インタビューに答えていただいた株式会社ワコム大野様とアジャイルウェア水口
社名
株式会社ワコム 様
事業内容
ブランド製品事業、テクノロジーソリューション事業
利用プラン
ビジネスプラン(ガントチャート、カンバン、工数リソース管理、カスタムフィールド)
電気機器従業員数:1000名〜ビジネスプラン

導入の背景と効果

「Lychee Redmine」を選んだ理由

導入前の課題

導入後の効果

株式会社ワコムはデザインやコンテンツ作成用ペンタブレットのリーディングカンパニーだ。世界150以上の国・地域で事業を展開し、年商は1,000億円を超える。OEMを主体としたテクノロジーソリューション事業部では、スマートフォン、タブレット、デジタル文具など、幅広い分野のメーカーに最先端のデジタルインク・ソリューションを提供している。

同事業部は2017年に「Lychee Redmine」を導入。200件以上の製品量産プロジェクトを多国間で一元管理し、業務効率化を果たした。また、開発プロセスの標準化やプロジェクト横断型の問題解決に「Lychee Redmine」を活用し、競争力強化の足がかりを築いたという。実際、どのように運用しているのだろうか? 同社のプロジェクトマネジメントを主導する大野憲一氏(テクノロジー・プロジェクト・マネジメント Senior Director)に語ってもらった。
(取材日:2023年2月22日)

プロジェクト情報の一元管理を目指してLychee Redmineを導入

属人的な情報管理が混乱を招いていた

組織的なプロジェクト管理の始まりは、8年ほど前にさかのぼります。テクノロジーソリューション事業部にプロジェクトマネジメント専門のグループを立ち上げ、私はそのグループの一員となりました。

当時は40~50件のプロジェクトが動いていたのですが、その運営は各プロジェクトのメンバーや営業担当者まかせ。組織体制もツールも整備されておらず、情報管理に課題を抱えていました。

たとえば、当時のコミュニケーション手段はメールと電話。あとは会議くらいでした。各プロジェクトの情報があちこちに分散しているので、どこに何があるのか、わからなくなるんです。会議の議事録はメールで共有していたので、一人ひとりのメール内に重要事項が埋もれていく。「アレはどうなった?」「ココで何を決めたんだっけ?」といったように、情報の把握自体に時間と労力を費やしていました。

また、一部のプロジェクトでは進捗管理にExcelやPowerPointを使っていました。でも作成者ごとにフォーマットが違うし、複数の類似ファイルに派生しやすい。「この項目はどういう意味?」「どのファイルが最新なの?」といったように、各所で混乱が生じていました。そこで新設された私たちのグループが主導して、プロジェクト管理ツールの導入を検討したのです。

グローバル企業で導入しやすいクラウド環境にひかれ導入を決意

当社が「Lychee Redmine」を選んだ理由は、いくつかあります。ひとつは私自身の経験です。前職で「Redmine」を使っていたので、その拡張機能なら円滑に導入できると考えました。もうひとつはガントチャート機能です。自由自在な日程調整をはじめ、やりたいことがすべてできる点に惹かれました。

そして、クラウドで利用できることが決め手になりました。本質的なプロジェクトマネジメントに集中するために、サーバー管理や運用サポートは任せたい。当グループの海外法人や外部の協力会社など、複数拠点の連携においてもクラウド環境は必須でした。

導入初期の定着には情報集約に徹し、地道に利便性を啓蒙

株式会社ワコム大野様

「Lychee Redmine」を導入したのは2017年です。ただ、立ち上げは苦労しましたね。使い慣れたメールやExcelをメンバーが手ばなさず、なかなか新しいツールに移行してくれなかったからです。

そんな状況で複雑な運用ルールを強制したら、逆効果になりかねません。そこでメッセージをシンプルにして、地道な啓蒙活動を続けました。「Lychee Redmine」を使って仕事をしてください。そうすれば、情報共有や展開ができます――と。

あとは情報の集約に注力して、毎日アクセスする習慣をつけてもらいました。たとえば、大容量のファイルはメールで送りづらいですよね? でも「Lychee Redmine」を使えば、簡単に共有できます。世界中のFAE(技術営業職)に対して「問題が生じたら、画像や動画を入れて共有してほしい」と依頼しました。

情報が集約・整理・共有され、業務効率がアップ

そうやって各プロジェクトの情報が蓄積されると、回路図のような設計書などの基本情報も集まってきます。「プロジェクトのココに行ったら、この情報が必ずある」という状態になると、メンバーが利便性を実感して、ツールの使用頻度が上がる。次第にそんな好循環が生まれて、定着につながりました。いまだに不十分な点もありますが、2019年頃にはそれなりに浸透しましたね。

その後は各プロジェクトの情報が「Lychee Redmine」に集約・整理・共有され、業務効率が上がりました。情報把握や段取りに費やす時間が大幅に短縮されたからです。仕様の定義からタスク終了までの流れも各チケットに集約されているので、全メンバーが本来の仕事に集中できつつあります。

また、当事業部のプロジェクトでは、日本・中国・台湾の3拠点が密接に連携しています。Lycheeクラウドによって、ローカルサーバーに依存せず、グローバルな運用が容易になりました。

Lychee Redmineを活用し、開発プロセスも含めた全体最適化へ

導入後の効果は、単なる業務効率化に留まりません。当事業部は2020年から開発プロセスの大規模な改革を行い、その推進に「Lychee Redmine」を活用しています。この取り組みはプロジェクトマネジメントの枠組みに収まらないので、順を追って説明しましょう。

【新たな課題】多数のプロジェクトで個別最適を重ねた結果、機能同士のトレードオフが発生していた

まず改革の背景には、私たちの事業構造があります。当事業部が提供するのは、電子ペンおよび、それをタブレット端末やスマートフォンで操作するデジタルインク・ソリューションです。端的にいえば、事業領域がせまく、専門性が高い。したがって、限られたコア製品の性能向上が競争力強化に直結します。

その一方、当社の顧客は日本・中国・アメリカなど、世界中に広がっています。顧客1社に対して多種類のプロジェクトが走っており、その総数は年間200件以上。最終製品は数百種類におよびます。それらのプロジェクトで個別最適化が進んだ結果、全体のレベルアップが遅れていたのです。

当事業部では多くのエンジニアが活躍しています。彼ら彼女らが優秀だからこそ、現場の問題を独自の手法でどんどん解決していました。たとえば、ある問題がハードウェアに起因する可能性があっても、ファームウェア(ハードウェアを制御するソフトウェア)をいじって迅速に対処してしまうんです。

個別の判断としては間違っていません。最適解にこだわって時間を費やすよりも、顧客が求める成果物のQCD達成が優先ですから。でも、それを繰り返していると、プロジェクトごとに製品の進化が複雑に枝分かれしていきます。

その結果、一部で機能同士のトレードオフが起きていました。ある部分を直そうとすると、別の部分に問題が生じるケースがあったのです。また、他グループが開発した新機能を実装する際、円滑に反映できないケースもありました。

【改善策A】ファームウェアの標準化と分業制で複雑性を縮減、管理体制も見直し

このような個別最適化の弊害をなくすためには、プロジェクトマネジメントの枠組みを越えて、グランドデザインから見直さなければなりません。つまり、全体のプロセスを再編して、すべての製品に最適な解ができるようにする。そして、正しいところに正しいフィードバックが必要です。

全体最適化の第一歩として、まずファームウェアを標準化しました。具体的には全プロジェクト共通のファームウェアを設計して、アルゴリズム(計算・処理手順)とパラメーター(ハードウェアに依存する変動要素)を明確に分離。そして、中核をなすアルゴリズムはファームウエア開発エンジニアが担当し、各プロジェクトのハードウェアに依存するパラメータはハードウエアエンジニアがチューニングするように徹底してもらいました。

いわば、事業部全体の開発スタイルと分業体制を見直し、アルゴリズムは常に最適なものを追い求め、パラーメータのチューニング方法はそれとは別に最適化されていく仕組みをつくったのです。この個別管理と全体管理の融合に「Lychee Redmine」は欠かせません。

【改善策B】「共通課題」を軸にした4層構造のプロジェクト管理

プロジェクトの階層構造

仕組みの全体像をイメージしてもらうために「Lychee Redmine」におけるプロジェクトの階層構造を説明しましょう(上図参照)。

すべての頂点に位置するのが「Common Issue」と名づけたメインプロジェクト。複数のプロジェクトに共通する課題・問題を吸い上げて、正しいところにフィードバックする親プロジェクトです。

その下層に、2種類の子プロジェクトが位置します。ひとつは顧客製品の量産プロジェクトを束ねる「Customer Project」。もうひとつは当社主導の先行開発プロジェクトを束ねる「Develop Project」。前者の下には「A社」「B社」「C社」など、後者の下には「新機能X」「新機能Y」「新機能Z」などの孫プロジェクトがツリー構造でぶら下がっています。

顧客単位の孫プロジェクトはそれぞれのプロジェクトの担当PMが統括しています。その下に「SKU1」「SKU2」「SKU3」といった、最終製品のひ孫プロジェクトが並ぶわけです。いわゆるPLは、この各プロジェクトのチューニングを管理。従来はここで小さな問題が発見され、現場判断で改修される場合がありました。

【改善策C】チケットの重複設定で‟一点突破・全面展開”、適切な機能改修に

しかし、いまは違います。もし現場のひ孫プロジェクトでアルゴリズムに起因する問題を発見したら、チケットを作成して情報を共有します。他のプロジェクトからも同じ問題がチケット化されたら、大元のプロジェクト「Common Issue」で一括管理。プロジェクトマネジメント専門のグループが交通整理して、対応を判断します。いわば、PMOのような役割ですね。

そして、アルゴリズムの共通課題を担当の開発者にフィードバックして、最適解を検討してもらいます。解決策が確立したら、チケットの重複設定などを通じて、同じ問題を抱える全プロジェクトに展開します。適切な改修をしないと、その下にぶら下がっているすべてのプロジェクトで問題解決に至らないので、従来プロジェクト毎に応急措置で対応していたところが根本解決を実施するようになり、それがすべてのプロジェクトに反映することになります。

【改善策D】誰がみても次の流れがわかるように標準的なワークフローを各チケットに明記

この流れを円滑に進めるために「Lychee Redmine」の管理者が集う会議体を新設しました。その会議で標準的な開発のプロセス(ワークフロー)集を作成。管理者がチケット作成時にトラッカーを設定して、メンバーが担当チケットを見るだけで業務の順序がわかるようにしたのです。

すると「この問題は誰に回して、誰に確認して、誰にクローズしてもらえばいいんだろう?」と悩まずにすむ。それぞれのメンバーが正しいところにフィードバックして、正しくクローズできます。

また、カスタムフィールドで分類項目を増やして、問題点のフィードバック先を細分化して記録できるようにしています。カスタムクエリで絞り込み検索の条件を設定しておけば、全プロジェクトから見たい問題点の情報をワンクリックで表示できます。

【施策E】バックログ機能で優先度を分け、意思決定の精度と速度を上げる

バックログ

最近はバックログ機能を重宝しています。これが山積する問題点の整理に便利なんです。本来の用途はアジャイル開発のスプリント運用などでしょうが、私たちは「Common Issue」の管理に応用しています。

この機能の利点は、多くの問題点をズラッと並べて、カテゴライズできるところです。ひとくちに「問題」といっても、目前の顧客対応、今後の性能改善、プロセス見直しなど、その性質や大小にはバラつきがあります。それらを3段階の優先度に大別して、管理者たちと共有。週次会議で一つひとつの問題点を優先度順に検討し、具体的な対応を意思決定しています。

その際、バックログの画面上だと、各チケットの入れ替えや日付変更が簡単です。「これは来週に改めてトラッキングしよう」「これは猶予があるから、もう少し後の日付に変えよう」というふうに、どんどんレビューできる。非常に使い勝手がいいですね。

適切な問題解決が加速し、製品の本格進化へ

バックログも含めた体系的な仕組みは、ようやく昨年に整ったところです。いまは可視化された問題点を片っぱしから潰している最中なので、全体のレベルアップはこれから。数ヵ月後に「この問題はパラメーターでもアルゴリズムでも解決できない」というソフト改修の終着点までたどりついたら、製品の本格進化が見えてきます。

なぜなら、先行開発プロジェクトにチケットを回して、次世代ICなどの開発時に検討するからです。「Common Issue」を頂点にしたツリー構造によって、量産系と開発系プロジェクトの連携も円滑になりましたね。

このようなチケットドリブンの開発スタイルが定着したら、次は工数を測定できるようにして、生産性の向上に取り組みたい。「Lychee Redmine」のリソースマネジメント機能を活用すれば、工数削減や生産性向上を可視化できます。きっと現場のモチベーションが上がり、人材マネジメントにも役立つでしょう。

プロジェクトマネジメントの進路

我々の製品は顧客の製品の中に部品として実装されるものなので、我々の思い描いているようなものを我々の都合だけでプロジェクトを完成させることはできません。顧客側の部品の変更や、スケジュールの変更、要求仕様の変化や、市場環境の変化、同時にやってくるプロジェクトの数や、内部リソースの調整まで含めてリスクを全て想定してしまうと物はできなくなってしまいます。便利なツールを導入しても、優れたノウハウを学んでも、求めているものに到達できるとは限りません。

でも私が正しいと考える方向性はあります。それは、事前に計画を立てることは当然として、顧客と誠実に向き合い日々のプロジェクトに対処しながら、開発プロセスで標準化できるところは標準化して当たり前のことは誰でも普通に出来上がる環境を作り上げることです。そのカギとなる情報管理、標準化、可視化をLychee Redmineを通して作り上げていき、そこで空いたリソースで、より競争力を上げる製品を作り上げていくつもりです。

インタビューに答えていただいた林 将広氏(中央)と、株式会社アジャイルウェアの川端光義代表(左)、水口崇(右)
日清食品株式会社
社名
日清食品株式会社 様
事業内容
即席麺等の製造および販売
使用機能
Lycheeガントチャート
食品従業員数:1000名〜スタンダードプラン

カップヌードル、チキンラーメンなど誰もが知るトップブランドを有する日清食品株式会社。
22年ぶりとなる国内工場新設プロジェクトは、総設備投資655億円という規模はもちろん、ロボットやIoTなど最新技術を駆使する「次世代型スマートファクトリー」として、メディアなどでも大きな話題となっている。敷地面積約10万m2、日産400万食の生産能力を持つ国内最大級、世界最新鋭の食品工場である「関西工場」(滋賀県栗東市)は、2018年10月に操業開始、2019年内に完成する。
 創業以来最大となる、前例のないプロジェクト推進のため、PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)としてLychee Redmineを活用した林 将広氏(日清食品株式会社 事業構造改革推進部 SCM企画部 課長)にお話を伺った。(取材日:2019年8月27日)

前例のない巨大プロジェクト、Lychee Redmine での「見える化」が大きな助けに

大規模ながら、タイトなスケジュールで進められた「関西工場」プロジェクトのPMOに着任した林氏は、『日清食品流』のプロジェクト管理手法を新たに構築するという難題に立ち向かった。
自身にとって初めてのPMOという立場で、各部門のスペシャリストとギリギリの調整を行うためには、部門横断的に情報をまとめ、プロジェクト全体を「見える化」することが必要不可欠だったと語る。

林 将広氏

「前例のない規模、最新システムの導入など、未経験のリスクが多数想定され、マクロな視点で全体管理する必要がありました。
海外工場新設や、既存工場ライン立ち上げなど、社内には豊富なプロジェクト経験があり、QCDS(クオリテイ・コスト・デリバリー・スコープ)のうち、クオリティとスコープは各部署がしっかり仕上げてくれると信頼していました。

そこで、PMOとしては、とにかくコストと納期の管理に注力しようと、担当ごとに情報を集めたのですが、Excel、PDFなどで個別管理されており、統合が非常に難しかった。
数年間というプロジェクトの長さ、発注数千件というタスクの膨大さなど、Excelなど既存のやり方での全体管理は到底無理、やはりプロジェクト管理に特化したツールが必要ということになりました。」(林氏)

「社内ではプロジェクト管理ツールは未使用でしたが、Redmineの存在は知っていました。他ツールではMSプロジェクトなども検討しつつ、Redmineの無料相談会にいってみたところ、『ユーザーインターフェイスが良くて、入力が簡単、操作も直感的。拡張性もある』とLychee Redmineを勧められたんです。
調べてみると、チケットだけでなくガントチャートがあり、クラウド管理もできる、新機能がどんどん追加されるなど、非常に使いやすそうで、『このツールなら、やりたいことができそう!』とLychee Redmine導入を即決しました。イメージ通りの使い心地で、良い決断だったと思っています。」(林氏)

チケットとガントチャートで、全体スケジュールを管理

本プロジェクトで、林氏がLychee Redmineを特に活用したのは、設備発注と設備納入の2つのフェーズ。この重要なフェーズに、タスクや見積り、スケジュールなどの情報をLycheeガントチャートで「見える化」した。

「Redmineは、みんなでタスクを共有し、管理するツールだと知っていましたが、プロジェクトメンバーは少数精鋭、プロジェクト管理について研修する時間もない。また、メンバーには設備の設計など担当業務に専念してほしいという思いも強く、Lychee Redmineの管理はPMOが一括して行いました。設備開発を担う研究施設をはじめ、各部署を足で回って掻き集めた資料をもとに、数千ものタスクを構造化し、その全てを入力する作業が甚大で、今振り返っても本当に大変な時期でした。」(林氏)

大変なPMO立ち上げ期、Lychee Redmineのどのような機能が助けになったのか?

とにかく、全ての情報が反映されたガントチャートが必要で、Lycheeガントチャートで実現できました。慣れないPMOとして情報収集から始め、Lycheeガントチャートでその情報をババッ!と「見える化」してプロジェクトメンバーに見せた時に、「これはすごい!」と驚かれたのを覚えています。
ガントチャートの基本機能を中心に使いましたが、予定通り進捗しているチケットは緑、期日過ぎると赤というのも誰でも一目瞭然だし、現状を示すカミナリ線、重要予定を示すマイルストーン、クリティカル・パスの設定など、全てをガントチャート画面で直感的に操作でき、ツール操作のストレスもなかったです。Lycheeガントチャートで「見える化」してはじめて、プロジェクトの全体進捗を左右するスケジュールのズレが見つかったことも。チケットのコピーや、注記機能も便利でしたし、チケットの期間を日単位や週単位で入れたとしても、最終的には1ヶ月ごとのサマリで確認ができるので非常に助かりました。」(林氏)

新工場には即席麺の生産ラインが10本あり、製麺、包装など工程ごとに最新設備を導入。さらに、ロボットや検査機器など自動化・効率化を担う設備を集中監視・管理する「NASA室」(Nissin Automated Surveillance Administration室)やガスコージェネレーションシステムなどユーティリティ施設と、生産ライン全てがIoTシステムで繋がるなど、食品工場として前例がない難易度の高いプロジェクトで、PMOの責任も重大だった。

「数千件の発注情報などをベースに200チケット程度に構造化し、プロジェクト全体をLycheeガントチャートで「見える化」することで、個々の進捗がどのように全体スケジュールに影響するかを、担当者に直感的に理解してもらいました。ところが予定期日を過ぎても発注されないなど、進捗しないチケットが続出。確認すると、各部署で計画時点でスケジュールにバッファーを持たせていることが判明しました。
しかし、プロジェクトには後工程のために全ての前工程が同時に完了しているべきタイミングがある。それをLycheeガントチャートで「見える化」できたことで、『PMOには、全ての情報を速やかに共有しよう』というコミュニケーションの流れができました。」(林氏)

「次世代型スマートファクトリー」ならではの予期せぬ場面でも、Lycheeガントチャートを活用した

設備納入フェーズでは、これまでのライン立ち上げと異なりシステムとの連携テストが必須でしたが、設備メーカーも社内担当者もこの規模のシステム連携は未経験。
そこで、全ての機械の納入スケジュールをLycheeガントチャートに入力し、各部門と連携しテスト期間を算出しました。すると、稼働予定日に間に合わせるには、複数テストを並行させるなどテスト期間の短縮が必須とわかり、Lycheeガントチャートでのシミュレーションを元に、各メーカーに納期の前倒しやテスト期間短縮などを依頼し、なんとか調整することができました。」(林氏)

経営陣へのレポート、コストシミュレーションなど様々な場面でLychee Redmineが活躍

全社を挙げての巨大プロジェクトとして、経営陣への確実な報告や、管理部門の業務にも、Lychee Redmineが役に立った。

「Lycheeガントチャートのサマリー画面をPDF化し、社内報告資料としても活用しました。FACTを「見える化」することで、経営陣にも一目で進捗やリスクを認識してもらえたと思います。
また、655億円という総設備投資額なので、キャッシュアウトについても精度高いシミュレーションが必要でしたが、財務の担当部署でも、私たちの作ったLycheeガントチャートを元に、キャッシュアウトタイミングを把握していたと聞き、プロジェクトを「見える化」することのメリットを、様々な場面で実感しました。」(林氏)

Lychee Redmineとともに、さらに精緻なプロジェクト管理を目指す

現在は、新工場プロジェクトを含め4つのプロジェクトに関わっている林氏。今後もプロジェクトの「見える化」にLychee Redmineを使い、さらに成功事例を増やしていきたいと語る。

厳しいスケジュール・予算にも関わらず、新工場プロジェクトが計画通りに進んだことが評価され、PMOのような第3者的な全体管理は必要だと社内の雰囲気が変わったこと、プロジェクト管理のために情報を迅速に共有するコミュニケーションが確立されたことなど、PM的にも大きな成果がありました。
現在、新プロジェクトで部下がPMOを担当、Lychee Redmineでデータを作り、準備を進めています。さらに精緻なプロジェクト管理をしていくために、事例を増やしていきたいです。将来的には、テンポラリーなPMではなく、担当部門にPM的な役割を配置できたらいいですね。」(林氏)

「このような最先端の工場新設プロジェクトを、Lychee Redmineがサポートできたことは、本当に嬉しいです。最近、建設業界でもLychee Redmineを導入いただいていますが、建設会社・設備メーカーなどでも参考にしていただける、非常に興味深いお話が聞けました。本日はありがとうございました。」(アジャイルウェア 川端)

「関西工場」エントランスロビーにて

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インタビューに答えていただいた東京海上日動システムズ 様
東京海上日動システムズ
社名
東京海上日動システムズ 様
事業内容
東京海上グループの情報システムの企画・提案・設計・開発・保守・運用
使用機能
Lycheeガントチャート、Lychee EVM、Lycheeリソースマネジメント、Lycheeアジャイル
IT従業員数:1000名〜スタンダードプラン

東京海上グループのIT戦略を支えている東京海上日動システムズ株式会社様。2010年からRedmineを導入され、現在では全社3,000名が毎月3万チケットを登録する大規模運用を実現されている。Lychee Redmineの各プラグインを利用してRedmineの全社展開を実現された、開発品質管理本部 開発品質管理部 マネージャーの白井昭洋氏と杉本直幸氏にお話を伺った。(取材日:2016年12月2日)

月3万チケット登録を支えるRedmine運用

東京海上日動システムズではRedmineを全部署で導入しています。具体的には9本部22部署、それから開発管理部門とコーポレート部門の8部署、合計30部署で導入しています。利用頻度としては、やはり開発や運用を担当している部署が高く、コーポレート部門などでも利用されていますが、特に使うことを強制しているわけではありません。

利用者数は社員、協力会社の方々を合わせて2,000人弱ぐらいです(2017年2月現在は約3,000人)。一昨年11月の実績では、1ヶ月に約1,900人がログインしていましたので、1日あたりその半分か3分の1の800人くらいだと推測されます。また、社員異動や契約が満了する協力会社も都度発生するため、3ヶ月間ログインがないアカウントは全てロックするようにしています。

Redmine運用全体を推進しているのは私たち2名ですが、開発運用部門の22部署内に約30名の推進係がおり、各部門・組織の推進を担当しています。現場からの問い合わせは推進係が対応するため、私たちに問い合わせがくることはそれほどありません。あと、Redmine運用部隊として3名のチームも存在しています。

チケット登録数は毎月増加しており2015年8月は月あたり5,000チケットほどでしたが、障害管理を行うようにした2016年2月には1万チケット、進捗・課題管理を行うようになった7月には2万チケットまで増加し、そして11月には3万チケットを突破しました。当初の想定が月3万チケットでしたので、今の運用設計が適切かどうかをもう一度見直さなければいけないレベルにきています。またユーザ数も社員が1,300人、協力会社の方々が1,700人、合わせて3,000人まで増える見込みなので、近い将来は月あたり5万チケットが登録されると予想されます。

利用プラグインはLychee Redmineが中心です。フリーのプラグインは、Work Timeプラグインやサイドバーを消すプラグインなどいくつか導入していますが、サーバーへの負荷が大きいためあまり利用していません。

業務のスピードアップが課題

業務の生産性を高めるには、コミュニケーションや進捗報告といった粒々のスピードアップが必要だと考えていました。報告をリアルタイムに行うことができればスピードが向上しますが、そのためにはプロジェクトの状況を「見える化」したり、様々なプロジェクト管理手法を標準化する必要があります。弊社ではそれらをエクセルで管理していたため「一元管理ができない」「リアルタイムに参照ができない」「同時更新ができない」「プロジェクト管理手法の標準化ができない」といった課題がありました。エクセルはユーザビリティが優れていてカスタマイズがしやすいですが、一方で自分たちの思い通りに列を追加できてしまうと標準化しにくいです。そのため標準化をするためには、1つの共通システムで制約をつけて運用する必要があると感じRedmineを導入しました。

大切なことはユーザビリティと「見える化」

Redmineは2010年に導入しましたが、当時の利用者はまだまだ少なかったです。標準のRedmineでは、ガントチャートやチケット一覧画面などで情報を入力するたびに画面遷移が発生するため、「ユーザビリティを向上させなければ、使われないのではないか?」と、入力を簡単にできるプラグインを探していました。そんな時にLychee Redmineの製品サイトを見つけました。

Lychee Redmine導入を決めた理由は2つあり、1つはガントチャート上で直感的に操作して入力できることです。Redmineの操作性は独特なので、初めてのユーザにはわかりにくいんですよね。それが直感的に操作できるようになったことは大きいです。今では、Lychee RedmineをRedmineの標準機能と思って使っているユーザもたくさんいますよ。ガントチャートを直感的に操作できるLycheeガントチャートがなければ、月3万チケットの登録も難しかったと思います。もちろん各部の推進係の方々が、現場からの問い合わせ対応やマニュアル整備などを頑張ってくれたことも現場に浸透した理由の一つです。

Lycheeガントチャート
直感的な操作を実現した、Lycheeガントチャート

もう1つはLychee EVMです。EVMをエクセルで行うと手間がかかりますし、「エクセルファイルの場所が分からない」というユーザも多かったですね。無償のEVMプラグインもありますが、長期利用を考えるとサポート面に不安がありました。その点Lychee RedmineではガントチャートもEVMも全てが一元管理されるので、各プロジェクトの状況を「見える化」できます。

Lychee EVM
Redmine上でEVMを確認可能にする、Lychee EVM

10種類のエクセル管理ファイルがRedmineに集約

Redmine、Lychee Redmineを導入したことで10種類のエクセル管理ファイルをRedmineに集約することができました。管理ファイルを削減できましたし、Redmineにログインすればこれらの情報を全て確認できますので「見える化」が進みました。

Redmineに集約されたエクセル管理ファイル

ふせん紙とエクセルを、Lychee Redmineで統一

弊社ではコミュケーションを活発化させてチームワークを強化する取り組みを行っています。そのためオフィスでは始業時に朝会を実施して、少人数のチームごとにタスク共有をしている光景がよく目に入ります。

以前の朝会では、タスク名が書かれたふせん紙をホワイトボードに貼り付けて情報共有を行っていました。そのためふせん紙に書かれたタスクタイトルしか分からず、メンバーにタスクを依頼する際はタスクの詳細を口頭で説明する必要がありました。タスクの詳細情報はエクセルでも管理していましたが、それによりふせん紙とエクセルの二重管理も発生していました。

しかしLycheeアジャイルを導入したことで、ふせん紙とエクセルファイルをRedmineに統一できました。Lycheeアジャイルのかんばん画面では、チケットタイトルが以前のホワイトボードと同じイメージで表示され、チケットタイトルをクリックすれば詳細情報をすぐに確認できます。また、ふせん紙を貼り直すようにチケットのドラッグ&ドロップするとステータスがリアルタイムに更新されるため、二重管理の手間も無くなりました。今ではホワイトボードの代わりに、Redmineの画面を見ながら朝会が行われています。

Lychee アジャイル
ホワイトボードのふせん紙のようにチケットを「見える化」できる、Lychee アジャイル

さらなる「見える化」とユーザビリティ向上を期待

今後はRedmineを上手に利用している人のノウハウが、あまり活用できていない人にも伝わるような取り組みを考えています。またエクセルからの移行は完了したので、次はもっとRedmineを活用し、プロセスを整備して標準化を進めたいですね。

Lychee Redmineには、さらなる「見える化」やユーザビリティの向上に期待しています。それから、要件管理やテスト管理などをRedmineで完結できるような仕掛けが欲しいですね。テスト管理やテスト自動化、要件管理、バグ管理などをRedmineで管理できればトレーサビリティがうまく取れるのではないかと考えています。

あとは、弊社のような大規模ユーザへのソリューション提案があると良いなと思います。例えばアプリケーションサーバーを2つに分けて、1つには現場担当者向けのプラグイン(Lycheeガントチャート、Lycheeアジャイルなど)を、もう1つには管理者向けのプラグイン(Lychee EVM、Lycheeリソースマネジメントなど)を導入することで、レスポンスをさらに担保するようなソリューションがあると良いですね。

Lychee Redmineの機能や価格、アジャイルウェアのサポートにはとても満足しています。密度の濃いコミュニケーションで都度相談に乗っていただけるのがありがたいですし、色々な面でスピードが速いです。何かをお願いしたときのレスポンスも速く、「いつの間に作ったんだろう」と思うくらいです。逆にお願いしたいのは、我々のようなユーザの声を集約できるようなサービスやサポートがあると良いと思います。Lychee Redmineの問い合わせや、改善要望などを書き込める共通の環境があれば嬉しいですね。

さらなる「見える化」とユーザビリティ向上を期待

業務のスピードアップや生産性向上を目的に、素晴らしい取り組みをされている東京海上日動システムズ様。アジャイルウェアは今後も同社のより多くのユーザに使い続けたいと思っていただけるよう、ユーザビリティと「見える化」を向上させるツール開発を継続して進めていきたい。

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