「スプリントプランニングとはどのようなものかよく分からない」
「スプリントプランニングの方法を知って、アジャイル開発を効果的に進めたい」
アジャイル開発におけるスクラムには、プロジェクトの進行を計画し管理する「スプリントプランニング」のプロセスが含まれています。
スプリントプランニングは、プロジェクトの成否を大きく左右する要素です。
その実施方法や各参加者の役割を理解しておくことは、開発担当者や開発チームリーダーの方などにとって特に重要です。
そこで本記事では、スクラムにおいてスプリントプランニングを実施する目的や関与するメンバー、具体的な進行手順などについて分かりやすく解説します。
スプリントプランニングとは
スプリントプランニングとは、スクラムにおいて、プロジェクトのスプリントで何を成し遂げるかを決定する重要なプロセスです。
一般的にはスプリント開始前に行われ、プロジェクトチーム全員が参加します。
スクラムとは、アジャイル手法の一つであり、少人数のチームに分かれて短期間の開発サイクルをくり返し行うフレームワークを指します。
スプリントプランニングでは、プロジェクトの一部分である「スプリント」の具体的な目標を決め、その目標に向けてどの作業を行うかを決定します。
具体的には、以下のような計画をチームで共同して決めます。
- 目指すべきスプリントゴールはどこか(Why)
- それを達成するためにどのようなことに取り組むのか(What)
- どうやって実現させるのか(How)
ここで決定されるタスクリストは「スプリントバックログ」と呼ばれ、スプリントの期間中にチームが取り組む作業を具体的に示します。
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スプリントプランニングに必要な時間
具体的な所要時間は、スプリントの長さによって決まります。
つまり、スプリントの期間が短いほど、スプリントプランニングに要する時間も少なくなる傾向が見られます。
例えば、スプリント期間が1ヶ月の場合、スプリントプランニングは最大8時間以内での実施が適当と考えられています。
もし開発期間が1週間の場合には、それより少なくなるでしょう。
ただし、スプリントプランニングの実施後に、計画した作業時間を大きく超えてしまうことが度々あるというのなら、それは計画策定に十分な時間を割いていなかった可能性があります。
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スプリントプランニングを実施する目的
スプリントプランニングは、以下のような重要な目的を果たす役割があります。
- 取り組むスプリントの意義を共有してチーム全体のモチベーションを高め、結束力・自主性を養う
- スプリント期間内でゴールの達成に求められる作業詳細を明らかにする
- 持続可能な開発スピードで価値を生み出し続ける
これにより、開発チームはスプリント期間内に自分たちが成し遂げられることに対する自信を持つことが可能です。
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スプリントプランニングに関与するメンバーと役割
ここでは、スプリントプランニングの実行に携わるメンバーとして代表的な3つのポジションをピックアップし、特徴や役割について順番に解説します。
プロダクトオーナー
プロダクトオーナーは、製品開発において舵取り役となる存在です。
主な役割は、顧客の要望をしっかり理解し、プロダクトの価値を最大に引き上げることです。
このポジションは、スクラムの開発手法において標準的に採用されています。
開発チームが明確なゴールに向かって効率よく作業を進めるためには、プロダクトオーナーの広範な視野と判断力が必要不可欠です。
彼らは製品のビジョンの設定やニーズの予測、評価など全体的な視点から最適な判断を行う役割を担っています。
また、彼らの役割の一つとして、プロダクトバックログを作成し、それを継続的に管理することもあげられます。
この役割を通じて、全体の進行状況を把握し、適切な方向性を示します。
開発チームのメンバー
開発チームのメンバーは、特定のプロジェクトにおけるタスクを遂行する人々のことです。
一見すると、開発チームのメンバーとはエンジニアのみで構成されるとも考えられますが、常にそうであるとは限りません。
開発チームのメンバーは、デザイナー・ライター・プログラマーなど、あらゆる種類の人々で構成されることもあります。
つまり、スクラムにおける開発チームとは、「必要な作業を行うために適切なスキル・経験を持ったメンバーから成るチーム」であると定義できます。
スクラムマスター
スクラムマスターはスクラムチームの支援者です。主な仕事内容として、スクラム手法の確立に加えて、チームメンバーにスクラムの原則と実践を促すことなどが挙げられます。
チームを管理してプロジェクトを順調に進めることを目指す、従来のプロジェクトマネージャーとは根本的に異なり、スクラムマスターの役割に、スクラムモデルに沿ってチームを運営することも含まれる点が特徴的です。
なお、スクラムマスターは、チームメンバーの成長・向上をアシストすることが得意な方に向いています。
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スプリントプランニングを進める手順
本章では、実際にスプリントプランニングを進めていく際のフローを3つのステップに分けて順番に解説します。
1.事前準備を済ませる
まず、プロダクトバックログのタスクが「着手可能」の状態になるよう事前準備を済ませましょう。
この状態を「準備完了(Ready)」と呼びます。
「準備完了」とは、具体的に以下の4つの条件が満たされている状態のことです。
- 所要時間のラフな見積りが完了していること
- 開発規模がスプリントの期間内で達成可能であること
- 要求(何を実現したいのか)がはっきりしていること
- 完了したと評価するための基準(受入条件)が設定されていること
これらの条件が揃っていないとスプリントを始めることはできません。
もしも無理に進めてしまうと、後から仕様の確認やレビューで問題が発生し、それが結果として作業効率を大きく低下させることになります。
準備完了しない事態となる要因は、次の2パターンに分かれます。
要因 | 対処法 |
---|---|
プロダクトオーナーが役割を理解していない | スクラム経験が不足しているプロダクトオーナーの場合、プロダクトバックログの意味・進め方を理解していないことがある。 その場合、スクラムマスターがプロダクトオーナーを指導したり、作業支援を行ったりする。 |
プロダクトバックログの検討が進んでいない | プロダクトオーナーが多忙でプロダクトバックログの精査に十分な時間を確保できなかったり、IT知識不足により検討不十分になったりする場合がある。 その場合、開発チームがプロダクトバックログ作成の支援に入って対応することがある。 |
2.スプリントゴールを共有する
次に、プロダクトオーナーがスプリントゴールを作成し、チームに共有します。
スプリントゴールとは、スプリントにおいて達成する目標のことです。
スプリントプランニングでは目標を設定し、その達成をチェックするための完了条件を定義します。
スプリントゴールには、スプリント内で完了できる内容の目標を設定します。
そのためには、1つのスプリントの中で対応できる規模(ベロシティ)と、プロダクトバックログの規模を比較しながら検討することが大切です。
ベロシティは過去のスプリントの実績から算出します。
3.スプリントバックログを作成する
続いて、プロダクトバックログの中から、スプリントゴールを実現するために必要となるプロダクトバックログアイテム(PBI)を選択します。
その上で必要に応じて、それらを実現するためのタスク分解を行います。
このとき、完了したことを判断が可能な粒度まで細分化することが望ましいです。
これらのタスクはスプリントバックログとしてまとめ、作業詳細ごとにアイテムを作成し、それぞれの規模を設定します。
この規模は、可能な限り細かい方がよく、最大でも1日以内で終えられるタスクまで細分化することが望ましいです。
タスクの規模が大まかな状態でスプリントを開始するのは避けるべきです。
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スプリントプランニングを行う際の注意点
ここまでの基本情報を踏まえて、本章ではスプリントプランニングの実施にあたって注意しておくべきポイントを3つ解説します。
スプリント内で完結する作業量を正確に見積もる
スクラムを成功させるためには、1つのスプリントの中で作業を終了させることが重要です。
スプリントで完了できないタスクを取り入れることは避けてください。
そのためには、チーム内でスプリントの内容を曖昧なままにしておかず、タスクの対象を明確に絞り込んでおく必要があります。
スプリントバックログの内容を十分に理解しておく
スプリントプランニングを成功させるうえで、開発者がスプリントバックログの内容を十分に理解しておくことが非常に重要です。
そのためには、プロジェクトを進めるうえで、プロダクトオーナーと開発者がしっかりとコミュニケーションを取っておくことが望ましいです。
また、開発チームのメンバーとしては、「分からないことがあったら途中で聞く」という考え方は避け、可能な限り、スプリントプランニング内で曖昧な点を無くしましょう。
なぜなら、プロダクトオーナーから回答を得るのに時間がかかることが多く、その結果タスクの見積りを超過する可能性があるためです。
スプリントゴールをはっきりさせる
プロジェクトを進めるうえで、達成すべきゴールを明確にすることも非常に重要です。
スクラムでは、スプリントが終わる際に「スプリントレビュー」を行い、どの作業が完成したのかを確認します。
そのため、「何を達成すれば作業完了とみなすのか」を事前に明確にしておくことが大切です。
ゴールが不明確だと、開発チームは何を目指してどのように作業を進めればよいかが分からなくなってしまう可能性があります。
スプリントプランニングの実施に役立つツール
最後に、スプリントプランニングを効率的に実施するために役立つツールとして3つをピックアップし、順番に解説します。
Lychee Redmine
Lychee Redmineは最新のソフトウェアを用いてプロダクトバックログを作成し、誰でも簡単にスプリントプランニングの実施に役立てられるおすすめのツールです。
Lychee Redmineはタスクごとの優先順位を“ふせんを貼るように”ドラッグ&ドロップで操作できる「カンバン機能」を兼ね備えています。
カンバン機能を活用すれば、プロダクトバックログの作成や、状況に応じた柔軟なスプリントプランニングも直感的に実施できます。
優れたプロダクトバックログがあれば、プロダクトをスムーズに開発できるようになります。
特に誰でも直感的に利用できるツールは、スクラムにおいて大きな戦力になるでしょう。
backlog
引用元:backlog
backlogは、プロジェクト管理・課題管理・バグ管理・バージョン管理など開発に必要な多くの管理業務をひとまとめにできるサービスです。
スクラム導入以前のウォーターフォール開発時代から利用されており、スクラムにも適用できることから利用され続けています。
スクラムとは直接関係しませんが、ガントチャート機能が便利なツールとして知られており、スクラムイベントにおいてスクラムボードとバーンダウンチャートとして活躍します。
例えば、スクラムボードとして使用する場合、特にスプリントプランニングやデイリースクラムなどで活躍します。
タスクの進行状況が一目で分かるうえに、バーンダウンチャートと連動している点も魅力です。
Lucidspark
引用元:Lucidspark
Lucidsparkのオンラインスプリント計画ツールを用いると、バックログの整理・ユーザーストーリーの測定とその週の割り当てを簡略化できます。
また、勤務場所に関わらず、チーム全員がLucidsparkホワイトボードに容易にアクセスでき、常に週次の進捗状況を共有することが可能です。
すべての情報を一元化できるので、明確に定義された目標・期待値・最新情報をチーム全体で把握し、方向性を合わせられるようになります。
また、カスタムのテンプレートを使えば、チームメンバー全員が簡単にログインしてアイデアを追加し、ステータスを手軽に更新できるようになります。
さらに、Lucidspark のインテグレーションを活用すれば、ワークフローのあらゆる側面にスプリントプランニングを組み込むことが可能です。
例えば、ホワイトボードを Google Drive にエクスポートし、作業内容をすべて最新の状態に同期すれば、チーム全員が参照できるようになります。
スプリントプランニングを効率的に進めるならLychee Redmineがおすすめ
スプリントプランニングは、スクラムの成否を大きく左右する要素です。
その実施方法や各参加者の役割を理解しておくことは、開発担当者や開発チームリーダーの方などにとって特に重要です。
良質なスプリントプランニングを実施するには、タスクの詳細化や見直しなどが欠かせません。
効率的にスプリントプランニングを実施したいなら、簡単な操作でスプリントプランニングを実施できるLychee Redmineの導入がおすすめです。
フリープランは基本機能(ワークフロー・通知設定・ファイル共有・Wiki)とカンバン機能の限定された機能しか利用できませんが、有料プランはガントチャートをはじめ多くの機能が利用できます。
有料プランは30日間の無料トライアル期間を提供していますので、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。
本記事で紹介した実施フローをもとに、ツールの導入などでより効率的なスプリントプランニングを実施しましょう。