事業・プロジェクトの目標達成を目指す際、達成までのプロセスをどのように進めていくのか、手順を明確にすることが大切です。
そこで目標達成度の具体的な計測指標として用いられているのが、「KPI」および「KGI」です。
しかし、KPIとKGIの意味や違い、どのように設定するのかが分からないと感じている方は少なくありません。
そこで本記事では、KGIとKPIの違いやそれぞれの定義・目的・設定方法などを分かりやすく解説します。
近年、個人・企業の目標を管理する手法として注目を集めている「OKR」についても紹介していますので、新たな評価を作る参考や、用語の理解などにご活用ください。
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KGI・KPIとは
KGI・KPIの違いを把握する前に、本章でKGIとKPIそれぞれの定義や特徴を確認しておきましょう。
KGIの定義
KGI(Key Goal Indicator:キー・ゴール・インジケーター)は、日本語で「重要目標達成指標」と訳されます。
ビジネスにおいて最終的に達成すべき成果を定量的に定めた指標であり、売上高・成約数・利益率などが該当します。
KGIが必要な理由は、最終目標を明確にしないと、その目標までどれくらい遠いのかが分からないためです。
目標を具体的な数値で示すことで、データを基に現状を評価し、必要な改善策を立てられるようになります。
とはいえ、企業の最終目標が明確ではない場合、適切なKGIを設定することは難しいです。
また、KGIは後述するKPIと混同されがちなので、KGIを設定する際は、その目標がKGIとして適切かどうかをしっかり検討しなければなりません
KGIは、1〜5年間というような比較的長期間にわたって分析されることが多いです。
客観的に評価できるように、できるだけ具体的な数値を設定してください。
KPIの定義
KPI(Key Performance Indicator:キー・パフォーマンス・インジケーター)は、日本語で「重要業績評価指標」と訳されます。
詳しく説明すると、組織の達成目標(例:売上高)に対して、目標達成度合いを評価する評価指標のことです。
KPIは、最終目標達成に向けたプロセスにおける達成度をチェック・評価するための「中間目標」として重要な役割を果たします。
KPIを適切に設定することで、目標がはっきりし、チーム内の方向性の統一化につながります。
これにより、その後のKGI達成にも大きく近づくでしょう。
KGIとKPIの関係性
KPIは、KGIに向けた途中のステップを数値で評価する指標です。
進行中のプロジェクトが計画通りに進んでいるかを測るために用いられます。
以上のことから、KPIはKGIに影響を与え、KPIの達成を通じてKGIが達成されるように設計しなければならないという関係性にあることが分かります。
適切なKPIを設定し、プロジェクトの進行度を定期的に測定し監視することで、KGIに向けた計画的な進行が可能となります。
もし途中で遅れや問題が発生した場合は、その原因を洗い出し、必要な改善を行うことで現状を改善することが可能です。
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KGIとKPIの違い
KPIは「進行中の事業・プロジェクトの過程」を評価する指標である一方で、KGIは「最終的な成果」を評価する指標だといえます。
例えば、アプリのマーケティングにおいて、売上をKGIと設定した場合、売上に影響を与える「アクティブユーザー数」や「課金率」などをKPIとして監視するのが一般的です。
KGIとKPIの関係を分かりやすくするためには、KPIツリーを作成しましょう。
KPIツリーとは、一つのKGIに向かって、複数のKPIを段階的につなげて表示した図です。
下位のKPIを順調に達成することで、上位のKGIに到達する仕組みになっています。
KPIは多層・多数になりがちなので、KPIツリーを作って全体の流れを視覚的に捉えると効果的です。
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KGI・KPIとKSF・OKRの関係
KGIやKPIを用いる際は、よく「KSF」と「OKR」という言葉も関連して使われます。
本章では、それぞれの定義とKGI・KPIとの関係性を解説します。
KSFの定義
KSF(Key Success Factor)は、日本語で「重要成功要因」と訳されます。
事業戦略で成功を収めるための重要な要因を示す指標です。
すでに参入している市場や参入を考えている市場で、競合との競争で勝ち抜くために欠かせない要素とされています。
KGIやKPIが数値で目標を示す一方で、KSFは事業の成功に向けて行うべき活動や要因を定性的に示す点が特徴的です。
例えば、アプリストアへの自然な流入数をKPIとして設定する場合、KSFにはアプリの最適化(ASO)やクリエイティブの改善などの施策が該当することが考えられます。
OKRの定義
OKR(Objectives and Key Results)は、「目標と成果指標」と訳されます。
「達成目標」と目標の達成度を測る「主要な成果」を設定することによって、企業・チーム・個人が、集中して同じ重要課題に取り組めるようになる目標管理手法です。
Facebook(現・Meta)・インテル・Googleなどの有名企業が導入したことでも知られています。
OKRは、KGI・KPIなどとは異なり、組織や個人の目標設定・管理手法の一つとして使用されるのが一般的です。
企業における人事評価の文脈で活用されるケースが多く見られます。
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KGI・KPIの設定手順・流れ
本章では、KGI・KPIの具体的な設定手順・流れを3つのステップに分けて解説します。
KGIに用いる指標の決定
まずは、KPIの設定に先駆けて、KGIの指標を決定します。
具体的には、以下のような指標をKGIに設定することが多いです。
- 売上高
- 売上総利益
- 営業利益
- 市場シェア
効果的な指標を選ぶためには、以下の5つのポイント(SMART)を意識して設定しましょう。
- 明確性(Specific)
- 測定可能性(Measurable)
- 達成可能性(Achievable)
- 企業の目指すべき姿や経営戦略との関連性(Relevant)
- 期限がある(Time-bounded)
KPIの設定
KPIも、KGIと同じく、SMARTを意識して設定します。
具体的には、KGIを基に、その目標を達成するためのステップをKPIとして設定します。
例えば、目標が「去年と比べて売上を◯%増やす」というKGIを設定した場合、そのための手段として「注文の数を増やす」や「注文単価を上げる」というKPIを設定するのが一般的です。
そして、これらのKPIをさらに具体的に分けていくことで、どのKPIから取り組むべきかがはっきりします。
例えば、注文数を増やすためには、商品の種類を増やしたり、注文の確率を上げたりするなどの具体的な取り組みを計画します。
同様に、注文の価格を上げるためには、契約の期間を長くしたり、月々の料金を増やしたりなどの施策が考えられます。
このようにKPIを具体的に設定すれば、どのKPIから始めればいいかがはっきりし、効果的に目標達成に向けたアクションを取ることが可能です。
KPIの目標数値の決定
最後に、それぞれのKPIの数値を具体的に設定していきます。
ここで重要なのが、最終目標であるKGIの達成を可能にする現実的な数値を設定することです。
例えば、下記の計算式のように、KGIが売上であれば、KPIにはそれを達成できる「新規客数」「リピート客数」「客単価」などの数値設定が求められます。
どのKPIをどのような数値目標とするのが妥当なのか、実際に数字を当てはめながら探りましょう。
- 売上 = 客数 × 客単価
= (新規客数 + リピート客数) × 客単価
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KGI・KPIの設定方法
本章では、アプリの運営事業を例に取り、KGI・KPIの具体的な設定方法を解説します。
基本的な考え方はあらゆるビジネスモデルに共通するものなので、ぜひご参考ください。
継続率
継続率は、アプリを使い続けているユーザーの割合を表す指標です。
この指標をKGI・KPIとして設定・分析することで、アプリの利用が長続きしているユーザーがどれくらいいるのかが分かります。
継続率の分析は「コホート分析」とも呼ばれ、例えば「Googleアナリティクス」のようなアクセス解析ツールで行うことが可能です。
継続率を分析すると、1人あたりの売上がどれくらいになるかが明確になるため、ユーザー獲得コストをROIを考慮しつつ最適に調整できます。
これにより、コストの適正化や利益の最大化が図れるでしょう。
新規流入
既存ユーザーのみでは売上を伸ばすことに限界があるため、新規流入を獲得することも売上を増やすためには重要です。
新規流入をKGI・KPIとして設定・分析する際は、流入数と流入経路を併せて確認しましょう。
新規流入の経路としては、ストア流入・広告流入・口コミ流入の3つが考えられます。
それぞれの流入経路ごとに流入数を増やすための基本的な施策をまとめました。
- ストア流入:ASO により増やせる
- 広告流入:広告プラットフォームの活用で増やせる
- 口コミ流入:コミュニティマネジメントにより増やせる
KGI・KPIの設定事例
続いて、企業におけるKGI・KPIの設定事例を2つご紹介します。
BtoB企業の事例
BtoB企業が「1年間で売上を10%上げる」というKGIを設定した場合、それを達成するためのKPIを例として紹介します。
マーケティング部門が設定するKPIは、例えば次のようなものです。
- 新しい顧客リードの数
- 展示会で獲得したリードの数
- お問い合わせの数
- すでにあるリードを活動的にした数
- 資料ダウンロードの回数
- セミナーへの参加者数
特にWeb分野では、結果を数字で示しやすいため、KPIを設定しやすいです。
売上を10%増加させるためには、各施策から得られる有効なリードの割合・リードに対する営業の商談化率・商談からの契約率などを分析し、逆算して予算も考慮しながら各指標の数値目標を設定する必要があります。
一方で、営業部門が設定するKPIは、次のようなものです。
- 新規の契約数
- 新規の商談数
- 契約を成立させる確率(受注率)
- 契約の更新率
- 一つの契約あたりの金額(契約単価)
BtoBの営業では、マーケティング部門が集めたリードから、商談をどれだけ作り、受注率をどれだけ上げ、どれだけ高い金額で契約できるかという観点でKPIを設定します。
マーケティング部門のKPIとの連携も大切です。
メーカーの事例
次に、自社のECサイトや実店舗を運営するメーカー・製造小売企業における1年間のKGIを「前年と比べて売上を10%上げる」と設定した場合のマーケティングと営業のKPIを紹介します。
マーケティング部門のKPIは、例えば以下のようなものです。
- ECサイトでの購入者数
- ECサイトでの顧客1人当たりの平均購入額(顧客単価)
- ECサイトへの訪問者数
- ECサイトでの購入確率(購入率)
ECサイトを持つメーカーや製造小売業では、ECサイトに関連した数値がマーケティングの主要なKPIとなります。
目標である「ECサイトの売上増加」を達成するために、購入者数と顧客単価の2つの指標を中心にKPIを設定し、さらにその具体的なアクションを細かく定めることが効果的です。
一方、営業部門のKPIは以下のようになります。
- 取り扱い店舗数
- 1つの店舗での平均売上
メーカーや小売企業の営業部門のKPIでは、自社商品を取り扱ってくれる他の店舗(企業)に関連する数値を設定します。
どれだけ多くの店舗が自社商品を取り扱ってくれるか、そしてそれぞれの店舗での自社商品の平均売上がどれだけ増えるかという観点で、店舗を通じた売上を考えます。
KPI・KGI達成に向けたプロジェクト管理を行う際はツールの導入がおすすめ
KPI・KGIの達成に向けて効果的に活動していきたい場合、それらをタスクとして整理して進めると効果的です。
また、それらのタスクの進行状況を管理するために、ツールの導入を検討しましょう。
プロジェクト管理ツールを活用すれば、慣れていない人でも効果的なプロジェクト管理が行えるようになるため、KPIとKGIの達成が近づくでしょう。近年、多種多様なプロジェクト管理ツールがリリースされていますが、その中でも「Lychee Redmine」の導入をおすすめします。
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KPIとKGIの違いを理解しプロジェクト管理に役立てよう
KPIは「進行中の事業・プロジェクトの過程」を評価する指標である一方で、KGIは「最終的な成果」を評価する指標という点で両者には違いがあります。
また、KPIはKGIに影響を与え、KPIの達成を通じてKGIが達成されるように設計しなければならないという密接な関係性があります。
KSFやOKRの定義や特徴も把握し、適切なKPI・KGを設定して事業・プロジェクトの目標達成を目指しましょう。
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