プロジェクト報告書の書き方ガイド|承認されやすい構成とテンプレート活用・効率化のポイント

プロジェクト報告書(プロジェクト進捗報告書)は、単なる作業の記録ではなく、関係者の認識をそろえて課題を早期に発見し、プロジェクトを成功へ導くための重要なコミュニケーションツールです

本記事では、プロジェクト管理の専門家が承認されやすい報告書の書き方をわかりやすく解説します。

さらに、すぐに使えるテンプレートや作成効率を飛躍的に高めるコツなど、実務で報告書作成を改善するためのヒントもご紹介します。ぜひ参考にしてください。

プロジェクト報告書とは?目的と役割を押さえる

一般的に「プロジェクト報告書」とは、プロジェクト進捗報告書を指します。これは、プロジェクトの進行中における現状の進捗・課題・今後の方針を定期的に共有するための重要な文書です。

本記事では、このプロジェクト進捗報告書に焦点を当て、目的・構成・作成のポイントをわかりやすく解説していきます。

プロジェクト報告書の基本的な役割と意味

プロジェクト報告書は、プロジェクトを航海に見立てた場合の海図や航海日誌のような役割を果たします。計画通りに進んでいるかどうか、課題はないかといった情報を関係者全員で共有し、目的地へと正しく船を進めるために不可欠なツールです

プロジェクト報告書の主な役割を以下にまとめました。

  • プロジェクトの現状を関係者間で共有し、共通認識を醸成する
  • 計画と実績を比較し、進捗を定量的に把握する
  • 問題点や潜在的なリスクを早期に発見し、対策を講じるきっかけを作る
  • 次のアクションや計画修正などの判断に必要な客観的な情報を提供する
  • プロジェクトの方向性や課題解決について、関係者の理解と協力を促す

報告書は、プロジェクトの透明性を高め、チームの一体感を醸成する中心的な役割を果たします。

報告書作成がプロジェクトの成功に直結する理由

質の高いプロジェクト報告書を継続的に作成することで、プロジェクトの成功率が大きく高まると言われています。なぜなら、プロジェクト報告書が次のような好循環を生み出すからです。

  • 課題の早期発見と迅速な対応が実現する
  • 正確な情報に基づく意思決定ができる
  • 関係者と信頼関係を構築できる

報告書作成は単なる事務作業ではなく、プロジェクトを主体的にコントロールし、成功へ導くための戦略的な活動です

プロジェクト計画書の基本から作り方までを知りたい方は、下記の記事で詳しく解説しています。

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プロジェクト報告書を作成する目的と活用効果

プロジェクト報告書を作成する目的と活用効果を2つの項目に分けて解説します。

プロジェクトの進捗・課題を正確に把握する

プロジェクト報告書の基本的な目的は、計画と実績の差異を明らかにする点です。「計画では今週までにタスクAを完了するはずだったが、実績は80%の進捗に留まっている」といったように、進捗状況を客観的な数値で把握すると、具体的な対策を検討できます

進捗の遅れだけでなく、品質の問題、メンバー間のコミュニケーション課題、予期せぬ仕様変更など、プロジェクトを脅かすあらゆる課題やリスクの可視化も重要な目的です。ネガティブな情報も包み隠さず報告することで、チーム全体で問題に立ち向かう体制を築くことができます。

ふりかえりを通じて組織のナレッジを蓄積する

プロジェクト報告書は、特定の時点での状況を伝えるだけでなく、未来に向けた学びの機会も提供します。週次や月次などの短いサイクルで報告を行うことで、毎回小さなふりかえりを行うことが可能です

「なぜ〇〇のタスクは計画より早く進んだのか」といったように、報告のたびに成功や失敗の要因を分析し、次のアクションプランに反映させられます。

小さな改善のサイクルを繰り返すことで、チームの経験値は着実に向上します。また、プロジェクトが完了した後も、報告書は組織全体の貴重な知的資産として蓄積されていくのです。

タスクを体系的に整理したい方は、下記の記事でWBSの基礎と作成手順をわかりやすく解説しています。

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【例文付き】承認されやすいプロジェクト報告書の書き方と項目構成

本章では、実際にプロジェクト報告書を作成する際の具体的な書き方と、盛り込むべき必須項目について解説します。

1. プロジェクト概要|目的と全体像を簡潔に伝える

報告書の冒頭で、プロジェクトの目的と全体像を簡潔に示します。読み手(上司や他部署の担当者など、常にプロジェクトを追っているわけではない人)が、瞬時に全体像を把握できるようにするための項目です

主に記載する内容・例文は、以下の通りです。

内容 例文
プロジェクト名 2025年度 新卒採用サイトリニューアルプロジェクト
報告日 2024年12月10日
報告者 〇〇部 〇〇 〇〇
報告対象期間 2024年12月1日 ~ 2024年12月7日
プロジェクト目的 応募者数の前年比120%達成と、採用ブランドイメージの向上
全体ステータス 順調

2. 進捗状況|客観的なデータで説得力を持たせる

プロジェクト全体の進捗と、主要なタスクごとの進捗を具体的に報告します。「頑張っています」「順調に進んでいます」といった主観的な表現は避け、誰が見ても同じように理解できる客観的な事実や数値を用いるようにしましょう

主な記載内容と例文は、以下の通りです。

【全体の進捗率(計画比)】

  • 計画進捗率: 45%
  • 実績進捗率: 48%(計画に対し +3% で推移)

【各タスクの進捗状況(担当者、計画、実績)】

タスク名 担当者 計画期間 実績 状況
デザインコンセプトFIX 佐藤 11/25~12/1 12/1完了 完了
TOPページデザイン作成 鈴木 12/2~12/8 12/6完了 前倒しで完了
下層ページワイヤー作成 高橋 12/4~12/11 進捗50% 計画通り

3. 実績・成果|具体的な数値で成果を示す

報告期間中に達成したことや、得られた成果を具体的に記述します。単にタスクが完了したことだけでなく、もたらされたポジティブな結果をアピールしましょう

主に記載する内容は、以下の通りです。

  • 完了したタスク、作成した成果物
  • 達成した目標(数値目標など)
  • 関係者からのポジティブなフィードバック
  • 解決した課題

以下に、例文をまとめました。

【TOPページデザインの早期FIX】

  • 計画より2日前倒しでデザイン案をFIXした
  • 経営層レビューにて、「先進的でターゲット学生に響く」との高評価を獲得した

【コンテンツ要件の確定】

  • 関連部署との調整会議を完了し、サイトに掲載する全コンテンツの要件が確定した
  • 結果、今後の手戻りリスクが大幅に低減された

4. 評価・反省点|事前に評価指標を定めて分析する

プロジェクト活動を客観的に評価し、うまくいった点(成功要因)と、改善すべき点(反省点)を分析します。単なる感想ではなく、成功や課題の要因まで掘り下げて記述しましょう

主に記載する内容と例文は、以下の通りです。

【評価(良かった点・要因)】

  • 週次のデザインレビュー会議で、意思決定者を巻き込み早期にフィードバックを得られたことが、デザイン作成の前倒しにつながった

【反省点(課題・要因)】

  • 一部のコンテンツ要件について部署間の意見対立で調整が難航したため、事前に各部署のキーパーソンへ根回しを行っておくべきだった

5. 今後の課題・リスク|対策とセットで報告し信頼を得る

現在見えている課題や今後発生する可能性のあるリスクを挙げ、具体的な対応策をセットで示します。問題を正直に報告し、主体的に対策を考えている姿勢を見せることで、上司や関係者からの信頼を得られます

主に記載する内容・例文は、以下の通りです。

【現在発生している課題と対策】

  • 課題:コンテンツ用の写真素材の収集が想定より遅れている
  • 対策:〇〇部に協力を依頼し、12/15までに追加の素材提供を依頼済み

【今後予測されるリスクと対策】

  • リスク:年末年始の休暇により開発チームの稼働が低下し、テスト工程に遅延が発生する可能性がある
  • 対策:12月中に主要機能のテストを優先的に実施する計画を立て、開発企業と合意済み

プロジェクト全体を俯瞰し、課題を構造的に整理したい方は、下記の記事でWBSの基礎と作成手順をわかりやすく解説しています。

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プロジェクト報告書のテンプレートを使って効率的に作成する

テンプレートを利用すると、以下のようなメリットがあります。

  • 構成を考える手間が省け、内容の記述に集中できる
  • 誰が作成しても一定の品質が担保され、報告の抜け漏れを防げる
  • 統一されたフォーマットで読み手は毎回同じ構成で情報を確認でき、理解しやすくなる

本章では、多くの企業で利用されているWordとPowerPointのテンプレートについて、特徴と使い方を解説します。

Word形式テンプレートの使い方と構成例

Wordは、文章を中心とした詳細な報告や、公式な記録として文書を残したい場合に適しています。テキスト量が多くなっても読みやすく、変更履歴の記録やコメント機能も充実しているため、複数人でのレビューにも向いています。

Word形式が適している場面は、以下の通りです。

  • マイルストーンごとの詳細な中間報告
  • プロジェクト完了時の公式な完了報告書
  • 議事録や課題管理表など、記録性を重視する文書

以下は、Word形式の基本的なプロジェクト報告書の構成例です。

セクション 内容例 記入ポイント
1. プロジェクト概要 プロジェクト名、報告期間、目的、全体ステータス 読み手が瞬時に全体像を把握できるよう、結論ファーストで簡潔に記述する
2. 進捗サマリー(概要) 計画と実績の比較(進捗率、コスト)、主要なマイルストーンの達成状況 数値やグラフを用いて、客観的な事実をわかりやすく示す
3. 主要タスク状況 タスクごとの進捗詳細、完了したタスク、遅延タスクとその理由 表形式で整理する(遅延は原因を正直に記載する)
4. 課題・リスク 発生中の課題と対応策、潜在的リスクと予防策 課題やリスクを具体的に記述し、対策とセットで報告する
5. 今後の予定 次回報告日までのタスク計画、スケジュール 次のアクションプランを明確にし、関係者の協力を仰ぐ場合は具体的に記載する

PowerPoint形式テンプレートの使い方と構成例

PowerPointは、図やグラフを多用して視覚的にわかりやすく伝えたい場合や、会議での口頭報告に使用する場合に適しています

PowerPoint形式が適している場面は、以下の通りです。

  • 週次や月次の定例進捗報告会
  • 経営層やクライアント向けのサマリー報告
  • プロジェクトのキックオフや中間レビューでのプレゼンテーション

以下は、PowerPoint形式のプロジェクト報告書の構成例です。

スライド 内容例 記入ポイント
1. 表紙 プロジェクト名、報告日、報告者名 タイトルだけで内容がわかるよう工夫する
2. エグゼクティブサマリー プロジェクトの全体状況、今週のハイライト、重要課題 忙しい役員向けに、1枚で全体が把握できるように要約する
3. 全体進捗 進捗率の推移グラフ、マイルストーンチャート 視覚的に進捗状況がわかるよう、グラフや図を効果的に使用する
4. 主要トピックス 今週完了した主要タスク、発生した重要課題など 報告すべき重要な項目に絞って詳細を記述する
5. 課題・リスクと対策 課題・リスクの一覧、対応策と担当者 表形式で整理し、誰が何をするのか明確にする
6. 次週の計画 次週の主要なタスク、目標 次のアクションを簡潔に示し、報告を締めくくる

テンプレートを自社業務に合わせて活用する方法

提供されているテンプレートはあくまで雛形です。重要なのは、自社のプロジェクト管理の実態や報告文化に合わせたカスタマイズです。

例えば、以下のような視点でテンプレートを見直してみましょう。

  • 自社プロジェクトで管理していない指標や報告対象者が求めていない項目は削除する
  • 自社独自のKPI(重要業績評価指標)や特定のステークホルダーが重視する項目(例:外部委託費用の実績)を追加する
  • 社内で使われている用語や表現に合わせる

テンプレートを自社に最適化すれば、報告書の作成業務が飛躍的に効率化されます

プロジェクト報告書を効果的に仕上げる3つのコツ

本章では、プロジェクト報告書をさらに効果的に仕上げるための3つのコツをご紹介します。

論理的な構成とわかりやすい文章を意識する

たとえ素晴らしい内容でも、伝わらなければ意味がありません。以下のフレームワークを参考に、短時間で正確に意図が伝わるように、論理的でわかりやすい表現を心がけることが重要です

フレームワーク 特徴 活用シーン
PREP法 結論→理由→具体例→結論の順で構成すると、最も伝えたいことを最初に述べられて説得力が高い 報告全体の要約や特定の課題に対する提案など、結論を明確に伝えたい場合
5W2H 「誰が、いつ、どこで、何を、なぜ、どのように、いくら」という観点で情報を整理することで、抜け漏れを防ぐ タスクの進捗報告や、発生した問題の詳細を説明する場合

以下のような、基本的なライティングのルールも意識しましょう。

  • 読みやすく誤解の少ない文章にする
  • 誰が読んでも理解できる平易な言葉を選ぶ
  • 文字だけの説明よりも視覚的に情報を整理すると理解が深まる

定期的なふりかえりで改善を仕組み化する

プロジェクト報告書を通じて得られた気づきや課題を、次の行動に活かすことが重要です。週次や月次といった報告のサイクルに合わせて、チームで短い「ふりかえり」の時間を設けることをおすすめします

「報告書の内容について、何か気になる点はあるか」「課題を解決するために、来週は何をすべきか」といった対話を通じて、報告書を生きた情報として活用しましょう。

小さなPDCAサイクルを回し続けることで、チームは継続的に成長し、大きな問題が発生する前に対処するプロアクティブな文化が醸成されます。

専用ツールを活用して報告内容を自動化する

報告書の作成には、メンバーからの情報収集、Excelでのデータ集計、PowerPointへの転記など、多くの手作業が伴います。作業には時間がかかるだけでなく、ヒューマンエラーのリスクもあります。

有効なのが、プロジェクト管理ツールの活用です。ツールを使えば、報告書作成のためのデータ収集・集計作業がほぼ不要です

担当者はツールが出力した客観的なデータに基づいて、考察や今後の対策など付加価値の高い業務に集中できます。

Lychee Redmineで報告作業を効率化|チーム全体の進捗と課題を正確に共有する仕組みを実現

「報告書作成の手間を根本的になくしたい」といった課題を解決するのが、7,000社以上の導入実績を誇るプロジェクト管理ツール「Lychee Redmine」です。

報告書作成にまつわる悩みを豊富な機能で解決できます

日々の報告作業に追われる|ガントとWBSの自動反映で負担を軽減

多くの現場では進捗報告のたびにExcelのガントチャートを更新し、メンバーに個別に進捗を確認して回るといった非効率な作業が発生しているものです。

Lychee Redmineでは、メンバーが個々のタスクの進捗状況を更新するだけで、情報がリアルタイムにガントチャートやWBS(作業分解構成図)に反映されます。面倒なデータ収集や再入力の手間から解放され、報告業務の負担を劇的に軽減します。

タスクや課題が分散して全体が見えない|工数・課題・進捗を一元管理

情報が様々なツールに分散していると、プロジェクトの全体像を正確に把握するのは難しくなります。情報の抜け漏れや、担当者不在による業務の停滞(属人化)といった問題を引き起こします。

Lychee Redmineを活用すれば、タスク、課題、工数、進捗、関連ファイルなど、すべての情報が集約されるため、誰でも、いつでも正確な状況を把握可能です

複数プロジェクトを同時に追えない|横断管理で全体最適を実現

複数のプロジェクトを兼務するプロジェクトマネージャーや管理職にとって、各プロジェクトの状況を横断的に把握するのは大きな課題です。

Lychee Redmineのダッシュボード機能やポートフォリオ管理機能を活用すれば、複数のプロジェクトの進捗状況、コスト、リソース負荷などを一覧で可視化できます。

特定プロジェクトの遅延の兆候を早期に発見したり、部門全体のリソース配分を最適化したりといった戦略的な意思決定が可能です

まずは自社の課題に合うか確認|30日間の無料トライアルで体験

新しいツールの導入には、不安がつきものです。Lychee Redmineでは、機能性と使いやすさを実感いただくために、30日間の無料トライアル期間をご用意しています。

クラウド版のため、面倒なインストール作業は不要ですぐに利用を開始できます。ぜひLychee Redmineがもたらす報告業務の効率化とプロジェクト管理の質の向上を、自身のチームでご体験ください。

テンプレートとツールを活用して、プロジェクト報告書の質と効率を両立させよう

プロジェクト報告書は、関係者との認識をそろえ、課題を早期に発見するための重要なコミュニケーション手段です。報告書の質は、プロジェクトの成果や意思決定の精度を大きく左右します。

まずは本記事でご紹介した構成要素やテンプレートを参考に、自身の報告書を振り返ってみましょう。もし「作成に時間がかかる」「更新作業が煩雑」と感じている場合は、プロジェクト管理ツールの導入がおすすめです。

テンプレートで内容の統一性を高め、ツールで更新作業を自動化することで、報告書の質と効率の両立が可能になります。日々の報告サイクルを仕組み化し、チーム全体でより正確で伝わる報告書を実現しましょう。

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