プロジェクトを成功に導く鍵として、 近年注目を集めているPMO。 しかし、その役割や必要性、 具体的な活動内容については、 まだ曖昧な部分も多いのではないでしょうか。

本記事では、PMOの基礎知識・メリット・職種ごとの役割・ 活動アプローチなどを解説します。 社内・社外のPMOの違いも、あわせてご覧ください。

PMOとは?

PMO(Project Management Office)とは、組織内におけるプロジェクトマネジメントの標準化・支援・および統制を行う部門または組織です。さらに、組織全体のプロジェクトマネジメントを統括する役割もPMOが担います。

PMOのおもな目的は、プロジェクトの成功率を高め、組織全体の戦略目標達成に貢献することです。そのために、プロジェクトマネジメントの知識や経験を集約し、標準化された方法論やツールの提供によりプロジェクトの効率化と品質向上を図ります。

PMOの必要性

近年、企業を取り巻く環境の複雑化にともない、プロジェクトの規模も拡大・多様化しています。そのため、プロジェクトの成功に高度なマネジメント能力が求められています。PMOは、組織全体のプロジェクトマネジメント能力を底上げし、プロジェクトの成功を支援する上で重要な役割です。

PMOの導入によって期待できる効果は、おもに以下の5つです。

  • プロジェクトの標準化と効率化
  • プロジェクトのリスク管理強化
  • プロジェクトの品質向上
  • プロジェクトマネージャーの育成
  • 組織全体のプロジェクトマネジメント能力向上

上記の効果により、プロジェクトの遅延・失敗のリスクを減らし、コスト削減や収益向上などの効果を見込めます。

PMOとPMの違い

PMOとPM(プロジェクトマネージャー)は、以下のように役割と責任範囲が異なります。

  PMO PM
役割 組織全体のプロジェクトマネジメントの標準化・支援・統制 個々のプロジェクトの計画・実行・管理・完了
責任範囲 複数プロジェクトを横断的に管理 特定のプロジェクトに専念
主な活動 プロジェクトマネジメント方法論の策定・改善・プロジェクト支援・リソース管理・進捗管理 プロジェクト計画の作成・チームの組織化・タスクの割り当て・進捗管理・リスク管理
目的 組織全体のプロジェクト成功率向上・戦略目標達成 担当プロジェクトの目標達成

PMOは、PMがプロジェクトを円滑に進めるためのサポート役であり、組織全体のプロジェクトマネジメント能力向上に貢献する戦略的な役割を担っています。PMOとPMの連携により、プロジェクトの成功率向上を見込めます。

PMOを導入する2つのメリット

PMOを導入することで、組織は様々な恩恵を受けることができます。本章では、PMOを導入する2つのメリットを解説します。

プロジェクト進行がスムーズになる

PMOは、以下のように、プロジェクト全体の標準化・プロセス改善・リソース管理などを担当します。

  • 標準化されたプロセス:全社的に統一されたプロジェクト管理手法を導入することで、プロジェクトの品質を向上させ、属人化を防ぎます。
  • 効率的なリソース配分:プロジェクトに必要なスキルを持つ人材を適切に配置することで、リソースの有効活用を促進します。
  • リスク管理の強化:プロジェクトのリスクを早期に特定し、適切な対策を講じることで、プロジェクトの成功率を高めます。

PMOにより、プロジェクトの立ち上げから完了まで、一貫性のある効率的な進行が可能です。

例えば、プロジェクトに必要な書類のテンプレートの提供や進捗状況の可視化ツールの導入などによる、PMの負担軽減と戦略的な業務の実現です。また、PMOがプロジェクトの状況をリアルタイムに把握でき、問題発生時の迅速な対応や意思決定をサポートし、プロジェクトの遅延・失敗リスクの軽減につながります。

現場の負担軽減を実現できる

PMOは、プロジェクトマネージャーやチームメンバーが本来注力すべき業務に集中できるよう、様々なサポートを提供します。具体的なサポート内容としては、以下のものが挙げられます。

サポート内容 詳細
進捗管理 プロジェクトの進捗状況を定期的に確認し、遅延や問題が発生している場合には、適切な対応を支援します。
課題管理 プロジェクトで発生した課題を特定し、解決策を検討し、実行を支援します。
リスク管理 プロジェクトのリスクを特定し、発生確率と影響度を評価し、リスク軽減策を策定します。
コミュニケーション支援 プロジェクト関係者間のコミュニケーションを円滑にするために、会議の開催、議事録の作成、情報共有などを支援します。

PMOの導入は、プロジェクトの成功率を高めるほか、現場担当者のワークライフバランス改善にもつながります。

PMOの職種ごとの役割

PMOには、プロジェクトの規模や組織の体制によって様々な役割が存在します。ここでは、代表的な職種であるPMOアドミニストレータ・PMOエキスパート・PMOマネージャーの3つの役割について解説します。

PMOアドミニストレータ

PMOアドミニストレータは、PMの事務的な業務全般をサポートする役割を担い、具体的な業務内容は以下の通りです。

  • プロジェクト関連の資料作成・管理:会議資料・報告書・議事録などの作成・整理・保管
  • スケジュール管理:プロジェクト全体のスケジュール管理・進捗状況の確認・遅延時の対応などのサポート
  • 会議の準備・運営:会議の準備・参加者への連絡・議事録の作成など
  • プロジェクトメンバーのサポート:プロジェクトメンバーからの問い合わせ対応、事務手続きのサポートなど
  • その他:請求書処理・備品管理など、プロジェクト運営に関わる様々な事務作業

PMOアドミニストレータは、プロジェクトを直接支援する役割を担い、プロジェクトの成功を支える重要な存在です。

PMOエキスパート

PMOエキスパートは、特定の分野における専門知識やスキルを活かして、プロジェクトの品質向上や効率化を支援します。PMOアドミニストレータがプロジェクトを直接支援するのに対し、PMOエキスパートはプロジェクトの環境を支援するという役割の違いがあります。具体的な業務内容は以下の通りです。

  • プロジェクトマネジメント:プロジェクトマネジメントに関するテンプレート作成、標準化などの推進
  • 品質管理:プロジェクトの品質基準策定・品質評価・改善提案など
  • リスク管理:プロジェクトのリスク特定・分析・対応策の策定など
  • 教育・研修:プロジェクトメンバーへのトレーニング・スキルアップ支援
  • ツール導入・支援プロジェクト管理ツールの導入・運用支援・活用など

PMOエキスパートは、プロジェクト全体のレベルアップに貢献するポジションです。

PMOマネージャー

PMOマネージャーは、PMOチームのリーダーとして、PMO全体の戦略策定・組織運営・メンバーの育成などを統括します。PMOにおける最上位の職種で、具体的な業務内容は以下の通りです。

  • PMO戦略の策定:組織の目標達成に向けたPMO戦略の策定と実行
  • PMO組織の運営:PMOの組織体制構築・役割分担・業務プロセスなどの設計
  • メンバーのマネジメント:PMOメンバーの採用・育成・評価・キャリアパス支援など
  • プロジェクトポートフォリオ管理:複数プロジェクト全体の進捗状況・リスク・課題などの管理と優先順位付けやリソース配分の最適化
  • ステークホルダーとの連携:経営層・各部門・プロジェクトチームなど、関係者との円滑なコミュニケーション

PMOマネージャーは、高いリーダーシップとマネジメント能力が求められる、PMOの成功を左右する重要な役割です。

PMOの3つの活動アプローチ

PMOは活動内容によって、大きく3つのアプローチに分類できます。プロジェクトに対するPMOの立ち位置によって、PMとの関係性や業務内容が異なるため、どのような意図をもって設置するかが重要です。

PMをサポートする「支援型」

支援型PMOは、PMの指示を受けながら、定型業務を中心にプロジェクト管理業務をサポートします。支援型PMOの特徴は以下の通りです。

特徴 詳細
役割 PMのサポート・定型業務の代行
業務内容 書類作成支援・進捗管理ツールの利用支援・会議の準備・議事録作成など
PMとの関係性 PMの指示に基づく柔軟なサポート
メリット PMの負担軽減・プロジェクト管理の標準化

プロジェクトの進捗を管理「コントロール型」

コントロール型PMOは、プロジェクトの進捗状況をモニタリングし、問題点やリスクを早期に発見することを目的とします。PMに対する影響力は支援型PMOより大きく、特徴は以下の通りです。

特徴 詳細
役割 プロジェクトの進捗管理・品質管理
業務内容 進捗状況のモニタリング・課題とリスクの特定・品質管理基準の策定と運用など
PMとの関係性 進捗状況を共有と改善策の提案
メリット プロジェクトの遅延防止・品質向上

プロジェクト全体を統括「指揮型」

指揮型PMOは、プロジェクト全体の戦略策定から実行までを統括します。複数のプロジェクトを横断的に管理し、組織全体のプロジェクトマネジメント能力向上を図る役割です。

特徴 詳細
役割 プロジェクト全体の統括・戦略策定
業務内容 プロジェクトポートフォリオ管理・リソース配分など
PMとの関係性 プロジェクトの方向性を示して意思決定を支援
メリット 組織全体のプロジェクトマネジメント能力向上・戦略的なプロジェクト推進

社内PMOと社外PMOの役割の違い

PMOには、組織内に設置される「社内PMO」と、外部の専門家を活用する「社外PMO」の2種類があります。それぞれ役割や強みが異なるため、自社の状況やニーズに合わせて適切な形態を選択することが重要です。

社内PMOの役割

社内PMOは組織内部に設置され、企業の文化・業務プロセス・社内システムなどの理解に長けている点が強みです。おもな役割は以下の通りです。

  • プロジェクト標準化の推進:社内全体のプロジェクトマネジメントの標準化・プロジェクト品質向上の推進
  • プロジェクト管理手法の導入・定着:組織内で一貫したプロジェクト管理手法導入と定着支援
  • 若手PMの育成:若手PMへの実践的なアドバイスや指導による人材育成
  • リソース管理:複数プロジェクトの横断的な把握・適した人材配置によるリソースの最適化
  • 社内手続きのサポート:社内特有の事業・労働環境・リソースなどの知識を活用した円滑な手続きのサポート

社内PMOは、組織の一員として、現場に寄り添った支援を実施できるのが強みです。ただし、PMOが先輩の場合、PMが頼りすぎてしまう傾向がある点には注意が必要です。

社外PMOの役割

社外PMOは、外部の専門家集団として、客観的な視点と高度な専門知識を提供します。おもな役割は以下の通りです。

  • プロジェクトマネジメント手法の導入支援:最新のプロジェクトマネジメント手法やツールに関する知識を基にした最適な手法の導入支援
  • プロジェクトの客観的な評価:プロジェクトの進捗状況や課題の客観的な評価と改善策の提案
  • 高度な専門知識の提供:特定分野の専門知識や経験を持つメンバーによるプロジェクトの課題解決支援
  • PMOの立ち上げ支援:PMOの立ち上げに必要なノウハウ・リソース提供による組織内でのPMO定着支援

社外PMOは、専門的な知識や豊富な経験を活かし、組織のプロジェクトマネジメント能力を底上げする役割を担います。社外PMOとの連携を強化するために、社内またはプロジェクトにおける特殊的な事業・労働環境・リソースなどの詳細を事前に伝えましょう。

PMOに必要なスキル

PMOとして活躍するためには、専門知識や経験に加えて、様々なスキルが求められます。豊富なスキルを所持することで、プロジェクトの成功や組織の目標達成に貢献できます。

PMOに求められる主要なスキル

PMOに求められる、おもなスキルは以下の通りです。

スキル 詳細 重要度
プロジェクトマネジメントスキル プロジェクト計画・実行・監視・コントロール・終結といった一連のプロセスを管理する能力。WBS(Work Breakdown Structure)の作成・ガントチャートの作成・リスク管理などが含まれます。 非常に高い
コミュニケーションスキル プロジェクトメンバー・ステークホルダー・経営層など、様々な関係者と円滑なコミュニケーションを図る能力。情報伝達・交渉・プレゼンテーションなどが含まれます。 非常に高い
問題解決能力 プロジェクトで発生する様々な問題に対して、原因を分析し、解決策を立案・実行する能力。論理的思考力・分析力・意思決定力などが含まれます。 高い
リーダーシップ プロジェクトチームをまとめ、目標達成に向けて牽引する能力。メンバーのモチベーション向上・チームワークの促進などが含まれます。 高い
情報収集・分析力 プロジェクトに関する情報を収集し、分析する能力。市場動向・競合情報・技術動向などを把握と、プロジェクト戦略への反映が求められます。
交渉力 関係者との利害調整を行い、合意形成を図る能力。ベンダーとの契約交渉・社内リソースの調整などに必要です。
ITスキル プロジェクトで使用するITツールやシステムに関する知識。プロジェクト管理ツール・コミュニケーションツール・分析ツールなどを使いこなす能力です。 プロジェクトによる

職種別のスキルセット

PMOは、下記のように、職種によって求められるスキルセットが異なります。

  • PMOアドミニストレータ:事務処理能力・コミュニケーションスキル・情報整理能力
  • PMOエキスパート:IT・財務・法務など特定の専門知識・分析力・問題解決能力
  • PMOマネージャー:プロジェクトマネジメントスキル・リーダーシップ・意思決定力

スキルアップのための学習方法

PMOに必要なスキルを習得するためには、様々な学習方法があります。

  • 書籍や記事:プロジェクトマネジメント・コミュニケーション・問題解決などに関する書籍や記事を読んで知識を深める
  • 研修やセミナー:専門機関が開催する研修やセミナーに参加して実践的なスキルを学ぶ
  • 資格取得:PMP(Project Management Professional)などの資格を取得して知識とスキルを証明
  • OJT(On-the-Job Training):実際のプロジェクトに参加して経験豊富なPMOメンバーから指導を受ける

自身のキャリアプランに合わせて、自身の強み・弱みを分析し、優先順位をつけて計画的にスキルを習得しましょう。

PMOに関するよくある質問

PMOに関する疑問を解消し、PMOへの理解を深めましょう。

PMOの資格は必要?

PMOとして働くために必須の資格はありません。しかし、資格の取得は以下の観点において効果的です。

  • 実力証明:資格が知識や経験の証明となる
  • 知識習得:資格取得に向けた学びで知識の幅が広がる

PMOに役立つおもな資格は以下の通りです。

資格名 概要
PMP(Project Management Professional) プロジェクトマネジメントに関する国際的な資格。プロジェクトの立ち上げから完了まで、一連のプロセスを管理する能力を証明します。
CAPM(Certified Associate in Project Management) PMPの登竜門となる資格。プロジェクトマネジメントの知識があることを証明します。
PMOスペシャリスト認定資格 日本PMO協会が認定する資格。PMOの知識・スキルを証明します。
情報処理技術者試験(プロジェクトマネージャ試験) 情報処理技術者としての知識・スキルを証明する国家資格。プロジェクトマネジメントに関する知識も問われます。

PMOになるにはどうすれば良いか

PMOになるための明確なルートは確立されていませんが、一例としては、以下のようなルートがあります。

  1. プロジェクトメンバーとして、プロジェクトに参加し、実務経験を積む。
  2. プロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーとして、プロジェクトを推進する経験を積む。
  3. PMOに関する研修やセミナーを受講し、専門知識を習得する。
  4. PMOの求人に応募し、採用される。

未経験からPMOを目指す場合は、プロジェクトメンバーとして経験を積み、徐々にステップアップしていくのが一般的です。

PMOとPM、どちらを目指すべき?

PMOとPMで迷ったときは、自身の強み・興味関心・キャリアプランを考えてみましょう。

  • PM:個別のプロジェクト推進に魅力を感じる人
  • PMO:複数プロジェクトの俯瞰的な管理や組織全体のプロジェクトマネジメント能力向上に貢献したい人

PMOの導入で業務効率化・生産性向上を実現できる

本記事では、PMOの基礎知識や役割・必要なスキルなどを解説しました。PMOの導入は、変化の激しい現代のビジネス環境において、業務効率化と生産性向上を実現するための重要な戦略です。

なぜなら、PMOがPMのサポートを担い、俯瞰的な立場で行動することで組織全体の競争力維持や向上につながるためです。PMOの導入を迷っている場合は、この機会に検討してみましょう。

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