラつきが生じるのはやむをえません。実際、同じ開発部や評価部でも、課ごとに異なるお客様を担当しています。また、開発と評価をまとめて受託する場合もあれば、いずれかだけを依頼される場合も。要件定義から入る案件もあれば、基本設計の段階でバトンを受け取る案件もあります。
このような背景があったせいか、業務プロセスの違いも見過ごされていました。そもそも計画を立てずにプロジェクトを始めたり、ラップアップせずに終結させたりするチームがあったんです。各タスクの作業時間や不具合件数などのデータを分析して改善に活かすチームもあれば、データ収集自体をしていないチームもありました。お客様に依存しないはずの「計画」「終結」の工程においても、社内で統一されていなかったわけです。
プロジェクトリーダーの属人的な感覚に頼っていました。実際、週次のリーダー会議では「2~3日遅れています」「不具合が少し増えました」など、口頭であいまいな報告を受けることも。マネージャーがフタを開けてみると、深刻な状況に陥っているケースも散見されました。
その他にも多様な問題が派生的に生じていたので、改めて根本的な課題を整理しました。すると、次の3点に集約できたのです。
根本的な課題
これらの課題を解決するために、統一的なプロジェクト管理ツールの導入を計画しました。それだけで万事解決するわけではありませんが、管理方法や業務プロセスを統一する契機になると考えました。
情報共有の利便性やガントチャートの操作性において、他のツールよりも優れていたからです。
決してExcelが悪いわけじゃないんですよ。ただ、当社がツール統一を検討し始めた2020年においては、少し難がありました。当時のExcelはWebブラウザで共有できません。必要なデータが各チームのファイルサーバーの奥底に保管され、他チームは事実上アクセスできなくなっていました。
その点、Redmineは有力です。Webブラウザで情報を共有できるし、チケット駆動で管理できる。オープンソースなので、将来的にさまざまなプラグインも追加できます。ただ、スケジュール管理に必須のガントチャートが使いづらい。簡単にガントバーの作成や伸縮などができるツールを探した結果、「Lychee Redmine」にたどり着きました。
はい。ロールや権限の設定などの要件を整理したうえで、他のRedmine系ツールも試しました。最終的に差がついたのは、やはりガントチャートの操作性。PDFに出力して、お客様に進捗状況を報告できる点も魅力でしたね。
そのトライアル期間中に管理方法の基本ルールを策定したり、収集すべきデータ項目を整理したりして、業務改革の準備を進めました。そして、2020年12月に「Lychee Redmine」を正式導入。お客様先に常駐している部署などを除き、約150名の社員と協力会社の方々が活用しています。
ユーザーが問い合わせしやすい環境を整えました。具体的には、社内コミュニケーションツール内に「全社共有」というグループを作成。その中の専用窓口で不明点を尋ねると、運用を管轄する情報システム部が直接回答してくれます。
さらに、情報システム部が「Lychee Redmine」におけるプロジェクトの作成を代行。使い方のバラつきを未然に防ぎながら、プロジェクトリーダーの負担を軽減しています。
現場のデータ入力に関しては、半年後くらいです。以前からプロジェクト報告書を作成しているチームは、もともと基礎的なデータを入力していました。その管理ツールがExcelなどから変わっただけなので、すぐに定着しましたね。
一方、報告書自体を作成していないチームにとっては、データ入力の負担が増えることになります。マネージャーにはデータ分析の必要性を説きましたが、すぐには現場へ浸透しません。そこで「まずは作業時間だけでも入力してほしい」と通達。それが習慣化した後、少しずつ入力項目の数を増やしていきました。
つまり、約半年をかけて、プロジェクト管理に必要なデータを収集できるようになったのです。この段階で「プロジェクトに関するデータの収集・分析が足りない」という課題を解決できるメドが立ちました。
業務プロセスの統一に向けた土台は整いました。その一助となったのが、チケットを分類するトラッカー機能です。始まりは「Lychee Redmine」を試験導入していた時期。各チームの業務プロセスをメンバーにヒアリングしたところ、“呼称は違うが同じような工程”が見つかったんです。
たとえば「設計」の第一工程について、あるチームは「基本設計」と呼び、あるチームは「初期設計」と呼んでいました。これらは実質的に同じです。その他に「詳細設計」を「DD」と英語の略称で呼んでいるチームもありました。
そこで各工程の社内呼称を統一して、トラッカーの分類項目を作成。チケットごとに該当する項目を選択してもらい、共通言語を浸透させていきました。それが業務の棚卸しになり、埋もれていたタスクが明らかになったチームもありましたね。
開発プロジェクトにおける管理業務です。発端はチケットが割り当たっていないプロジェクトメンバーを発見したこと。でも、実際は業務に携わっているはずです。よくよく調べてみると、そのメンバーが管理業務を担っているとわかりました。そこで「管理」というトラッカーを追加。その作業時間を集計して、適正な人件費を計上する仕組みに統一しました。
完全には統一できていませんが、大きく前進しました。それはデータにもとづくプロジェクト管理です。当社は課ごとにリーダー会議を開いているのですが、以前は報告項目がバラバラでした。たとえば、ある課ではスケジュールの進捗率を必ず報告しているのに、別の課では報告しない場合があったんです。
管理ツールの統一を契機に、それらの報告項目も統一。共通の指標をもとに各プロジェクトの状況を把握するように変えました。これも「Lychee Redmine」でデータ収集の足並みがそろった結果です。
約150名のユーザーに関しては、すべて「Lychee Redmine」のガントチャートでスケジュールを管理しています。インターフェースがわかりやすいので、Excelからの移行もスムーズ。イナズマ線やマイルストーンの設定など、さまざまな操作が便利になりました。
なにより、ガントチャートとデータが連携できる点がいいですね。ガントバーをクリックすれば、各タスクの作業時間やステータスなどを簡単に編集できます。いちいちチケット詳細画面に移動する必要はありません。
各プロジェクトの進捗状況や重要指標などを可視化する機能です。このパフォーマンス分析システムをもとに、リーダー会議などでモニタリングを行っています。もともとRedmine系のツールを選んだのも、当社独自のプラグインを見据えた判断でした。
バーンダウンチャートや作業負荷の状況など、主要なグラフは「Lychee Redmine」でも可視化できるでしょう。ただ、レビュー指摘件数やステップ数など、私たちが重視する指標も含めて一覧したかったんです。いわば、当社専用のダッシュボードのようなイメージですね。
カスタムフィールド機能で当社独自の分類項目を作成し、詳細な情報を収集しています。この収集項目はトラッカーごとに異なります。 チケットを大きく分類するのがトラッカー、さらに細かく分類する方法としてカスタムフィールドを準備しています。 トラッカーとカスタムフィールドを組み合わせることで工程ごとの入力項目が限られるので、慣れれば入力の負担は重くありません。
各プロジェクトの状況をリアルタイムで可視化できるようになりました。工数・品質・生産性などを定量的に把握できるので、気づかぬ間に状況が深刻化するケースはありません。チームによって温度差はありますが、改善スピードも加速しました。
また、業務効率化にもつながりましたね。これまで管理職やプロジェクトリーダーが費やしていた管理工数を削減できたんです。メンバーが部署やチームを異動した後、新たなツールの使い方を覚える必要もありません。
いまは当社のプラグイン機能を通じて、プロジェクト単位のパフォーマンスを分析しています。この取り組みを発展させて、今後は個人単位のパフォーマンスを分析したい。そうすれば上司の主観に依存せず、客観的なデータをもとにした人事面談や人材育成ができるでしょう。
――ドゥシステム様の取り組みを通じて、プロジェクト管理ツールの導入が管理方法や業務プロセスの統一にも役立つとわかりました。また、独自に開発されたプラグイン機能の活用法も参考になりました。貴重なお話をありがとうございました。
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