システムが扱うデータの構造を視覚的に表現するツールのER図は、システムのデータベースを設計する上で欠かせません。データベース設計の初期段階でER図を作成すると、データの整合性を保ち、開発後の問題発生を未然に防げます。
本記事では、ER図の基本から具体的な作り方を初心者の方にもわかりやすく解説します。また、ER図の4つの基本要素や使用される記号・キーの意味・モデルまで網羅的に解説するので、作成に必要な知識を身につけてシステム開発に役立ててください。
ER図とは
ER図(Entity-Relationship Diagram)とは、システムが扱うデータ(実体)とデータ間の関係性(関連)を視覚的に表現するための設計図です。日本語では実体関連図と呼ばれ、主にデータベース設計の初期段階で用いられます。
例えば、レストランのシステムでは顧客・メニュー・注文・テーブルなどのデータが扱われます。ER図は、これら4つのデータが互いにどのように関わっているのかを線や記号で図式化するものです。
登場人物(エンティティ) | 関係性(リレーションシップ) |
---|---|
顧客 | メニューを見て料理を注文し、テーブルを利用する |
メニュー | 顧客が選択できる料理の一覧 |
注文 | どの顧客がどのメニューを注文したかの情報を持つ |
テーブル | 顧客が食事をする場所 |
ER図があれば、システム内のデータ構造を誰もが一目で理解でき、設計段階での誤りを防げます。また、データの構造の事前設計で、データベースのテーブル設計・カラム設計・リレーションシップ設計などを効率的に行うことも可能です。
さらに、プログラマー・データベース管理者・システムエンジニアなど、開発チーム全体でデータの構造に関する共通認識を持てるため、コミュニケーションの円滑化にも貢献する重要な役割を果たします。
ER図を作る3つのメリット
本章では、代表的な3つのメリットをご紹介します。
後戻りによるコストを防げる
ER図を作成する過程で、必要なデータやデータ間の整合性を十分に検討できます。そのため、開発の初期段階でデータの矛盾や不足を発見でき、手戻りを減らせます。
設計段階で問題点に気づければ、修正は比較的簡単です。しかし、開発が完了した後にデータの不備が見つかると大規模な手戻りが発生し、多大な時間とコストを要します。
データの整合性を検討できることはもちろん、開発チームや関係者間でのER図の共有で、データの構造や関連性についての共通理解を深められることも、後戻りによるコストを防げる理由の一つです。
運用・保守フェーズがスムーズに行える
完成したシステムは、長期間にわたって運用・保守されます。運用・保守期間は、システムの安定稼働を維持するために適切な管理が不可欠です。
ER図があれば、データベース全体の構造・テーブル間の関係性・各テーブルに含まれるデータ項目などをすぐに把握可能です。そのため、開発者はデータベース構造の理解に時間を費やすことなく、機能追加や改修作業を効率的に進められます。
また、構造が一目でわかると、開発担当者が変わる際の引き継ぎ資料としても非常に役立ちます。口頭での説明や書類だけでは伝わりにくい複雑な構造も、ER図であれば視覚的に理解可能です。
チーム間の認識を統一できる
システム開発には、エンジニアだけでなく企画担当者や営業担当者など様々な立場の人が関わります。しかし、専門用語に対する知識レベルが異なるため、認識を統一しないと意思疎通ができません。
ER図という視覚的な設計図を共有すると、言葉だけでは伝わりにくい複雑なデータ構造も、関係者間の認識を正確に合わせられます。仕様の誤解によるトラブルを未然に防げることは、大きなメリットです。
ER図を構成する4つの基本要素
ER図は、主に4つの基本的な要素で構成されています。オンラインストアを例に挙げて、わかりやすく解説します。
エンティティ(実体)
エンティティは、データベースで管理したいモノやコトを表す、データのまとまりを指します。図では四角形で表現され、顧客・商品・社員といった名詞が該当します。エンティティは、システムが何を扱うのかの根幹を示す要素です。
エンティティには、主に以下の3つの種類があります。
エンティティの種類 | 説明 | 例 |
---|---|---|
基本エンティティ(Strong Entity) | 他のエンティティに依存せず、独立して存在できるエンティティ | 顧客や商品など |
弱エンティティ(Weak Entity) | 単独では存在できず、特定の基本エンティティに依存するエンティティ | 注文明細は注文エンティティに依存する |
関連エンティティ(Associative Entity) | 複数のエンティティ間の多対多の関係を解消するために導入されるエンティティ | 学生とコースの多対多の関係を解消するために、履修エンティティを導入する |
アトリビュート(属性)
アトリビュートは、エンティティが持つ具体的な情報項目のことです。例えば、顧客エンティティには、氏名・住所・電話番号といったアトリビュートが含まれます。このような個別の情報は、エンティティを構成する詳細なデータ要素を表します。
属性にもいくつかの種類があるため、属性の種類を理解するとより適切なデータモデリングが可能です。
属性の種類 | 説明 | 例 |
---|---|---|
単純属性(Simple Attribute) | これ以上分割できない最小単位の属性 | 氏名、住所、電話番号など |
複合属性(Composite Attribute) | 複数の属性から構成される属性 | 住所 |
単一値属性(Single-valued Attribute) | 1つのエンティティに対して1つの値しか持たない属性 | 顧客ID、氏名など |
多値属性(Multi-valued Attribute) | 1つのエンティティに対して複数の値を持てる属性(通常、別のエンティティとしてモデル化することが推奨) | 電話番号、趣味など |
導出属性(Derived Attribute) | 他の属性から計算または導出できる属性(必ずしもデータベースに保存する必要はない) | 年齢(生年月日から導出) |
カーディナリティ(多重度)
カーディナリティは、エンティティ間の関係の数を示すルールです。関係性の明確化で、データの整合性を保てます。例えば、一人の顧客が複数の注文をできる場合、この関係を、1対多と表現するのが一般的です。
具体的には、以下の関係の種類があります。
関係の種類 | 説明 | 例 |
---|---|---|
1対1(One-to-One) | 1つのエンティティが、もう一方のエンティティの1つのインスタンスと関連付けられる | 1人の従業員は1つの社員証を持つ |
1対多(One-to-Many) | 1つのエンティティが、もう一方のエンティティの複数のインスタンスと関連付けられる | 1人の顧客は複数の注文を持つ |
多対多(Many-to-Many) | 複数のエンティティが、もう一方のエンティティの複数のインスタンスと関連付けられる。多対多の関係は、通常、関連エンティティを導入して解消します | 複数の学生が複数のコースを履修する |
リレーション(関係)
リレーションは、エンティティ同士がどのように関連しているかを示します。図ではエンティティ間を結ぶ線で表現され、「顧客が商品を注文する」といった動詞で表される関係性です。また、エンティティ間の関連性の種類を示す属性を含めることも可能です。例えば、「顧客が商品を注文する」のようなリレーションシップには、注文日・注文時間などの属性を含められます。
リレーションによって、システム全体のデータの流れが明確です。
ER図で使用される記号・キーの意味
ER図ではデータの一貫性を保つために、キーと呼ばれる特別なアトリビュート(属性)が使われます。また、リレーションを示す線には、カーディナリティ(多重度)を表す記号が付きます。
項目 | 意味 | 役割 |
---|---|---|
主キー (PK) | 各データを一意に識別するためのアトリビュート(属性) | 顧客IDや商品コードなど。重複しない値を持つ |
外部キー (FK) | 他のエンティティの主キーを参照するアトリビュート(属性) | エンティティ(実体)同士を関連付けるために使用する |
鳥の足 (Crow’s Foot) | リレーション(関係)の線の端に付く記号 | 「多」の関係を表す。IE記法でよく使われる |
主キー(Primary Key)は、エンティティ内のデータを一意に特定するIDのようなものです。テーブル内の各レコードを識別するために非常に重要な要素で、データの整合性を保つ上で必要です。例えば、顧客エンティティの顧客IDが該当します。
一方、外部キー(Foreign Key)は他のエンティティの主キーの参照で、エンティティ同士をつなぐ役割を果たします。例えば、注文エンティティは、顧客エンティティの主キー(顧客ID)を参照する外部キーを持ち、どの顧客がどの注文を行ったかを関連付けることが可能です。
また、鳥の足 (Crow’s Foot)はエンティティ間のリレーションシップを表現する際に用いられる記号で、一対多の関係性を示します。例えば、一人の顧客は複数の注文を持っている場合は図に鳥の足の記号を加えると、顧客エンティティと注文エンティティが一対多の関係にあることを明確に示せます。
では、3つの記号・キーを使う具体例を見ていきましょう。
顧客エンティティと注文エンティティを考えた場合、「一人の顧客が複数の注文を持つ」という関係を表現するために、顧客から注文へ向かう線上に鳥の足の記号を用います。この場合、注文エンティティは顧客IDを外部キーとして持ち、顧客エンティティの主キーである顧客IDを参照することで、どの顧客からの注文なのかを特定できます。
ER図のIE記法とIDEF1X記法の違い
ER図の書き方には、いくつかの標準的な表記法(ノーテーション)があります。中でも代表的なのが、IE記法とIDEF1X記法です。
IE記法の特徴とメリット・デメリット
IE記法は、直感的でわかりやすい表記法です。ゼロを意味する属性を「〇」・「1」を意味する属性を縦棒(|)・「多」を意味する属性を鳥の足(Crow’s Foot)のような記号で表現し、エンティティ間のリレーションシップを視覚的に表現するものです。専門的な知識を持たない人でも、比較的容易に理解できる点が大きなメリットで、広く利用されています。
ただし、複雑なリレーションの場合は図がわかりづらくなることがあります。また、詳細な属性情報や制約条件などの記述が難しいため、より詳細な設計を行う場合には、IDEF1X記法などが最適です。
IDEF1X記法の特徴とメリット・デメリット
IDEF1X記法は、アメリカの国家標準として採用されているより厳密な表記法です。黒丸・ひし形の記号・数字・英語を使って表現します。データの依存関係・属性の関連・エンティティ間の複雑な制約などを詳細に表現できるため、大規模で複雑なシステムの設計に向いています。
ただし、記法ルールが複雑で、習得に少し時間が必要です。
記法の選び方
どちらの記法を選ぶかは、プロジェクトやチームの特性によって決まります。IE記法は、小規模なプロジェクトや非エンジニアが多く関わる場合に適しています。一方、大規模システムで厳密な設計が求められる場合は、IDEF1X記法が選ばれることが多いです。
以下の表を参考に、記法を選びましょう。
観点 | IE記法 | IDEF1X記法 |
---|---|---|
わかりやすさ | ◎ | △ |
表現の厳密さ | ◯ | ◎ |
プロジェクト規模 | 小〜中規模 | 中〜大規模 |
チームメンバー | 非エンジニアを含む | エンジニア中心 |
ER図のモデル
ER図は一度に完成させるのではなく、段階的に詳細化していきます。設計プロセスは大きく3つのモデル(フェーズ)に分かれているため、本章では3つのモデルをわかりやすく解説します。
概念モデル
概念モデルは、設計のもっとも初期段階で作成されます。システムに必要な主要なデータ(エンティティ)は何か、どう関連しているのかなどの大枠を捉えることが目的です。
概念モデルの段階では、詳細なアトリビュートなどは定義しません。例えば、ECサイトを構築する場合の概念モデルでは顧客・商品・注文といったエンティティを定義し、それぞれの関係性を「顧客は注文を行う」「注文は商品を含む」のように記述します。顧客の住所・電話番号・商品の価格・在庫数など、詳細な属性は後の段階で定義します。
論理モデル
特定のデータベース製品に依存しない純粋なデータ構造の設計図である論理モデルでは、概念モデルをより具体的にしていきます。各エンティティが持つべきすべてのアトリビュートを洗い出し、主キーや外部キーを設定してエンティティ間の関係を明確にします。
論理モデルは後の物理モデル作成の基礎となり、データベースの性能や保守性に大きく影響するため、慎重に設計しなければなりません。
例えば、顧客エンティティであれば、顧客ID(主キー)・氏名・住所・電話番号・メールアドレスなどのアトリビュートを定義します。注文エンティティであれば、注文ID(主キー)・顧客ID(外部キー)・注文日・合計金額などのアトリビュートを定義します。そして、顧客と注文の関係を「顧客は複数の注文を持てる」と明確にしましょう。
物理モデル
物理モデルは、論理モデルを基に、実際に使用するデータベース管理システム(DBMS)に合わせて作成する最終的な設計図です。アトリビュートごとに、文字列型・数値型といったデータ型を定義したり、テーブル名やカラム名を英語の物理名に変換したりします。
例えば、論理モデルで顧客名というアトリビュートがあった場合の物理モデルでは、DBMSに合わせて、顧客名 VARCHAR(255)のようにデータ型とサイズを具体的に指定します。
物理モデルは、データベースのパフォーマンスやストレージ効率に直接影響を与えます。そのため、データベースの容量やアクセス頻度などを考慮して、テーブルのパーティショニングやクラスタリングといった物理的な構造の最適化も行いましょう。
物理モデルが完成すれば、データベースを構築する準備が整います。
ER図の作り方5ステップ
本章では、実際にER図を作成する手順を5つのステップに分けて解説します。
ステップ1:要件定義|データベースで何を管理したいかを明確にする
最初に、開発するシステムが何をどのように管理するものなのか明確にします。例えば、「顧客情報と注文履歴を管理し、売上分析を行いたい」といった具体的な目的を定義しましょう。目的を詳細に分解すると、システムに必要な機能やデータの構造が浮かび上がってきます。
要件定義がER図全体の土台となるため、関係者とのすり合わせを丁寧に行うことが重要です。
ステップ2:エンティティの洗い出し|管理対象となるものをリストアップ
次に、要件定義の内容から管理すべきデータのまとまりであるエンティティを洗い出します。顧客情報・注文履歴・商品情報などの要件に出てくる名詞を手がかりにするのが効率的です。
また、主要なエンティティのリストアップも行います。ポイントは、エンティティの候補を広めに挙げておき、後で整理することです。関連性が薄いものや、別で管理するエンティティの一部に含まれる属性は後ほど統合して調整できます。
ステップ3:リレーションシップの定義|エンティティ間の関連性を明確にする
洗い出したエンティティ同士がどのように関連しているかを定義します。「顧客は商品を注文する」「商品は注文に含まれる」など、エンティティ間の動詞的なつながりを意識して選ぶことがポイントです。同時に、「1人の顧客は複数の注文ができる(1対多)」といったカーディナリティ(多重度)も決めます。
正しい定義によって、ER図がより実装に近い形になり、後工程でのトラブルを防げます。
ステップ4:属性の定義|エンティティの詳細情報を定義する
各エンティティが持つべき詳細な情報(アトリビュート)を定義しましょう。例えば、顧客エンティティには顧客ID・氏名・住所などの属性を追加します。ステップ4の段階では、主キー(PK)も設定します。
他のエンティティとリレーションがある場合には、対応する外部キー(FK)の設定を忘れないように注意が必要です。
ステップ5:ER図の作成とレビュー|ツールを使って図を作成し、見直しを行う
最後に、これまで定義した内容を基に、作図ツールを使ってER図を清書しましょう。完成したER図は自分以外のチームメンバーにもレビューしてもらいます。客観的な視点でのチェックで、設計の漏れや矛盾点、誤解を早期に発見できます。
また、要件は変わることもあるため、ER図は一度作って終わりではなく、見直しと更新を前提とした設計書類として扱うことが大切です。
【モデル別】ER図の書き方
本章では、概念・論理・物理の3つのモデル別に、具体的な書き方のポイントを解説します。
概念モデル
概念モデルは、アイデアスケッチのようなものです。主要なエンティティを四角で描き、線で結んで関係性を示します。目的は関係者との大まかなイメージ共有のため、細かく描きすぎないことがポイントです。
概念モデルの例(オンラインストア) |
---|
[顧客] — (注文する) — [注文] — (含む) — [商品] |
概念モデルは、あくまでコミュニケーションツールです。そのため、専門的な用語や複雑な記号を使いすぎず、関係者が理解しやすいようにシンプルな表現が大切です。モデルの作成後には、関係者とレビューを行い、認識のずれがないかを確認します。
論理モデル
論理モデルでは、概念モデルに詳細情報を加えていきます。各エンティティに必要なアトリビュートをすべてリストアップし、主キー(PK)と外部キー(FK)を明記しましょう。カーディナリティを示す記号(IE記法なら鳥の足など)も追加し、厳密なデータ構造を定義します。
論理モデルの例(顧客エンティティ) |
---|
顧客ID(PK) |
氏名(非キー) |
メールアドレス(非キー) |
住所(非キー) |
論理モデルの目的は、概念モデルを詳細化し、データベースの構造をより具体的に表現することです。そのため、データの整合性やパフォーマンスを考慮した設計を行うことが重要です。
物理モデル
物理モデルは、実装に向けた最終仕上げの段階です。論理モデルを基に、テーブル名やカラム名をデータベースで実際に使用する物理名(通常は英数字)に変換します。
さらに、VARCHAR(255), INT, DATETIMEなどの各カラムのデータ型やNOT NULL制約、インデックス設定などを具体的に定義します。
物理モデルの例(Customersテーブル) |
---|
customer_id: INT(PK) |
user_name:VARCHAR(100) |
email:VARCHAR(255) |
address:TEXT |
物理モデルでは、データベースのパフォーマンスを考慮して設計することが重要です。
ER図を作成できるツールを紹介
ER図は手書きでも作成できますが、ツールを使うとより効率的で見やすい図を作成できます。本章では、代表的なツールをいくつかご紹介します。
ツール名 | カテゴリ | 特徴 | おすすめのユーザー |
---|---|---|---|
Excel | 汎用ソフト | 多くの人が利用可能。図形描画機能で作成できる。 | 手軽に始めたい人 |
Visio | 汎用ソフト | Microsoft製の高機能な作図ツール。テンプレートが豊富。 | Office製品を使い慣れている人 |
A5:SQL Mk-2 | 専用ツール | 高機能なデータベース開発ツール。ER図作成機能も強力。 | 本格的なデータベース設計をしたい人 |
draw.io | Webツール | 無料で利用できるWebベースの作図ツール。直感的で使いやすい。 | コストをかけずに始めたい人 |
Excel
引用:Excel
Excelは多くのPCにインストールされている表計算ソフトで、図形描画機能を使ってER図を作成できます。特別なツールを導入する必要がなく、手軽に始められるのがメリットです。
ただし、複雑な図の管理には向いていません。例えば、リレーションシップの種類やカーディナリティを正確に表現する記号が限られているため、詳細なER図の作成には工夫が必要です。また、データベースの構造変更に合わせてER図を修正する作業も、専用ツールに比べると煩雑になりがちです。
Visio
引用:Visio
Visioは、Microsoft社が提供する高機能な作図ツールです。ER図専用のテンプレートや図形が用意されており、見栄えの良い図を効率的に作成できます。普段からOffice製品を使っている方には、馴染みやすいツールです。豊富なテンプレートと図形ライブラリの利用で、専門的な知識がなくても簡単に高品質な図を作成できます。
また、作成した図は、WordやPowerPointなどの他のOffice製品と連携して利用可能です。共同編集機能も搭載されており、チームでの作業もスムーズに行えます。有償のソフトウェアですが、無料試用版も提供されています。
ER図の作成専用ツール
A5:SQL Mk-2やERMasterなど、データベース設計に特化した専用ツールもあります。
引用:A5:SQL Mk-2
A5:SQL Mk-2は、ER図からデータベースを自動生成したり、既存のデータベースからER図をリバース生成できます。高機能なため、知識のある方にぴったりなツールです。
引用:ERMaster
ERMasterは、直感的な操作でER図を作成できるだけでなく、DDL(Data Definition Language)の自動生成を行えます。また、既存データベースからのリバースエンジニアリング機能に加え、チームでの共同作業を円滑にするための機能も充実していることが特徴です。
どちらもフリーソフトのため、プロジェクトの規模やチームのスキルなどを考慮して、最適なER図作成ツールを選択しましょう。
無料で使えるWebツール
draw.io (diagrams.net)やLucidchartなど、ブラウザ上で利用できる無料の作図ツールも人気です。インストール不要で、直感的な操作でER図を作成できます。特に、個人での学習や小規模なプロジェクトに向いています。
draw.io (diagrams.net)は直感的で使いやすいことが特徴のツールです。高度な機能は少なく、大規模なER図の作成には向きません。個人での学習や小規模なプロジェクトで使用する方に最適と言えます。
Lucidchartは豊富なテンプレートと図形ライブラリがあることが特徴です。また、リアルタイムでの共同編集が可能で、チームでER図を作成・編集する方におすすめなツールです。ただし、無料版は機能制限があるため、有料プランが必要になる場合もあります。
プロジェクトの規模やチームのスキルに加え、予算も考慮しながらツールを選びましょう。
ER図を活用して効率的なデータベース運用をしよう
ER図は単なる設計図ではなく、開発チーム内の円滑なコミュニケーションを助け、将来の運用・保守コストを削減するための重要な書類です。最初は難しく感じるかもしれませんが、本記事でご紹介したステップに沿って作成すれば、誰でもわかりやすいER図を作成できます。
ただし、ER図を使いこなして、より品質の高い効率的なシステム開発を実現するためには、タスク管理やスケジュール管理が欠かせません。ER図作成におけるタスク管理・スケジュール管理を徹底すると、以下のようなメリットが期待できます。
効果 | 説明 |
---|---|
品質向上 | レビュープロセスの徹底により設計ミスを早期に発見し、手戻りを削減する |
効率化 | タスクの明確化と進捗管理により無駄な作業を排除し、生産性を向上する |
納期遵守 | スケジュールの最適化と進捗管理により、納期遅延のリスクを低減する |
コミュニケーション円滑化 | 各タスクの担当者と期日の明確化で、関係者間の連携を強化する |
導入社数7,000のプロジェクト管理ツールのLychee Redmineを使えば、ER図作成におけるタスク管理・スケジュール管理が効率的に行えます。
タスクの見える化や直感的な操作で行えるスケジュール作成は、忙しい要件定義フェーズに役立ちます。Lychee Redmineを活用して、効率的にERを作成してみてください。
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