導入の背景と効果
課 題
解決策
効 果
「セゾンカード」をはじめ、約3,600万人のカード会員を抱える株式会社クレディセゾン。主力のペイメント事業だけでなく、リース・ファイナンス・不動産関連・グローバル・エンタテインメントなど、多彩な事業を展開している。
同社は2019年にデジタル専門組織の「テクノロジーセンター」を立ち上げ、全社的なDXを推進。2021年に「Lychee Redmine」を導入し、多数の部署やベンダーと連携しながら内製開発に取り組んでいる。どのようにツールを活用して、大規模プロジェクトを進めているのだろうか? テクノロジーセンターでプロジェクトの責任者を務める3名に話を聞いた。
(取材日:2023年10月26日)
松下氏:システム開発および、保守・運用プロジェクトを運営しています。以前は外部のベンダーに開発を委託していたのですが、2019年に私たちのいるテクノロジーセンターが発足し、内製化を進めてきました。現在は会社全体の基幹システム、各事業部の業務システム、顧客向けのスマホアプリなど、約30~40のプロジェクトが動いています。
氏原氏:いわゆる管理はしていません。一人ひとりが自律的にスケジュールを把握していたので、必要なかったのでしょう。強いて言えば、「GitHub」のIssues機能でタスクを管理していました。
松下氏:以前は小規模なプロジェクトがほとんどだったので、特別なツールが必要なかったんです。テクノロジーセンター内でコミュニケーションが完結するので、人力で調整できる。開発の納期はありますが、延伸も許容されていました。各チームの独立性が高く、みんな自由に動いていましたね。
松下氏:2020年にテクノロジーセンターの「内製化チーム」が正式に発足し、状況が変わったんですよ。基幹システムの更改を内製化する大規模プロジェクトが立ち上がり、多数のステークホルダーと協働する必要が生じました。プロジェクトメンバーはベンダーの方々を含めて約40名。周辺システムと連携するため、既存のシステム部門や事業部門など、部署を横断した複雑な調整が求められました。
テクノロジーセンター内だけでコミュニケーションが完結しなくなるので、交通整理する仕組みがあったほうがいい。実際、ベンダーからは「プロジェクト管理をしたい」という要望を受けました。そのときにExcelの各種管理表が送られてきたので、それでは多大な労力を要することになると思い、より効率的なツールの導入を検討したのです。
松下氏:Excel管理の専任者が必要になるからです。そこにテクノロジーセンターの貴重な人材を縛りつけたくない。人力に頼る非効率なスタイルはさけたいと考えました。
松下氏:検討したのは、あくまでもチケット管理ツールです。本質的には「チケットを基盤にしたコミュニケーションツール」と言い換えてもいいでしょう。
その一方で「Lychee Redmine」はスケジュールやタスクの管理など、従来型のプロジェクト管理に“も”使えます。つまり、ベンダーがExcelで求めていたこと“も”実現できる。そこで、まずはトライアル導入を決めました。
松下氏:複雑なものは、選択肢に入りませんでした。Excelに慣れている人にとっては、Redmine系のツールのほうが使いやすい。私は前職の会社で「Lychee Redmine」を導入していたので、現場の反応を実感しています。エンジニアはもちろん、バックオフィスのスタッフもすぐに使えるようになっていました。そういった使いやすさ、覚えやすさが格段に違いますね。
松下氏:正式導入に向けて、関係各所の理解を得るためです。通常のRedmineのほうが安いので、金額分の価値を確かめなければいけません。たとえば、アジャイル的な1~2週間のスケジュール管理なら、Redmineで問題ないでしょう。でも大規模プロジェクトで長期間のスケジュールを組むなら、「Lychee Redmine」のガントチャート機能が勝ります。実際に使ってもらうと、好意的な反応が多かったですね。
氏原氏:通常のRedmineはサーバー管理が面倒です。「Lychee Redmine」に限らず、クラウドサービスの価値は高いでしょう。
松下氏:はい。約300名の「Lychee Redmine」ユーザーのうち、半数くらいはベンダーの方々です。反発や混乱もなく、すぐに使いこなしてくれました。
長南氏:私たちは各事業部の業務システムなどを開発しているので、関連部署の担当者にも「Lychee Redmine」を使ってもらっています。私が担当するシステム更改プロジェクトの場合、家賃保証部や総務部などが関連部署ですね。
松下氏:特に運用体制は構築していません。テクノロジーセンターとのコミュニケーション経路を「Lychee Redmine」のチケットに限定して、関連部署に使ってもらっています。
長南氏:他部署の方々は、メールによるコミュニケーションに慣れています。だから、すぐには「Lychee Redmine」に乗り換えてくれませんでした。
松下氏:とはいえ、ずっと逆風が続いたわけではありません。私たちテクノロジーセンターは「CSDX VISION」という経営方針を推進する中核組織です。そのためには全社横断型のDXが欠かせないので、各部署のマネージャー層はテクノロジーセンターに協力的です。私たちも内製化の実績を積み上げて、「アイツらは新しくて変な集団だけど、いい方向に進んでいる」という空気を醸成していきました。
氏原氏:たとえば、私のチームはナレッジ管理システムを発表しました。顧客対応を行うコールセンターと一体で取り組んだ“伴走型内製開発”の成果です。この新システムを活用して、多岐に渡る問い合わせに迅速に回答できるようになりました。
松下氏:そういったインパクトのある実績が追い風になったのでしょう。いつの間にか、社内の抵抗は消えていきました。
松下氏:チケットの作成ルールやトラッカーの整備など、基本的な環境は準備しました。既存のシステム部門に関しては、2ヵ月ほどで定着。他の事業部門はもう少しかかったかもしれません。
長南氏:私の担当プロジェクトは開発の初期段階なので、トラッカーの種類をしぼりました。関連する事業部門のメンバーは、チケットの基本項目である「担当者」「期日」などを編集するだけ。つまり、複雑な操作は求めません。具体的な手順については「Wiki」に記しました。
長南氏:「Wiki」は汎用性が高いので、新たな業務システムの画面一覧表や状態遷移図なども掲載しています。ドキュメント管理専用のツールがあればベストですが、次善の策としては使えますね。
氏原氏:あとは「わからなかったら聞いて」というスタンスです。
松下氏:各チケットに必要な情報を入力して、さまざまなステークホルダーとコミュニケーションをとっています。
長南氏:チケットとして起票するのは、いわゆる開発作業だけではありません。打ち合わせ、問い合わせ、見積りの依頼など、あらゆるタスクをチケット化しています。打ち合わせの場合、議題などの概要は「説明」欄に記し、確認事項や決定事項などを「コメント」として書き連ねています。
松下氏:チケットで「担当者」を設定すると、そのタスクの“ボールを持っている人”が明確になります。情報の更新履歴も残るので、管理者が逐一チェックする必要はありません。だから、メール連絡とExcel管理よりも効率的なんです。
氏原氏:システムの運用段階においても、チケットは有用です。たとえば、ある業務システムを使っている部署が「機能追加」というチケットを作成する場合。私たちテクノロジーセンターがその概要を確認して、「具体的にどんな機能を求めているのか?」とコメント欄で問い返します。
そこからチケットを通じてコミュニケーションをくりかえし、新機能の実現可能性や予定工数などを見極めます。同種のチケットが一元管理できるので、Excelの課題管理表は不要です。
松下氏:他部署やベンダーなど、多数のステークホルダーを巻きこんだマネジメントが円滑になりました。おかげでスピーディーなコミュニケーションやスケジュール管理が実現しています。
そもそも私たちはプロジェクトマネジメントよりも、チケットマネジメントを重視しています。つまり、Excelと人力に依存する従来型の管理作業を「Lychee Redmine」に移譲して、より気軽に、より自由に、タスクを調整する。そして互いに協力しながら、効率的に仕事を進めています。オーケストレーションというか、自動化に近いかもしれません。
松下氏:ただし、ときには従来型のプロジェクトマネジメントの要素も必要です。「Lychee Redmine」はその機能“も”備えているので、臨機応変に軸足を移しやすい。そんな特性が当社の「バイモーダル戦略」を支えています。
この戦略は金融機関に求められる安定性重視の「モード1」のカルチャーと、スピードと柔軟性が求められる「モード2」のカルチャーを共存させる考え方です。平たくいえば「モード1」がウォーターフォール型開発、「モード2」がアジャイル型開発に相当します。
長南氏:私のチームはキメラ的な手法ですね。大枠のスケジュール管理はウォーターフォール型ですが、内部の開発手法はメンバーに任せています。
長南氏:はい。システムの内製開発において、伴走する事業部門とのコミュニケーションが円滑になりました。以前は質問文の課題一覧表が送られてきましたが、それもなくなりましたね。
氏原氏:担当プロジェクトが走り始めた頃に「Lychee Redmine」を導入したので、関連部署から多少の抵抗はありました。ただ、しばらくして担当者が慣れてくると「使いやすい」と風向きが変わります。いまではプロジェクト推進に欠かせないツールになりました。
氏原氏:個人的には次第点です。
松下氏:プロジェクト全体の状況が一覧できるので、週次の案件確認会がスムーズになりました。全メンバーがガントチャートやチケット一覧の画面を共有して、チケットを順番に確認。必要に応じて情報を更新したり、予定を柔軟に調整したりしています。
長南氏:私のチームも週次会議がスピーディーになりました。各チケットに対応するタスクの状況を確認して、「これは予定通り」「これも問題なし」と次々とハンコを押していくようなイメージです。チケットと事実を照合すれば十分なので、議事録はいりません。関係各所に進捗状況を報告・説明する際も役立っています。
松下氏:事業部門やベンダーの方々も便利になったと思います。すべてのシステム開発を外部委託していた頃は、お互いに負担がかかっていました。たとえば、ベンダーの担当者がExcelでさまざまな管理・報告資料を作成して、大量に印刷して、会議の参加者に配布する。その書類を全員でめくりながら「課題は?」なんて確認していたんです。
いまは全メンバーが「Lychee Redmine」の該当画面を開いて、情報を確認・更新するだけ。Excelのような使用感も残っているので、混乱は生じません。あるベンダーの新任課長も「すごくラクになってますね!」と喜んでくれました。以前は報告資料を作るために、多大な工数をかけていたのでしょう。
長南氏:Excelと同レベルの管理は求めていないので、マイルストーンなどの付加機能は使っていません。私の役割は各チケットの期日を確認しながら、コミュニケーションの停滞を探すくらいです。「Lychee Redmine」は緻密な管理もできるからこそ、シンプルに使うように心がけています。
松下氏:前提として、当社に「プロジェクトマネージャー」という役職はありません。私はプロジェクトの責任者ですが、管理者ではありません。現場でコードも書いています。そのうえで控えめに構想を語るなら、開発チームのパフォーマンスを定量的に測定してもいいかもしれません。明確な目標値を設定すると、改善を進めやすくなりますから。
長南氏:リモートワークなど働き方が多様化するなか、エンジニア一人ひとりの成果を可視化したいと考えています。目的はマネジメントというよりも、関連部署にわかりやすく状況を説明するため。バックログやバーンダウンチャートなど、手札をうまく使う方法を試行錯誤しているところです。
氏原氏:私のチームは新卒メンバー、他部署の出身者、ベンダーの方々が混在しています。個人として「チームリード」という肩書もついたので、今後は人材の稼働管理やベンダーマネジメントにも取り組みたい。そこに「Lychee Redmine」が使えればいいですね。
――クレディセゾン様の取り組みを通じて、チケット管理ツールとしての「Lychee Redmine」のポテンシャルを再認識しました。また、大手ベンダーのような統制型のプロジェクト管理と、スタートアップのような自律型の開発スタイルが両立できるとわかりました。貴重なお話をありがとうございました。
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