「Excelを使った工程表の作り方を知りたい」
「工程表を効率よく作成する方法はないかな?」
上記のような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
工程表は工程管理や進捗管理に欠かせない、いわば道筋のようなものです。
本記事では、Excelを使ったガントチャート工程表の作り方を紹介します。
数分程度で作成できるので、ぜひ実践してみてください。
Excelで作れる工程表の種類
工程表には用途・目的に応じて、さまざまな種類があります。
中でも、Excelで作成できる代表的な工程表は、下記の2種類です
- ガントチャート
- バーチャート
ここでは各種工程表の特徴について紹介します。
工程表1.ガントチャート
ガントチャートとは、プロジェクトを細かな作業単位にまで展開し、階層別にまとめた表のことです。
縦軸には、タスクや担当者、開始日・終了日を記載します。
横軸には日時や達成率を記載し、タスクの進捗状況を可視化します。
ガントチャートの作成には、作業の洗い出しや階層分け、担当者設定やスケジューリングなどが必要です。
そのため、ガントチャートを作成した段階でプロジェクトの全体像を捉えやすく、計画の妥当性を判断できる点が魅力です。
また、作業開始後は一目で進捗度合いや担当者の業務負担を把握できるため、タスクの再分配やリソースの投入など、適切なべき対策をとりやすいでしょう。
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工程表2.バーチャート
バーチャートとは、作業の開始から終了までを棒状のグラフで表したものです。
縦軸に作業項目、横軸に時間を記載します。
構造はガントチャートと似ていますが、タスクの階層や達成率が記載されないなど簡略的なケースが一般的です。
棒工程表とも呼ばれており、タスクの進捗状況を一目で把握できる点が魅力です。
ただしガントチャートと比較すると各作業の関連性が把握しにくいため、短期的なプロジェクトや簡略的なプロジェクトに用いられます。
Excelを使った工程表の作り方
本章では、工程表の中でも最も一般的に使われる「ガントチャート」の作成方法を紹介します。
Excelを使った工程表の作り方は、下記の3ステップです。
- 工程表作成の下準備
- Excelで工程表の骨格を作成
- 工程表を直接塗りつぶして完成
条件付き書式を用いた応用編も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
1.工程表作成の下準備
工程表を作成するにあたり、まずはプロジェクトに必要な情報を洗い出します。
最低でも、下記4つの項目を洗い出しておくとよいでしょう。
- 作業工程
- 作業手順
- 期日
- 担当者
ガントチャート工程表では横軸に日程を、縦軸に作業内容を記載します。
縦軸に記載する作業内容は、大きな作業単位から徐々に細分化し、いくつかの階層に分類します。
階層分けでは、親タスク・子タスクの関係を意識し、同階層のタスク粒度が同等になるよう整理することが大切です。
仮にタスク間の依存関係を十分に把握できていない場合、プロジェクト開始後に作業を遂行できないケースや遅延を招く恐れがあります。
プロジェクトを適切に管理できる工程表を作成するためにも、必要情報を慎重に精査するとよいでしょう。
2.Excelで工程表の骨格を作成
必要情報の洗い出しと整理が完了したのち、Excelで工程表の骨格を作ります。
本記事ではわかりやすくするため、プロジェクト期間1か月(30日間)を想定した工程表を作成します。
B3〜AI3、B3〜B13までを選択し、「罫線」内の「格子」を選択します。
続いて、工程表の骨格となる「工程・作業」「担当者」「開始日」「終了日」「日付」の入力です。
ただし、上記のままでは列の幅が広く、表全体を視認できないため、F〜AIを範囲選択し、列幅を統一させます。
範囲選択した状態で右クリックをし「列の幅」を選択、任意の数値を入力すると、列幅を統一できます。
上記では、列の幅を4.5に設定しました。
この段階で、工程・作業名や担当者名などの必要情報も入力します。
すると、上記のような工程表のベースができあがります。
また必要に応じて、メモ書き用の備考欄やプロジェクトの資料などをまとめておきましょう。
3.工程表を直接塗りつぶして完成
最も手軽な工程表は、作業の進捗に合わせてセルを直接塗りつぶす方法です。
具体的には、作業の開始日〜終了日を塗りつぶしていき、誰のどのタスクが完了したのかを可視化させるというものです。
Excelの知識が少ない方でも実践しやすく、手軽に作成できる点が魅力です。
一方で管理するタスクが多い場合は、塗りつぶすセルを間違えたり、該当箇所を探すのに手間がかかったりとデメリットもあります。
この方法で作業工程を管理する場合は、確認をとりながら慎重に塗りつぶすことが大切です。
4.【応用編】Excelの条件付き書式を挿入
セルを直接塗りつぶす方法は、手軽に工程表を作成できる反面、ミスが生じやすいデメリットがありました。
しかし、Excelの標準機能「条件付き書式」を活用することで、入力した日付の該当セルを自動で塗りつぶす、より高度な工程表を作成できます。
まずは、先述した工程表の骨格を用意し、塗りつぶすセルを範囲選択します。
上記の画像では、「行:F4〜AI4、列:4〜13」の範囲です。
続いて、「条件付き書式」内の「新しいルール」を選択します。
初期値である「スタイル」を「クラシック」に変更し、「上位または下位に入る値だけを書式設定」を「数式を使用して、書式設定するセルを決定」へ変更します。
下部の「書式」は、セルを塗りつぶす際の色や文字を設定する項目です。
初期の状態では背景に文字が含まれるため、「ユーザー設定の書式」を選択し自由にカスタマイズするとよいでしょう。
上記の画像で、赤線で囲まれば部分には、条件付き書式の数式を入力します。
今回数式を使って表したい内容は、D列・E列に入力した日付の範囲に該当するセルを塗りつぶすというものです。
したがって、入力する数式は「=AND(F$3>=$D4,F$3<=$E4)」です。
数式を反映させると、開始日・終了日の日付に該当するセルが自動的に塗りつぶされます。
Excelで工程表を作成するメリット
Excelで工程表を作成するメリットは、主に下記の3つがあげられます。
- 追加コストをかけずに工程表を作成できる
- 従業員が扱いやすい
- 拡張性・カスタマイズ性が高い
追加コストをかけずに工程表を作成できる
ExcelやWordをはじめとするMicrosoft Officeは、多くの社用パソコンにあらかじめ搭載されているソフトウェアです。
また、汎用性が高いため、工程表以外の目的で導入している場合も多いでしょう。
すでにExcelを導入している企業では、新たに追加コストをかけることなく工程表を作成できます。
仮に、Microsoft Officeを新たに導入する場合でも、1ユーザー:650円/月〜利用できます。
一般的な管理ツールよりも低コストで利用できるため、導入ハードルも低いのではないでしょうか。
従業員が扱いやすい
Excelは、多くのビジネスパーソンが利用する代表的なソフトウェアです。
操作に慣れている従業員が多く、特別に育成・指導をせずとも工程表を作成できるでしょう。
また、Excelの操作に関する情報は、書籍・インターネットで数多く公開されています。
関数や拡張機能を用いた高度な工程表を作成する場合でも、教育コストを抑えられる点が魅力です。
拡張性・カスタマイズ性が高い
Excelでは関数や条件付き書式、グラフを活用することで、視認性の高い機能的な工程表を作成できます。
Excelは国内スタンダードなソフトウェアのため、連携機能を搭載した外部ツールも数多く提供されています。
外部ツールからのデータ連携で、進捗状況を可視化させるなど、少ない工数で高度な管理を実現できるでしょう。
また、Excel自体の機能性を高める、拡張機能も提供されています。
Excelを活用すれば、各社の要件に合わせた工程表を作成できます。
Excelで工程表を作成するデメリット
一方、Excelを使った工程表には、下記のデメリットがあります。
- データ共有・更新に手間がかかる
- 担当者に属人化する恐れがある
データ共有・更新に手間がかかる
Excelのデータファイルは、複数のメンバーで同時に閲覧できますが、更新や編集には対応していません。
メンバーがタスクの進捗状況を更新する場合、順番に更新できる運用体制を検討する必要があります。
Excelのデータは、ファイル形式で保管されます。
そのため複数のプロジェクトが並行する会社では、必要データを探す手間がかかる点に注意が必要です。
データの管理場所を分けたり、部門ごとに統一記号を活用したりと、工程表の管理体制を工夫するとよいでしょう。
担当者に属人化する恐れがある
Excelの関数や条件付き書式を活用した工程表は、ちょっとした操作ミスでデータが破損する恐れがあります。
また、管理工数を抑えるために複雑な数式を用いると、更新・メンテナンスを一部のメンバーしかおこなえない状態になりがちです。
担当者が欠勤・異動した場合、他のメンバーが業務を引き継げなくなる可能性が高いため、注意が必要です。

工程表が作れるおすすめプロジェクト管理ツール3選
手軽に高度な工程表を作成するのであれば、プロジェクト管理をサポートする専用ツールの利用がおすすめです。
プロジェクト管理ツールは工程表以外にも、進捗管理やコスト管理、リソース管理に対応した製品もあります。
プロジェクトの計画・実行・検証を一貫して管理できるため、改善点の把握やプロジェクトの最適化を実現できるでしょう。
近年では、搭載機能や管理領域が異なる数多くの製品が提供されています。
本章では、数あるプロジェクト管理ツールの中で、価格・機能性・操作性が優れた3つの製品を紹介します。
それぞれ機能や料金面が大きく異なるため、製品選定の参考にしてみてください。
Lychee Redmine

Lychee Redmineは、日本国内5,000社以上もの導入実績を誇るプロジェクト管理ツールです。
ガントチャート機能を搭載しているため、必要情報を入力するだけでプロジェクトの進捗状況を瞬時に可視化できます。
また、プロジェクト管理に役立つカンバン・EVM・コスト分析などにも対応しています。
各社の要件に合わせたカスタマイズもおこなっているため、手軽に高度なプロジェクト管理を実現できるでしょう。
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【解説】Lychee Redmineの詳細や料金を紹介
タスクやメンバーなどさまざまなプロジェクト管理ができるツール「Lychee Redmine」。 大手企業をはじめ中小企業まで約4,000社以上から導入されている.....
みんなでガント.com
引用:みんなでガント.com
みんなでガント.comは、会員登録不要で利用できるプロジェクト管理ツールです。
その名の通り、ガントチャート作りを得意とする製品で、ツールを使い慣れていない方でも直感的に作成できます。
パソコン・スマートフォン・タブレット端末などのマルチデバイスにも対応しているため、メンバーへのスムーズなデータ共有も可能です。
小中規模のプロジェクトを管理したい方に、おすすめのツールです。
Jooto
引用:Jooto
Jootoは、カンバン方式を採用したプロジェクト管理ツールです。
ドラッグ&ドロップだけでタスクを管理できる、シンプルな設計です。
また、プロジェクトを俯瞰的に把握するための、ガントチャート機能も搭載しています。
手軽な管理・高度な管理を両立させたい方におすすめのツールです。
プロジェクト管理ツールで高度な工程管理を目指そう
本記事では、Excelを使ったガントチャート工程表の作り方を紹介しました。
Excelを使えば、手軽にガントチャート工程表を作成できます。
しかし、管理の煩雑化や担当者への属人化などのデメリットもあります。
そのため、手軽に高度な工程表を作成するのであれば、プロジェクト管理ツールの利用を検討するとよいでしょう。
