スプリントとは、短く区切られた期間のことで、主にアジャイル開発の手法の1つであるスクラムを行う際に用いられます。

この記事では、スクラムに取り組んでいる方に向けて、スプリントの概要やメリット・デメリット、実際に使用する際の流れなどを紹介します。また、そもそもなぜスプリントがスクラムに必要となるのかといった点も取り上げているため、ぜひ参考にしてください。

スプリントとは

スプリントとは、スクラムを行う際に用いる短く区切られた期間のことです。(スクラムは、アジャイル開発における手法の1つです。)

スプリントによってプロジェクトを細かく分け、小単位に区切ることで、役割ややるべきことがはっきりとする他、顧客からの要望に柔軟に対応しやすいといったメリットがあります。スプリントを設定すれば、短いスパンでやるべきことを決めて取り組むため、作業を進めやすくなるでしょう。そういった意味でも、スプリントはスクラムとセットで覚えておくべきものだといえます。

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アジャイル開発におけるスプリントの重要性

アジャイル開発のよさを生かしつつ、効率よく作業を進めるためにもスプリントは非常に重要なものだといえます。

アジャイル開発は、開発工程を短いサイクルで回していく点が特徴ですが、その分、修正作業が発生しやすくなります。また、顧客からの要求が途中で追加されることもあり、作業が非効率的になるケースも少なくありません。

そこで役立つのがスプリントです。スプリントの期間は、やるべき設計や開発作業の内容を固定するため、やるべきことに集中できます。また、スプリントの期間中に追加の要求がきた場合、基本的には次のスプリントで対応することが前提のため、割り込みを抑制して、集中して作業を進めることができます。

スプリントの体制

スプリントを設定して作業を行う場合、「プロダクトオーナー」「スクラムチーム」「スクラムマスター」から構成されるスクラムチームとしての開発体制を整える必要があります。それぞれの具体的な役割は以下の通りです。

  • プロダクトオーナー:プロダクトバックログの管理(1名)
  • 開発者:製造等の実作業(1名~複数名)
  • スクラムマスター:プロダクトオーナーや開発者のサポート(1名)

上記の体制を整えたうえで、スプリントを設定し作業を行うこととなります。

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スプリントの流れ

ここでは実際にスプリントを活用して開発作業を行う際の具体的な流れを紹介します。スプリントは、ただ単に短い期間を設定して作業をするだけではありません。どのようなことをしなければならないのか、ぜひ参考にしてください。

プロダクトバックログの作成

スプリントを設定する場合、まずはプロダクトバックログを作成する必要があります。プロダクトバックログとは、簡単にいうと開発を進めるに当たって作るべき機能や改善すべきものをリスト化したものです。このプロダクトバックログに優先順位をつけることで、各スプリントで何をやるのかが明確になっていきます。

なお、このプロダクトバックログは、顧客が開発作業の進捗状況を把握する際などにも用いられるものであり、スプリントの土台となるものであるため、しっかりと作り込むようにしましょう。

スプリント計画の作成

プロダクトバックログに基づいて具体的なスプリント計画を作成します。計画作成に当たっては、各スプリントで達成すべきことは何かを明確にすることが大切です。誰がどのような作業をどうやって行うのか、といった点まで細かく決めるようにしましょう。スプリント計画が完成したらプロダクトバックログと合わせてスクラムチームに共有し、作業の流れをインプットしてもらいます。

スプリントは短いスパンで集中して作業を行うこととなるため、計画が曖昧なものだとスケジュール通りに作業が進まず、後々のスプリントにも影響を及ぼす可能性があるため注意してください。

スプリントのスタート

計画が定まり、チーム内での共有もできたら、計画に沿って実際の開発作業をスタートさせます。

なお、スプリントがスタートしてから顧客からの要望が出てくることもあります。このような場合は、次回以降のスプリントで対応するのが前提です。開発スピードを落としてまで現在のスプリント内で対応することが必要かを確認の上、判断してください。

また、やるべきことが定められているスプリント期間中であっても、日々の進捗状況の共有は欠かせません。そのため、朝のミーティングで進捗状況を報告するなど、共有の場を設けるようにしましょう。もしトラブルが発生し、進捗が想定通りでない場合は対処法を検討します。

スプリントの評価

スプリントは、作業が終了したら終わりというわけではありません。実際にやってみてスプリントの内容はどうだったのか、ふりかえりを行い、評価する必要があります。このふりかえりのことを「スプリントレトロスペクティブ」といいます。
スプリントレトロスペクティブは、開発物についてはもちろん、それ以外の課題や気になる点などを共有し、次回以降のスプリントに反映させるようにします。

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スプリントのメリット・デメリット

スプリントにはメリット・デメリットがそれぞれ存在します。ここでは具体的なメリットとデメリットを紹介します。それぞれを理解したうえで、スプリントを導入するようにしましょう。

メリット

スプリントのメリットとしては、以下の3点があげられます。

  • 顧客からの要望に柔軟に対応できる
  • テストやフィードバックを行いやすい
  • 開発者のモチベーションを保ちやすい

スプリントは、開発期間を短く設定している点が特徴であり、顧客から追加で要望が出てきたとしても、次のスプリントで対応するなど柔軟に対応できます。開発期間が長期にわたっていると、1つの変更でその後の工程にも大きな影響を及ぼす恐れがありますが、作業のスパンが短いスプリントでは、そのような影響も小さいため急な変更などにも対応しやすいでしょう。

また、柔軟に対応できるということは、顧客の声を開発作業に反映しやすいということであるため、テストやフィードバックも行いやすくなります。スプリント内で新しい機能を開発したもの、運用テストを経てリリースし、ユーザーの声から改善するという一連の流れがスムーズにできるでしょう。

その他にも、作業を行う期間が短いため、開発者にとっては目的やゴールを見失うことなく作業に取り組めるようになります。リリースまでの期間が長すぎるとモチベーションの低下を招く恐れがありますが、スプリントの場合そういったリスクは低くなります。

デメリット

一方のデメリットとしては、以下の3点があげられます。

  • 管理が煩雑になる恐れがある
  • コミュニケーションの取り方によっては作業が滞ることもある
  • スプリント設定には慣れが必要

スプリントは期間を細かく設定することで目標や計画を立てることとなります。そのため、プロジェクト全体でスプリントの数が多くなり、管理が煩雑になる恐れがあるでしょう。

また、1つのスプリントの期間が短いことから情報共有や進捗状況の報告など、コミュニケーションが重要な役割を果たします。コミュニケーションが十分に取れていないと作業に悪影響を及ぼす可能性があるため、コミュニケーションを取りやすい状況にしておくことが大切です。

その他にも、短期間でどのくらいの作業ができるのかという点は、スプリントにある程度慣れていないと感覚がつかめません。そのため、スプリントを設定できるようになるまでには時間がかかる可能性があります。

スプリントの注意点

スプリントを実際に行う場合、いくつかの点に注意する必要があります。ここでは具体的な注意点を紹介します。基本的なポイントですが、意外と抜けてしまいがちな部分でもあるため、ぜひ参考にしてください。

チーム内の共通理解を深める

スプリントは短い期間で作業を進めていくこととなるため、プロダクトバックログやスプリント計画など、チーム内でしっかりと共有しておくことが大切です。また、スケジュールの短さから全体の目標を見失う可能性もあるため、目標の共通理解も深めておきましょう。実際に作業をスタートする前に、このプロジェクトがどのような目標のもと行われているのかを説明する場を設けてもいいかもしれません。

スピードを重視しすぎない

作業の期間が短いことから、どうしてもスピード感を意識してしまいがちですが、スピードを重視しすぎないように注意しなければなりません。これはスピードを重視するあまり品質が落ちてしまう恐れがあるためです。スプリント内で行うべき作業や作業方法は明確になっているため、必要以上にスピードを求める必要はありません。バグへの対応など、機能以外に費やす作業時間も大切にし、品質の高い成果物を作ることが大切です。

メンバーの意見を積極的に受け入れる

プロダクトオーナーやスクラムマスターは、メンバー間でのコミュニケーションを大切にし、ときにはスクラムチームから挙がってくる懸念点や不満などを受け入れることも大切です。実際に作業をしているチームの負担が大きいと、どこかで綻びが生じ、トラブルにつながる恐れがあります。

チームメンバーの懸念点がスプリント計画に大きな修正を伴うものだとしても、必要に応じて意見を受け入れ、計画を再調整するなどしてください。

スプリントを設定して仕事を進めやすくしよう

今回は、スプリントの概要やスプリントを設定する際の流れ、メリット・デメリットなどを紹介しました。スプリントはスクラムを行う際に用いる短く区切られた期間のことであり、顧客からの要望に柔軟に対応できる、テストやフィードバックを行いやすいといった特徴があります。

設定に当たっては、プロダクトバックログを作成し、それに基づいた計画立案が必要となります。また、進捗状況の確認など、チーム内での情報共有に努め、スピードばかりを意識しすぎないことも大切です。

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