「急いでプロジェクトの進捗資料を作成しなければならない」「使い慣れたPowerPoint(パワーポイント)で、ガントチャートを手早く作成できないだろうか?」プロジェクトを推進する立場にある方は、このような悩みを抱えているかもしれません。
本記事では、そのような方のために、PowerPointを使ってガントチャートを作成する3つの方法を、初心者にもわかりやすく徹底解説します。
専門的な知識がなくても、無料のテンプレートなどを活用すれば、見栄えが良く、わかりやすいガントチャートを作成できます。
記事を読めば、自社の状況に最適な方法が見つかり、プロジェクト管理をスムーズに進めるための第一歩となるでしょう。
ガントチャートとは
ガントチャートとは、プロジェクト管理で用いられる代表的な手法の一つです。
縦軸に「タスク(作業内容)」、横軸に「期間(日付)」を配置し、各タスクの所要期間を横棒(タスクバー)で示すことで、プロジェクト全体の工程を一目で把握できる図を指します。
いつ、誰が、何をするのかを視覚的に表現できるため、計画の立案から進捗管理まで幅広く活用されています。
構成要素 | 説明 |
---|---|
タスクリスト | プロジェクトで行うべき作業を洗い出した一覧 |
タイムライン | プロジェクトの開始から終了までの期間を示す時間軸(横軸) |
タスクバー | 各タスクの開始予定日と終了予定日までの期間を示す横棒 |
マイルストーン | プロジェクトにおける重要な節目(中間目標や報告会など)を示す印 |
依存関係 | あるタスクが終わらないと次のタスクに進めないといった、タスク間の関連性を示す |
ガントチャートを用いることで、プロジェクトの全体像が明確になり、関係者間での認識の相違を防げます。そのため、円滑なコミュニケーションと効率的なプロジェクト進行に欠かせないツールと言えます。
以下は、ガントチャートの使い方について詳しく解説した記事です。こちらもあわせてご参照ください。
PowerPoint(パワーポイント)でガントチャートを作成するメリット
本章では、PowerPointを使ってガントチャートを作成するメリットを解説します。
専用ツール不要でコストを抑えられる
多くの企業では、Microsoft Officeが標準的に導入されており、PowerPointはすでに利用可能な状態です。そのため、専用のプロジェクト管理ツールを新たに購入する必要がなく、ライセンス費用や導入コストを削減できます。
さらに、操作習得のための研修や初期設定の手間もかかりません。
これにより、限られた予算や短期間でプロジェクト管理資料を整えたい場合でも、追加費用をかけずにスムーズに作業を開始できるのが大きなメリットです。小規模チームや短期プロジェクトでも、コストを抑えながら効率的にガントチャートを活用できます。
汎用的なソフトでスムーズに作成できる
PowerPointは、プレゼンテーション資料作成の定番ツールで、多くのビジネスパーソンが使い慣れているため、特別な学習は不要です。そのため、急に資料作成が必要になった場合でも、速やかに作業を開始できます。
また、他部署や外部パートナーと共有する際にも、PowerPoint形式は広く利用されているため、閲覧環境を選ばずスムーズに確認・修正を行えることも大きなメリットです。
さらに、PowerPointはスライド形式で資料を作成できるため、作成したガントチャートをそのまま会議資料や報告書に組み込めます。別途表や画像として貼り付ける必要がなく、スライド内でレイアウトやデザインを直感的に調整できるため、時間や手間を大幅に削減できます。
テンプレートを活用できる
PowerPointでは、標準の公式テンプレートや各種Webサイトから無料で入手できるガントチャートテンプレートの活用が可能です。これにより、スライド作成やデザインにかかる時間を大幅に削減でき、初心者でも見やすいチャートを容易に作成できます。
さらに、プロジェクトの規模や進行状況に応じてタスクや配色をカスタマイズすることで、独自の資料を短時間で仕上げることが可能です。テンプレートを上手に活用することで、資料作成の負担を軽減し、より戦略的な業務や意思決定に集中できます。
PowerPoint(パワーポイント)でのガントチャート作成方法3選
ここでは、スキルレベルや目的に合わせて選べる、3つの具体的な作成方法をご紹介します。
それぞれの特徴を比較し、最適な方法を選択してください。
方法1:図形と表でゼロから作る
PowerPointの図形機能と表を使ってゼロからガントチャートを作成する方法は、自由度が高く、担当するプロジェクトに合わせて細かくカスタマイズできる点が特徴です。タスクの数や期間、色分けなどを自分で設定できるため、複雑なスケジュールや特殊なフォーマットにも柔軟に対応できます。
メリットとしては、テンプレートに依存せず、プロジェクトの規模や進行状況に応じたオリジナルのチャートを作れることが挙げられます。また、作業過程でPowerPointの操作に慣れるため、今後の資料作成にも応用可能です。
作成にはやや手間と時間がかかるため、タスク数が少ない小規模プロジェクトや、自分で細かくデザイン調整したい人に向いています。一方、急いで完成させたい場合やタスクが多い場合は、テンプレートやアドインの活用を検討しましょう。
図形と表を組み合わせるこの方法は、自由なデザインと細部の調整を重視するユーザーに最適です。
手順1. 表で骨組みを作成する
まず、「挿入」タブから「表」を選択し、ガントチャートの骨組みを作成します。
行数は「タスクの数 + ヘッダー1行」、列数は「プロジェクトの期間(週数や月数) + タスク名などの列」を目安に設定しましょう。
手順2. タスクと日付を入力する
洗い出したタスクと日付、期間に対応した表を作成します。縦軸にタスク、横軸に日付や期間を配置し、視覚的にタスクのスケジュールを把握できるようにします。
タスクには担当者を明記し、必要に応じて備考欄を設けることで、より詳細な情報管理が可能です。この表によって、プロジェクト全体の進捗状況を効率的に管理できます。
手順3. 図形で工程バーを配置する
次に、「挿入」タブの「図形」から「四角形」を選び、各タスクの期間に合わせて配置します。この四角形が、タスクの開始から終了までを示すタスクバーとなります。
バーの長さや色を調整し、視覚的にわかりやすいチャートに仕上げてください。
手順4. マイルストーンや依存関係を追加する
プロジェクトにおける中間目標であるマイルストーンは、通常「ひし形」で示されます。タスク間の依存関係は「矢印」で表現し、関連するタスクバーを結ぶことで、タスクの前後関係の視覚的な明確化が可能です。
これにより、プロジェクトの進捗状況とタスクの流れを把握しやすくなります。
手順5. デザインを調整する
デザインの最終調整では、タスクのカテゴリーごとに色分けを施し、フォントや文字サイズを統一することで、チャート全体の視認性を向上させます。
これにより、情報が整理され、よりわかりやすく、使いやすいチャートが完成します。見た目の美しさだけでなく、情報の伝達効率も高める重要な工程です。
方法2:無料テンプレートで作成する
PowerPointの無料テンプレートを利用してガントチャートを作成する方法は、作業時間を大幅に短縮できる点が特徴です。あらかじめタスクや日付が配置されたテンプレートを使用するため、ゼロから図形や表を作る必要がなく、初心者でも簡単に見やすいチャートを作成可能です。
メリットとしては、あらかじめデザインや配色が整っているため、資料の見栄えが良く、会議や報告用にもそのまま活用できる点が挙げられます。
さらに、タスクや期間を入力・編集するだけで、自分のプロジェクトに合わせたオリジナルのガントチャートに仕上げられるため、カスタマイズの自由度も高く便利です。
短時間で資料を作成したい方や初めてガントチャートを作成する方、わかりやすいデザインを重視したい場合にはテンプレートの利用がおすすめです。無料テンプレートを活用することで、効率的に高品質なガントチャートを作成できます。
手順1. テンプレートを選択する
ガントチャートのテンプレートを探すには、PowerPointのホーム画面から「新規」→「その他のテーマ」を選択し、検索ボックスに「ガントチャート」と入力すると、いくつかのテンプレートが表示されます。
これはMicrosoft公式テンプレートであり、デザインの品質が保証されているため、安心して利用できます。
Microsoft公式テンプレートを利用する以外にも、以下のようなWebサイトでガントチャートのテンプレートを入手可能です。
ツール名 | 説明 |
---|---|
PowerPointやGoogleスライドで使える無料テンプレートを提供しているサービスで、ビジネスや教育など幅広い用途に対応したデザインが豊富にそろっている。 |
|
Canva | デザイン初心者でも簡単に美しいガントチャートやその他のビジュアルを作成できるツールで、無料で数多くのテンプレートが利用できる。デザイン後は、PowerPoint 形式(PPTX)でダウンロード可能。 |
テンプレートを選ぶ際は、次のポイントを参考に、担当するプロジェクトに最適なものを選びましょう。
テンプレート選びのポイント | 具体例 |
---|---|
プロジェクトの規模 | 短期プロジェクトならシンプルなデザイン、長期・複雑なものなら詳細情報を書き込めるタイプが適切 |
カスタマイズ性 | タスク項目や配色などを、後から簡単に変更できるかを確認する |
デザインの方向性 | 社内向けならシンプル、社外向けなら洗練されたデザインなど、提出先に合わせる |
手順2. テンプレートを編集する
ダウンロードしたテンプレートを基に、担当するプロジェクトに合わせてテキストや日付を編集します。タスク名、担当者、期間をプロジェクト計画に沿って修正し、不要な項目は削除し、不足している項目は追加します。
テンプレートを柔軟にカスタマイズし、自社のニーズに合わせて最適化してください。
手順3. 装飾と仕上げを行う
基本的な情報の入力が終わったら、自社のブランドカラーに合わせたり、ロゴを追加したりして仕上げます。
テンプレートをそのまま使用するだけでなく、少し手を加えることで、オリジナリティのあるわかりやすい資料に仕上げることができます。
方法3:アドインを導入して作成する
PowerPointにアドインを導入してガントチャートを作成する方法は、作業効率と操作の簡便さを両立できる点が特徴です。
アドインを使うことで、タスクや期間を入力すると自動でバーが描画される他、日付や進捗の変更に応じてチャートを簡単に更新できる場合もあります。
複数のプロジェクトを同時に管理したい方や、頻繁にスケジュール更新が必要な方、作業効率を重視したい方に適した作成方法です。アドインを活用することで、効率的かつ正確にガントチャートを作成でき、作業負担を大幅に軽減できます。
手順1. PowerPoint(パワーポイント)にアドインを追加する
アドインは、「ホーム」タブの「アドインを入手」から検索して追加するか、Webサイトからインストーラーをダウンロードして追加できます。
ガントチャート作成で有名なアドインは以下の通りです。
ツール | 説明 |
---|---|
Office Timeline | PowerPoint上で美しいタイムラインやガントチャートを簡単に作成できるアドイン。プレゼンテーション資料の作成に適している。 |
think-cell | ExcelやPowerPoint上で複雑なグラフやチャートを効率的に作成できるアドイン。データ分析に基づいた高度なグラフ作成を効率化したい場合に役立つ。 |
目的に合ったアドインを選択し、画面の指示に従ってインストールしてください。
手順2. アドインでガントチャートを作成する
アドインを導入すると、PowerPointのリボン(画面上部に表示される帯状の領域)に新しいタブが追加されます。
そのタブからガントチャート作成機能を選択し、タスクや期間などのデータを入力していきます。
手順3. ガントチャートを編集・カスタマイズする
アドインを使えば、タスクの期間を変更するとそのタスクのバーの長さが自動更新されるなど、手作業では難しい調整も簡単に行えます。
デザインのテンプレートも豊富に用意されていることが多く、プロフェッショナルな見た目のチャートを効率的に作成できるでしょう。
PowerPoint(パワーポイント)でガントチャートを作成する際の注意点
手軽で便利なPowerPointでのガントチャート作成ですが、専用ツールではないため、注意すべき点もあります。事前にデメリットを理解しておくことで、将来的なトラブルを防げます。
リアルタイムに情報を共有できない
PowerPointはリアルタイムでの情報共有が苦手です。基本的にファイルをローカル保存やメールでやり取りするため、複数人で同時に編集すると「最新版がどれかわからない」といった混乱が起こりやすくなります。
クラウド環境を使えば改善できますが、それでも運用ルールが整っていないと情報共有の妨げになりがちです。
- ファイル名のルールを決める
- 編集担当者を明確にする
- バージョン管理を徹底する
といった対策を行うことが大切です。これにより、チーム全体で常に最新情報を共有でき、効率的に作業を進められます。
修正作業に手間がかかる
PowerPointで作成したガントチャートは、1つのタスクの期間を変更しても、関連する他のタスクの日付が自動で更新されることはありません。すべての関連タスクを手動で一つずつ修正する必要があり、大規模なプロジェクトでは非常に手間がかかる可能性があります。
そのため、計画変更が少ない小規模プロジェクトや、進捗報告用の静的な資料としての利用に限定することをおすすめします。
PowerPointで作成したガントチャートでは管理しづらいプロジェクトの場合、以下の記事をご参照ください。PowerPoint以外のツールでガントチャートを作成する方法やおすすめのツールをご紹介しています。
目的に合わせた方法でプロジェクト管理を成功させよう
本記事では、PowerPointでガントチャートを作成する方法と、そのメリット・注意点を解説しました。PowerPointは手軽に使える一方で、修正に手間がかかるため、変更の多いプロジェクトや大規模案件には不向きです。
そのような場合には、Lychee Redmine の活用がおすすめです。ガントチャート機能により、複数プロジェクトの進捗を一元管理でき、部門横断的な業務や同時進行の案件でも全体を把握できます。
直感的に操作できるため、導入後すぐに活用できるのも特長です。さらに、必要な機能が充実している上、サポート体制も整っているため安心です。
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