本事例はこのような企業様におすすめです
- 多数のプロジェクトを並行して進め、状況を横断的に把握したい企業様
- Excel(エクセル)などに分散したプロジェクト情報を一元管理したい企業様
- 生成AIでプロジェクトのデータを分析し、レポート作成を効率化したい企業様
- PMOを中心に、全社のプロジェクト状況を経営層へタイムリーに報告したい企業様
- 社名
- 株式会社アイネス 様
- 事業内容
- ITコンサルティング・企画、システム設計・開発、運用・保守、評価など
- 利用プラン
- ビジネスプラン(ガントチャート、工数リソース管理、EVM、プロジェクトレポート)
導入の背景と効果
課 題
- 進捗管理・課題管理・変更管理などの情報がWebシステムやExcelなどに分散し、プロジェクト管理の仕組みが統一されていなかった。
- ボトムアップ型の情報収集とプロジェクトレポートの作成に長期間を要し、全プロジェクトの状況を経営層がタイムリーに把握できなかった。
- 国策の影響により、100件以上のプロジェクトを並行して進める必要が生じた。
解決策
- 「Lychee Redmine」を導入し、全プロジェクトの情報を一元管理した。
- 生成AIを活用し、プロジェクトレポートの評価・レビューや多角的なデータ分析などを自動化した。
効 果
- 100件以上のプロジェクトレポートの作成期間が、約半月から1日に短縮された。
- 全プロジェクトの状況をタイムリーかつ横断的に可視化し、迅速な問題把握と解決のサイクルを確立した。
東証プライム市場に上場する株式会社アイネス。創業60年を超える独立系SIerとして、情報システムの企画から開発・運用・保守・評価まで一貫したサービスを提供している。
同社を取り巻く環境が大きく変わったのは2021年。デジタル改革関連法が成立し、地方公共団体の情報システムを国が定める標準仕様に準拠したシステムに移行させる必要が生じたのだ。同社は地方自治体向けの行政パッケージソフトを提供しており、約120団体ものシステム標準化に対応しなければならない。
そこで2024年に「Lychee Redmine」を導入し、プロジェクト管理の方法を統一。生成AIを組み合わせて、全プロジェクトの状況をタイムリーかつ横断的に可視化する仕組みを構築したという。どのように「Lychee Redmine」と生成AIを連携し、多数のプロジェクトを管理しているのだろうか? 自治体システム標準化対応プロジェクト(全社PMO)の責任者を務める堀越和真氏に話を聞いた。
【導入前の課題】プロジェクト管理の仕組みが不統一
――導入前に抱えていた課題を教えてください。
プロジェクト管理の仕組みがバラバラだったことです。たとえば、全体の進捗管理はWebシステム、WBS(作業分解構成図)・レビュー管理・変更管理はExcelやGoogleスプレッドシート、バグや課題の管理には自社開発のシステムを使っていました。各プロジェクトマネージャーの裁量が大きく、各種管理表や報告書の形式も統一されていませんでした。
そのため、同一基準で社内報告を行うには、プロジェクトマネージャーへの再確認や進捗管理報告を変更してもらう必要が生じます。結果として「報告が定性的になりがち」という問題がありました。
――プロジェクト管理ツールを導入するまでの経緯を聞かせてください。
大きなきっかけは、外部環境の変化です。2021年に新たな法律が成立し、自治体システムの標準化が義務づけられました。当社は多数の自治体に行政パッケージソフトを提供しており、ベンダーとして標準化に対応しなければなりません。いまは最長2030年度末まで認められていますが、当初の期限は2025年度末。それまでに、約120件ものプロジェクトを並走させる必要が生じたのです。
この標準化対応は前例のない大規模プロジェクトです。進捗遅延も含め、同時期に問題が多発する可能性が高まります。とはいえ人的リソースに余裕はなく、従来のように緊急で応援要員をアサインするのも難しくなります。したがって、ひとつの問題把握の遅れが深刻な事態につながりかねません。経営層も含め、関係者がプロジェクトの状況をタイムリーに把握できる仕組みが求められました。
もうひとつの契機は、経営層の意向です。仮に100件以上のプロジェクト報告を即時に受けたとしても、細部を確認して不調の兆候まで見極めるのは難しい。そこで経営層から「AIを活用できないか」という打診を受け、基盤となるプロジェクト管理ツールの導入を検討しました。
――AIによるデータ分析を見据えて、統合的なプロジェクト管理ツールを導入したわけですね。
はい。管理ツールが分散したまま運用ルールだけを統一しても、すぐにAIを活用できる状態にはなりません。各項目の基準がそろっていなければ、データにノイズが混入してAIの誤判断を招くからです。それを防ぐためには、データクレンジングや名寄せ処理に膨大な時間を要するでしょう。
【選定の理由】各プロジェクトの進捗状況がひと目でわかる
――さまざまなプロジェクト管理ツールの中から「Lychee Redmine」を選んだ理由を聞かせてください。
私たちが重視する点をすべて満たしていたからです。たとえば、導入プロジェクトとの親和性。今回の自治体システム標準化は開発プロジェクトではなく、‟導入プロジェクト”として進めます。その導入作業の管理に「Lychee Redmine」は適していました。
もうひとつの理由は、ガントチャートなどの見やすさです。自動表示されるイナズマ線(各タスクの計画と実績の差を示す線)をはじめ、進捗状況をひと目で把握できます。お客様にそのまま提示できるくらい、視認性が高いと判断しました。
最終的な決め手は、多数のプロジェクトの状況を可視化できる機能です。タスクはもちろん、バグやレビューなどの必要項目を一元管理し、100件以上のプロジェクトを横断的に確認できます。そして、EVM(出来高管理)の指標を自動算出できる点も魅力的でした。選定にあたっては、調査・研究に特化したグループ会社が比較表(下図参照)を作成し、当社の経営層と協議して決めました。
【運用のルール】主要な管理対象を7種のチケットに分類
――御社は2024年1月に「Lychee Redmine」を導入しています。導入当初の取り組みを教えてください。
最初の3カ月間は本格導入までの準備に注力しました。まずは私たちPMOがテスト用のプロジェクトを作成。自治体システム標準化のWBSを策定し、それに準拠したテンプレートを整えました。また「Lychee Redmine」には多彩な機能が備わっています。それらを試しながら、最適な活用法を模索しました。
その間に実感したのは、チケットの利便性です。ツールの検討段階では「課題管理・Q&A管理・リスク管理は対象外」と認識していたので、この3項目は他のツールで管理する予定でした。しかし、実際にチケットを使ってみると、これらの項目も一元管理できると判明。当初の方針を変更し、標準化対応プロジェクトで管理する全情報を「Lychee Redmine」に集約することに決めました。
――どのような項目をチケットで管理しているのですか?
「タスク」「課題」「リスク」「Q&A」「B票(バグ)」「R票(レビュー)」「変更管理」の7項目です(下図参照)。各トラッカーの用途に応じた入力項目を定義し、プロジェクトメンバーにチケットを登録してもらっています。
| トラッカー | 説明 |
|---|---|
| タスク | 進捗用のタスク(作業項目)を管理しています。作業予定、実績を各作業者は入力する必要があります。このタスクはガントチャートに表示されます。 |
| 課題 | プロジェクトで発生する課題をチケット管理します。作業実績の入力は不要ですが、期日、ステイタスを明確にして管理する必要があります。 |
| リスク | プロジェクトで発生しうるリスク、発生したリスクを管理するチケットです。プロジェクトとしてのリスクの対応方法を確認しておきましょう。 |
| Q&A | プロジェクトの様々な局面で発生した内部、外部のQ&Aを管理します。特にお客様からのQ&Aは、期日を明確にして、回答する必要があります。 |
| B票 | 当プロジェクトのテスト工程で発生したバグ(不良)をB票としてチケット管理します。分析コードを元に、不良分析をODC分析という形で実施します。 |
| R票 | 対象の成果物に対してのレビュー指摘票(R票)をチケット登録する。 |
| 変更管理 | プロジェクトで発生した変更管理を管理するチケットです。管理対象は、スコープ定義・開発規模・スケジュール・体制です。プロジェクトとしての変更管理の対応方法を確認しておきましょう。 |
【定着の工夫】操作方法などのナレッジをWikiで共有
――「Lychee Redmine」の本格導入から定着までの流れを教えてください。
同年4月に説明会を開き、操作説明の動画を展開しました。対象者はプロジェクトマネージャーやシステムエンジニアなど、約600名のメンバー。「Lychee Redmine」のWiki(情報共有機能)を通じて、ツールの操作方法や工程定義などのナレッジも共有しました(下図参照)。
従来も「Redmine」のWikiを使っていたチームはありましたが、プロジェクトごとにナレッジが分散していました。いまはPMOへの問い合わせもWikiのチケットで管理し、全チームの情報を共有しています。
新たなツールを定着させるためのポイントは、情報の入力作業をシンプルにすることです。たとえば、本来は「Lychee Redmine」と勤怠システムの実績工数(AC)を一致させるのが理想です。しかし、両システムにまたがるACの整合性を常に保とうとすると、メンバーの作業負担が増えてしまいます。それよりもACは勤怠システムのみを使用すると割り切って、「Lychee Redmine」は基本情報の入力に絞ったほうがいい。そこで7項目のチケット登録を徹底してもらうことに決めました。
こうした取り組みを経て、同年10月頃に「Lychee Redmine」の運用が定着。ほとんどのメンバーが情報を入力してくれるようになりました。
【AIの活用】集約されたデータを分析し、Excelに並列表示
――生成AIを導入したのは、いつ頃ですか?
「Lychee Redmine」が定着した頃ですね。ようやくプロジェクト管理ツールに情報が集約され、同じ基準で管理できるようになりました。これ自体もひとつの成果ですが、次なる目標がありました。それは膨大なデータの有効活用。迅速な状況報告や多角的なデータ分析を実現するため、生成AIを導入しました。
――「Lychee Redmine」のプロジェクトレポート機能(進捗・品質・コストの状況を集約表示する機能)では不十分ですか?
プロジェクトレポート機能自体は有用なので、ケースバイケースで使い分けています。たとえば、特定のプロジェクト状況を確認する際は、既存の個別レポート機能が便利です。主要な指標やバーンダウンチャートなどを表示できるので、プロジェクト単位の社内報告用として使っています。
ただ、当社のように100件以上のプロジェクト状況を一覧表示したい場合、既存の全体レポート機能は工夫の余地がありました。画面の下半分に1行単位で詳細が表示されるため、全体を俯瞰しづらかったのです。
また、より深いデータ分析を行うために、生成AIを組み合わせたい。そこでプロジェクトレポート機能に集約されたデータを生成AIに取り込み、Excelに並列表示しました(下図参照)。
――「Lychee Redmine」と生成AIの組み合わせによって、得られた効果を教えてください。
まず100件以上のプロジェクトレポートの作成期間が、約半月から1日へと大幅に短縮されました。さらに、EVMを含めた精度の高いプロジェクト管理を実現。その結果、すべてのプロジェクトの状況をタイムリーかつ横断的に可視化し、迅速な問題把握と解決のサイクルを確立できました。コスト実績の集計には若干タイムラグが生じていますが、進捗遅延の兆候は早期に検知しています。
――なぜ、プロジェクトレポートの作成期間が大幅に短縮できたのですか?
生成AIを活用して、プロジェクトの評価・レビューを自動化したからです。従来は各プロジェクトマネージャーと進捗報告の取りまとめ部署の間で、何往復も添削と修正が発生。合計100件以上のプロジェクトレポートをまとめるために、長期間を要していました。
さらに、AIは品質向上にも役立ちます。同一基準で評価するので、属人的な判断によるブレが生じません。人間の役割は、AIの評価に対する妥当性確認と最終調整のみです。
これができたのは「Lychee Redmine」という土台があってこそ。もし管理対象やプロジェクトごとに異なるツールを使っていたら、AI分析の前提が成り立たないでしょう。
――プロジェクトの情報基盤が整ったからこそ、関係者の負担を減らせたわけですね。
データの一元管理によって、プロジェクトに関する定例会議の進行も円滑になりました。以前は指標の定義やEVMの算出方法など、本題に入る前の質疑が相次いでいましたから。
いまは私たちPMOが取りまとめ役となり、全プロジェクトの状況を経営層などのプロジェクト関係者に週次で報告しています。おもな切り口は、支社単位とプロジェクト単位。計4枚のスライド(下図参照)を切り替えながら、視覚的にわかりやすく説明しています。
【改善の仕組み】課題チケットに対策を記入し、進捗を確認
――全プロジェクトの状況を迅速に把握することで、問題が早期に解決されるようになりましたか?
具体的な対処は各プロジェクトマネージャーが判断するので、一概には言えません。少なくとも週次で状況を確認し、早期解決を促す仕組みは整いました。
たとえば、生成AIが期限切れの課題チケットを自動検知します。さらにSPI(スケジュール効率指数)などを勘案して、全プロジェクトの中から優先的に対処すべきプロジェクトと対策を示しています(下図参照)。
AIが推奨する対策は一案なので、他の対策を実行しても構いません。プロジェクトマネージャーには課題チケットの該当項目に「対策」を記入してもらい、その進捗をPMOが確認しています。つまり、過去の計画と現状を毎週突き合わせて、対策の実行状況をモニタリングしているわけです。
【今後の展望】ダッシュボードで品質状況を可視化
――自治体システムの標準化対応は大規模な国策プロジェクトです。期限が延長されたとはいえ、スケジュールやリソースに余裕があるとは言えません。「Lychee Redmine」と生成AIの組み合わせによって、すべてのプロジェクトを成功に導くメドが立ちましたか?
いくつかのプロジェクトは計画通りに終結しましたが、山場はこれから。非常に困難なプロジェクトなので、予断を許さない状況です。おそらく、すべてのベンダーにとって難易度の高い取り組みでしょう。
いま私が断言できるのは、プロジェクト管理のレベルが格段に上がったこと。そして、着実に前進していることです。実際、当社のプロジェクト管理手法について、他社からもヒアリングを受けています。もし「Lychee Redmine」と生成AIを導入していなかったら、100件以上のプロジェクト管理が成り立たなかったでしょう。
――プロジェクトマネジメントについて、今後の展望を聞かせてください。
進捗管理だけでなく、品質管理の仕組みも強化します。具体的には「Lychee Redmine」のバグ管理データやExcelのテスト進捗データなどを抽出し、ダッシュボードで品質状況を可視化する予定です。
また、多数の標準化対応プロジェクトを並行して進めていると、同じような課題が発生する傾向があります。今後はどのプロジェクトでも起こりうる課題を効率的に抽出して、各プロジェクトに情報を共有したい。そうした課題管理の横展開を進化させたいですね。
――アイネス様の取り組みを通じて、全プロジェクトの情報を一元管理する重要性を再認識しました。また、「Lychee Redmine」と生成AIを組み合わせることで、多数のプロジェクトを横断的に分析できるとわかりました。貴重なお話をありがとうございました。
※本資料に記載されている数値・名称等は、機能や運用のイメージを示すためのサンプル(ダミーデータ)であり、実在の組織・実数値とは一切関係ありません。
※「WebRings」は、株式会社アイネスの登録商標です。
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