テレワークの普及にともない、プロジェクト管理のあり方が大きく変化しています。

中でも、従業員の動きが不透明になりつつある昨今、作業時間や必要人員を管理する工数管理の重要性が高まっています。

しかし、「そもそも工数とは一体なんだろう?」「工数を適切に管理するには何に気をつければいいの?」とお悩みの方も多いはず。

本記事では、工数の概要を紹介しつつ、適切に管理するためのポイントを解説します。

高い精度で工数を管理し、プロジェクト最適化の実現を目指す方はぜひ参考にしてみてください。

工数とは?計算方法や用語もチェック

工数とは、プロジェクトやタスクの完了までに必要な人員・作業時間のことです。
元々は、製造業を中心に用いられてきた用語ですが、今ではさまざまな企業で採り入れられています。

また、プロジェクトの達成に必要な人・時間を管理することを、工数管理と呼びます。
人・時間を正確に管理できれば、プロジェクトのスケジュールを立てやすく、円滑に進行させやすくなります。

中長期的には、プロジェクトにおけるムダな工数を削減し、納期遅延の防止やコストの削減が可能です。

つまり工数管理の目的は、プロジェクトのムダを省き、メンバーの生産性を高め、利益の最大化を実現することなのです。

工数管理に必要な単位

工数管理では、必要な人員と時間をセットで管理しなければなりません。

そのため、以下3つのような独自の単位を用います。

  • 人月(にんげつ)
  • 人日(にんにち)
  • 人時(にんじ)

人月(にんげつ)

人月は、人の作業量を月単位で表すための単位です。

具体的には、作業に従事する人数とプロジェクトへの従事期間(月単位)で計算します。

例えば、10人で作業を進め、1ヶ月で達成した場合、「10人×1ヶ月=10人月」です。
6人で10ヶ月かかれば、60人月と表します。

ただ厳密にいうと、メンバーの就業時間は1日8時間、週5日が基本であるため、1ヶ月の基準によって、実績とのずれが生じやすい傾向があります。

また、人月では個々の能力や作業スピードを反映しにくいため、単純作業や定型的な業務に適しています。

人日(にんにち)

人日は、人の作業量を日単位で表すための単位です。

10人で作業を進め、1日で完了した場合は10人日と表します。

前述した人月よりも従事期間の粒度が細かく、小規模〜中規模プロジェクトに適した単位です。

また、比較的達成が容易なタスクの管理にも用いられます。

ただし人月と同様、1日には休憩時間やほかの業務時間も含まれるため、工数管理における1日の定義をあらかじめ設定しておくと良いでしょう。

人時(にんじ)

人時は工数の中で最も小さい単位であり、マンアワーと呼ばれる場合もあります。

人時では、作業量を時間単位で表します。

3人体制で作業を進め、4時間で完了した場合の工数は、12人時です。

人時では、作業量を1時間単位で区切るため、プロジェクトの中でも細かなタスクを管理する際に用いられます。

工数の計算方法

工数の計算方法は、以下のとおりです。

作業に掛かった人員×所要時間=工数

例えば、5人で作業を進め、1ヶ月で完了した場合、5(人)×1(月)=6(人月)です。

また、場合によってはプロジェクトの途中でメンバー数が変動する場合もあるでしょう。

例えば納期が6ヶ月のプロジェクトで、はじめの3ヶ月は4人、残りを3人で進めた場合、工数の計算方法は、以下のとおりです。

はじめの3ヶ月 4(人)×3(月)=12(人月)
残り3ヶ月 3(人)×3(月)=9(人月)
合計工数 12(工数)+9(工数)=21(人月)

人員の変動が激しいプロジェクトでは、計算に多くの時間・手間がかかりますが、こまめに工数を計算することが大切です。

同規模のプロジェクトを進める際、前回の工数から必要人員・作業時間を逆算できるためです。

例えば上記の表の場合、合計工数が21人月なので、以下のように言い換えられます。

  • 1人で稼働した場合、21ヶ月かかる
  • 1ヶ月で達成するには、21人必要

上記の情報から、人員・作業時間を設定すると、ムダを省いた正確な計画が立てられるでしょう。

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プロジェクトにおける工数管理の重要性

プロジェクトにおいて、工数管理が求められる理由は以下の3つです。

  • リソースのムダを改善できる
  • 見積もりの精度が高まる
  • 進捗管理に役立つ

本章では、上記3つの理由を解説します。

リソースのムダを改善できる

工数管理は、プロジェクトにおけるリソースのムダを改善するためにも重要です。

そもそも工数管理とは、作業に投じる人・時間を管理する手法です。

作業ごとに繰り返し工数管理を行うと、どの業務をだれがどれくらいの時間を費やしているかがわかるため、過剰な人的リソースの投下防止に役立つことや、

想像よりも進行に時間がかかっていない≒「人員不足」であることがわかるため、納期遅延などのムダを把握することができます。

また、発見したムダを改善すれば、限りあるリソースを効果的に運用できるでしょう。

結果、メンバーひとりひとりの生産性を向上でき、プロジェクトの利益を高められます。

見積もりの精度が高まる

プロジェクトの工数管理を繰り返すことで、見積もり精度の向上が期待できます。

初めてプロジェクトを行う場合は、どの作業にどれだけの時間・人員がかかるのか、大まかな予測はできますが、実測値と予測値に大きな差が生じるものです。

たとえば、プロジェクトごとに工数管理を徹底し、PDCAサイクルを回していけば各プロジェクトで類似の業務が発生した場合、工数を算出しやすくなり、徐々に見積もり精度を高められます。

見積もりの精度が向上すると、納期遅延の減少や成果物の品質向上につながり、クライアントからの信頼を獲得しやすくなります。

また、必要なコストを客観的に見つめ直せるため、予算申請などの承認がおりやすくなるでしょう。

進捗管理に役立つ

工数管理は、進捗状況を管理するうえで大きな役割を果たします。

工数管理でスケジュールやコスト感などの計画が決まれば、実行過程で実測値と計画を比較し、進捗状況の良し悪しを測定できるためです。

万が一、計画よりも遅れている場合は、人員の追加や作業の分担をすることで、納期遅延などの最終的なリスクを回避できます。

また、メンバーひとりひとりの作業量や進み具合を計画と比較することで、業務の偏りや遅延原因を早期に対処できるでしょう。

結果、チーム全体の生産性を確保しつつ、プロジェクトの成功率を高められます。

工数を管理するためのポイント

工数を管理する際には、以下のポイントを意識することが重要です。

  • メンバーの能力や作業スピードを考慮する
  • 日々の作業報告を上げてもらう

上記のポイントを見落としていると、工数管理が単なる作業となり、当初の目的であるプロジェクトの最適化を実現できない恐れがあります。

本章では、そのような工数を適切に管理するためのポイントを順に紹介します。

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メンバーの能力や作業スピードを考慮する

1つ目のポイントは、メンバーの能力や作業スピードを工数に盛り込むことです。
「必要な人員×作業時間=工数」では、ひとりひとりのスキルや作業効率が考慮できていません。

ただ、実際のプロジェクトでは、特定の人しか対応できない業務や人によって所要時間が異なるケースも出てきます。

例えば、10日で終わると思っていた業務に12日かかったり、担当者不在で先行タスクが完了しなかったりするなどです。

結果、納期遅延や成果物の品質低下を招き、プロジェクトの失敗につながります。

こうした事態を回避するためにも、工数管理ではひとりひとりのスキルや作業効率を反映することが重要です。

そのためにも、まずは作業報告の提出やメンバーへのヒアリングなどを行い、ひとりひとりの能力値を把握する必要があります。

人手では多くの手間がかかるため、ITツールなどを活用すると良いでしょう。

日々の作業報告を上げてもらう

2つ目のポイントは、プロジェクトメンバーに日々の作業報告を上げてもらうことです。

工数を設定する場合、過去の情報をもとにどれほど細かく設定しても、必ず実績と差が生じるものです。

メンバーのモチベーションや作業ミスなど、予測の範疇を超えるさまざまな要因が存在するためです。

実績と計画のズレがたとえ小さなものでも、放置すると徐々に大きくなり、取り返しがつかなくなるケースもあります。

ズレが生じた際に少しでも早く修正するためにも、プロジェクトの実行過程では、日々の作業報告を上げてもらうことが大切です。

また、作業報告を確認することで、各メンバーの業務負担や管理者との認識のズレにも気づきやすくなります。

プロジェクトの工数を正確に管理・把握し、適切な改善行動をとるためにも、作業報告を徹底すると良いでしょう。

【注意】プロジェクトの工数管理には時間・手間がかかる

工数管理はプロジェクトのムダを省き、利益を向上させるためにも重要な業務です。

しかし、Excelやスプレッドシートなどの表計算ソフトを活用して人手で工数を管理すると、多くの時間と手間がかかります。

例えば、作業報告のデータを管理シートへ手打ちしたり、数式が崩れた際に修正の手間が生じたりなどです。

本来プロジェクトの効率化を目指すはずの管理業務に、多くのリソースを割いていては本末転倒です。

より効率的かつ正確に工数を管理するには、対応する管理機能を搭載したプロジェクト管理ツールの導入がおすすめです。

プロジェクト管理ツールには、プロジェクトマネージャーのみならず、作業メンバーの手間を減らすさまざまな機能が搭載されています。

作業報告の内容が自動的にデータベースへ反映されたり、完了作業に投じた作業時間を自動的に集計してくれたります。

Excelやスプレッドシートのように、わざわざ関数や数式を組む必要がないため、比較的手軽に利用できるでしょう。

プロジェクトの工数を効率的に管理したい方は、プロジェクト管理ツールの利用を検討してみてはいかがでしょうか。

工数を効率的に管理するならLychee Redmineがおすすめ

プロジェクトの工数を効率的かつ正確に管理するなら、Lychee Redmineがおすすめです。

Lychee Redmineとは、国内で7,000社以上もの導入実績を誇るプロジェクト管理ツールです。

小規模プロジェクトから、メンバー数の多い大規模プロジェクトにも対応するため、必要な機能が網羅的に搭載されています。

また、利用に際しては複数の料金プランが用意されているので、会社・プロジェクトの規模に関わらず高い定着率を誇ります。

本章では、Lychee Redmineに搭載された3つのおすすめ機能を紹介します。

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おすすめ機能1.タイムマネジメント

工数管理に役立つ1つ目の機能は、タイムマネジメント機能です。

タイムマネジメント機能では、作業担当者が自ら作業時間を管理しやすいよう、稼働上限が表示されたり、作業予定時間の入力ができたりします。

その結果、無理な作業計画を早期に察知でき、工数や計画の見直しが可能です。

また、作業報告のデータを一元的に管理できるため、プロジェクト途中でも工数の見直しや改善がしやすいでしょう。

一般的なカンバン方式のツールと比べると、やや各機能が複雑ですが、うまく活用できればプロジェクトを抜本的に最適化できます。

おすすめ機能2.ガントチャート

2つ目のおすすめ機能は、ガントチャートです。

ガントチャートは、プロジェクト全体を俯瞰し、進捗状況や必要工数を洗い出す際に効果的です。

さらにLychee Redmineのガントチャートは、操作性の面でも優れています。

開始日や終了日などのデータを入力する従来のガントチャートとは異なり、ドラッグ&ドロップでガンドバーを作成できます。

プロジェクト管理ツールを初めて利用する方でも、迷うことなく直感的に操作できるでしょう。

また、急なスケジュール変更が生じても、時間をかけることなく管理データを修正できるため、プロジェクトマネージャーはより生産性の高い業務へ注力できます。

プロジェクトの工数や進捗を適切に管理しつつ、管理工数を抑えられる点は、Lychee Redmineならではの魅力です。

おすすめ機能3.コスト管理

3つ目の機能は、作業工数をもとに算出するコスト管理機能です。

Lychee Redmineでは、日々の作業報告や工数データをもとに、プロジェクトの収支状況をリアルタイムで可視化できます。

また、あらかじめプロジェクトの予算を設定しておくことで、実績との差異を瞬時に把握でき、改善サイクルの短縮化を実現できます。

一般的に、プロジェクトの終了段階で顕在化する予算オーバーを未然に防げるため、単に成果を上げるだけでなく、十分な収益を確保できるでしょう。

工数を管理し、プロジェクトをスムーズに推進しよう

本記事では、工数の概要を紹介しつつ、適切に管理するためのポイントを解説しました。

工数管理の主目的は、以下の3つです。

  • プロジェクトにおけるムダを省く
  • メンバーひとりひとりの生産性向上
  • プロジェクトの収益向上

しかし、工数管理の実行には多くの手間と時間がかかります。

そのため、効率的かつ正確に管理するには、プロジェクト管理ツールの利用がおすすめです。

本記事で紹介したLychee Redmineは、工数管理のみならずさまざまな管理機能を網羅的に搭載しています。

また、プロジェクトや企業の成長に合わせて機能の拡張もできるため、長期的に利用できるでしょう。

Lychee Redmineでは、30日の間スタンダードプランを無料で利用できるトライアルが用意されています。

まずは実際に利用し、自社のプロジェクト特性や管理体制に適しているのかを検討されてみてはいかがでしょうか。

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