意思決定プロセスは、組織の課題を解決するのに重要な準備段階ですが、「正しいプロセスを描けているのか」悩んでしまうものです。
「今行っている意思決定プロセスが上手く行かないので、新しい方法を試したい」という担当者もいるでしょう。
本記事では、意思決定プロセスの概要から7つのステップや5つのポイントまで詳しく解説します。
本記事を読めば、意思決定プロセスでの失敗を防げ、決断後の行動にも気を配れるようになります。
ぜひ参考にしながら、最後まで読み進めてください。
意思決定プロセスとは?
「意思決定プロセス」とは、その名の通り意思決定するまでのプロセスのことを指します。
課題・目標を解決するためにベストな選択をするのが「意思決定」です。
初めから意思決定プロセスをビジネスに置き換えて考えると、イメージしにくいかもしれませんので、日常に例えてみます。
あなたは昼食をとるためにコンビニでお弁当を買うか、定食屋に入るかのどちらにしようか迷っています。
このとき、意思決定をするためにさまざまなアクティビティを繰り返します。
例えば、「お弁当を買って手早く昼食を済ませるか」「店内でゆっくり食事をとるか」などを検討するでしょう。
最終的な選択に到達するための一連のステップが日常における意思決定プロセスです。
もし上記プロセスで「コンビニでお弁当を買う」を選択し、後悔しても大きな失敗とはいえないでしょう。
一方で、ビジネスでの意思決定を日常レベルで行ってしまうと、大きな損失につながりかねません。
ビジネスでの意思決定プロセスは、複数人で決断するケースもあり、複雑になりがちです。
次章では正しい意思決定を行うための「フレームワーク」をご紹介いたしますので、ぜひ参考にしながら読み進めてください。
【フレームワーク】意思決定プロセスの7つのステップ
意思決定プロセスのフレームワーク「7つのステップ」は下記の通りです。
- 意思決定の対象となる課題を特定する
- 関連情報を集める
- 代替案を特定する
- エビデンスを分析する
- 最終的な意思決定を行う
- 行動に移す
- 意思決定を見直す
それぞれのステップを確実に遂行することで、曖昧な意思決定を避けることにつながり、精度の高い決断を下せるはずです。
一方で、必要なステップを飛ばしてしまうと、時間や労力を無駄にしてしまいかねません。
ビジネスにおける意思決定プロセスを成功させるためにも、どのようなステップで進めればいいのかチェックしながら読み進めてみてください。
STEP1.意思決定の対象となる課題を特定する
正しい意思決定を行うには初めに「解決したい課題」や「目指している目標」などを特定する必要があります。
課題や目標を明確に特定できなければ、軸がブレてしまい正しい決断はできません。
具体的には下記のような問題を定義します。
- 解決したい課題は何か
- 答えが欲しい問いは何か
- 意思決定をしてどのような目標を達成したいのか
上記は一例ですが、問題を定義することで多くの情報を集められ、材料となり、最適な決断がしやすくなります。
ただし、解決したい課題を誤って設定すると、その後の意思決定プロセスがスムーズに行かなくなります。
また、解決したい課題や目指している目標が広すぎても、プロセスでつまずくことになりかねません。
意思決定後、測定しやすい目標を設定するのが大切です。
STEP2.関連情報を集める
意思決定の対象となる課題を特定したら、決断する事柄の関連情報を集めます。
なぜなら、情報に基づいた意思決定ができるからです。
関連情報を集める方法は下記の通りです。
- 市場調査を行う
- 外部コンサルタントの評価
- 過去の社内事例のデータ活用
- 信ぴょう性を裏付ける研究データ
- 過去に似たような課題を解決しようとしたメンバーに聞く
上記のように「社内と社外の両方」から、関連情報を集めることが大切です。
また、成功事例から失敗事例を集めるのも決断に必要な情報でしょう。
ただし、情報を集めすぎるとプロセスが複雑になるため、注意が必要です。
関連情報を集める際は、役立ちそうな情報に絞って集めることが大切です。
STEP3.代替案を特定する
関連情報が集まったら、「解決したい課題」や「目指している目標」に対する代替案を特定します。
ポイントとして、代替の選択肢は最低でも2つ以上見つけ出しましょう。
解決策が一つでは、最適なアプローチとはいえないかもしれません。
例えば、Googleの検索エンジンを通してサイトアクセス数を増加させたい場合、「自然検索」や広告を使った「有料検索」などの手段が挙げられます。
「サイトアクセス数を増加」に着手するなら、SNSを活用してサイトアクセス数を増加させる手段もあるでしょう。
一つの手段に絞るのか、複数のアイディアを掛け合わせるのかなど、複数の選択肢から代替案を特定すると意思決定の品質向上につながります。
代替案を特定する際は、視野を広げてさまざまな角度から、選択肢を2つ以上用意しましょう。
STEP4.エビデンスを分析する
複数の代替案を特定したら、エビデンス(証拠・根拠)やデータと照らし合わせて分析します。
特定した代替案が適切なものかどうかを判断するためのステップです。
例えば、社内事例があるなら過去の失敗例と成功例を分析します。
また、関連企業が行った施策を検討し、自社でも成功が見込めるのか見極める方法もあります。
代替案を見極める中でデメリットを特定し、「解消できるか」「気にならないものなのか」を判断し、メリットと比較して選択肢を絞り込んでいきましょう。
STEP5.最終的な意思決定を行う
最終的な意思決定は、十分に代替案の絞り込みができた段階で行います。
意思決定プロセスにおいて決定を下すステップとなるため、決断後の影響などを考慮して慎重に行います。
前項までで、必要な材料を洗い出していれば最適な決断が下せるはずです。
ただし、どれほど良い決断材料があっても優劣をつける際に多数決で決めてはいけません。
少数派の意見であってもさまざまな視点から判断することが大切です。
選択肢を制限せずに、チームで納得の行く決断をしましょう。
STEP6.行動に移す
最終的な意思決定ができたら、行動に移します。
具体的にはプロジェクト計画を策定するステップです。
プロジェクト計画とは、プロジェクトを成功させるために必要な要素を網羅した計画書のようなものです。
意思決定したプロジェクトを可視化し、進捗をモニタリングできるため、スムーズかつ認識のズレを生じにくくできます。
そのため、当初予定していた意思決定が大きくズレてしまう事態を防げます。
決断した意思決定が適切であったかどうかを判断することにも役立つでしょう。
プロジェクト計画が完成したら、割り当てられたタスクに取り掛かります。
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STEP7.意思決定を見直す
一定期間経過したら、意思決定が適切だったかどうかを振り返ります。
それは、成功基準を満たしているかを判断するためです。
具体的には下記について確認しましょう。
- 問題は解決したか
- 目標は達成できたか
- 良かった点と悪かった点は何か
これらを確認して意思決定が上手く行っていれば、今後の参考のために書き出しておきましょう。
一方で、達成できていない場合は同じ間違いをしないように、何が問題だったのかを振り返ります。
具体的に振り返ることで、意思決定の精度向上につながるでしょう。
意思決定プロセスを最大化させるための5つのポイント
意思決定プロセスを最大化させるための5つのポイントを紹介します。
本章では、意思決定後にその施策が間違った方向に進まないための方法についても紹介します。
自社の意思決定プロセスを進める上で「不足するかもしれない」あるいは「不足している」などと思っている方はぜひチェックしながら読み進めてください。
解決策よりも先に問題を明確にする
意思決定を行う際は解決策に注目しがちですが、問題を明確にするところから始める必要があります。
問題を明確にすることで現状を把握でき、プロセスを辿る際の方向性のズレを防げるためです。
解決策に注力すると、問題の本質を捉えることは難しいでしょう。
最適な意思決定プロセスを描くためにも、解決策ではなく問題を明確にすることからはじめましょう。
お互いに批判的な意見を出し合う
問題を明確にして解決策を考える際は、それぞれの意見を出し合うことが大切です。
例え批判的な意見であっても伝えます。
役職に関係なく全員が意見を出して共有するのは、最適な意思決定を下すのに不可欠です。
一つの偏った意見よりも、共有しあうことで新たな解決策が見出せるかもしれません。
組織の中であれば最終決裁者が意思決定を行いますが、必ずしもその分野に長けていないケースもあるので、周りの意見も聞いた上で意思決定をすることもあります。
したがって、批判的な意見であっても最終決裁者が意見を取り入れることで、意思決定しやすくなります。
全員の意見は一致しないことを考慮する
意思決定の場において、全員の意見が一致しないことを考慮します。
チームメンバー全員の意見は十人十色だと把握しておきましょう。
もしも、最終決裁者が全員の意見を一致させることができたとしても、多くの時間が必要になり、意思決定までに時間がかかります。
そうなれば、チャンスを逃す事態にもつながりかねません。
前例のない意見であっても否定的に捉えずに、幅広い視点から検討することが大切です。
ガントチャートを利用する
ガントチャートとは、設定したプロジェクトの進捗管理表のことです。
ガントチャートの利用は、プロジェクトの状況やスケジュールを可視化できます。
具体的には、「縦軸に作業項目や担当者」を記載し、「横軸に時間や日付などの期間を設定」します。
細かな工程を必要とする意思決定プロセスとも相性がよく、タスクやスケジュールを可視化できるため、意思決定を進めるべき順序でタスクを設定して活用しましょう。
また、行動に移すフェーズにおいても、ガントチャートを利用すると、プロセスのふりかえりも容易にできるでしょう。
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適切なプロジェクト管理をする
決断した意思決定プロセスも、適切なプロジェクト管理ができなければ施策の失敗につながりかねません。
意思決定プロセスでは「課題や目標を明確に特定することが大切」とお伝えしましたが、プロジェクト管理ができていなければ、課題解決に時間がかかります。
「どこでプロジェクトがつまずいているのか」「次の行動の優先順位は何なのか」など、プロジェクト管理をすればスムーズな施策実行が可能です。
また、可視化できる特徴があるため、意思決定の軸がブレていないかの確認もできるでしょう。
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【まとめ】意思決定プロセスは決定後の管理が重要
本記事では、意思決定プロセスの概要から7つのステップについて詳しく解説しました。
正しい意思決定を行うには、問題を明確に定義し、関連する情報のエビデンスやデータ分析が欠かせません。
一方で意思決定は、決定までのプロセスに注力しがちですが、その後のプロセス管理が重要です。
適切な管理ができていなければ、チームを効率的に動かすことができないほか、決断した意思決定もズレたものになりかねません。
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