リスク管理とは、想定されるリスクが起こらないように対策を検討し実行することです。近年、企業やプロジェクトチームを取り巻く環境は複雑化しており、あらゆるところにリスクの発生要因があります。

だからこそ、リスク管理について正しく理解しておくことが大切です。

この記事では、リスク管理の概要について解説します。混同しやすい危機管理との違いや、リスク管理を実施する際の具体的な手順などについても取り上げているため、企業内やプロジェクトチーム内でのリスク管理を行いたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

リスク管理とは

リスク管理とは、想定されるリスクが起こらないように対策を検討し実行することです。リスクマネジメントということもあります。

リスク管理を行うにあたっては、まず想定されるリスクを全て洗い出した上で、そのリスクが実際に起こるとどういった影響が起こるのか分析します。

その上で、そのリスクが起こらないように対策を検討し、実施します。

リスクにはあらゆるものがあり、プロジェクト内で起こるものはもちろん、社内の他部署や取引会社などが関係するものや、法改正などの外部環境が原因で起こるものなどさまざまです。

一見すると自分たちのプロジェクトには関係ないことがリスクになる可能性もあるため、リスク管理を行う際は慎重にならなければなりません

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危機管理との違い

リスク管理と混同してしまいやすいものに危機管理がありますが、両者は異なるものです。

リスク管理は、リスクが起こらないように対応策を検討し実行するのに対して、危機管理はリスクが実際に発生した時に備えて、その影響を最小限に抑えるための対応策を事前に準備しておくことです。つまり、発生前のリスクに対するものがリスク管理であり、発生後のリスクに対するものが危機管理となります。

もちろんリスクが起こらないに越したことはありませんが、自然災害や取引先の倒産といった外部要因によるリスクは自分たちの力では防ぎようがありません。そのようなリスクが発生した時に、スムーズに対応することが危機管理です。危機管理を行う場合、リスク管理と同じようにどういったリスクが起こりうるのか事前にリストアップし、危機管理マニュアルなどを用意しておくことが求められます。

リスク管理の重要性

リスク管理は、どの企業、どのプロジェクトにおいても重要なものです。リスク管理が疎かになってしまうと、万が一、リスクが実際に発生した時に大きな損失を被る可能性があります。

また、プロジェクトそのものが頓挫するケースもあるでしょう。

特に近年では様々なツールを使い、リモートワークのように様々な場所で仕事に取り組むなど、1つのプロジェクトを見ても取り巻く環境が複雑化しており、あらゆるルートからリスクが発生する恐れがあります。

リスクがどこから発生する可能性があるのか、徹底的に検討した上で事前に対応策を立て、実行することが求められます。

リスク管理の例

リスク管理におけるリスクの例としては、様々なものが挙げられます。

例えば、開発プロジェクトに関するものであれば、情報漏洩などのセキュリティ面でのリスクが想定されます。

外部からサイバー攻撃を受ける、プロジェクトメンバーがメールの送信先を間違える、外出先でフリーWi-Fiを使ってネットワークにアクセスしたために情報が漏洩してしまうといったケースです。

また、システム障害が起こることで業務を進められないといった事態も起こる可能性があります。その他にも、外注先や関係会社の倒産など、外的要因によって起こるリスクもあるでしょう。

これらの事態が起こらないように、対応策を事前に検討することが必要となります。

リスクの種類

リスクの種類には、大きく分けて「純粋リスク」と「投機的リスク」の2つがあります。

それぞれの概要は以下の通りです。

  • 純粋リスク:災害や情報漏えいなど、損失を発生させるリスク
  • 投機的リスク:利益と損失の両方を発生させる可能性のあるリスク

システム開発のようなプロジェクトの場合、純粋リスクは発生する可能性がありますが、投機的リスクが起こることはありません

純粋リスクの例としては以下のようなものが挙げられます。

  • 自然災害
  • 機器の破損
  • サイバー攻撃
  • 事故
  • 情報漏えいなど

純粋リスクはいつ起こるかわからないもので、予測すること事態が難しいといえます。

また、発生するとプロジェクトチームにとって大きなダメージになるものだといえるでしょう。そのため、リスク管理を行い事前に対策を実行することが大切です。

リスク管理の考え方

ここではリスク管理に取り組むにあたっての考え方を紹介します。

リスク管理に対する考え方には「回避」「低減」「移転」「受容」の4つがあります。同じリスク管理でもスタンスが異なるため、それぞれを理解しておきましょう。

リスクを回避する

考え方の1つである「回避」とは、リスクそのものを取り除こうとするものです。リスクを回避するケースとしては、リスクの発生頻度が高く、発生した時の影響が大きい場合などが挙げられます。

例えば、利益は見込めないプロジェクトは引き受けない、地震の発生率が高い地域から会社の拠点を移転するといったものが考えられます。回避することで、リスクそのものを発生させないようにする考え方だといえるでしょう。

リスクを低減する

「低減」は、リスクが発生した際の影響を抑えようとする考え方です。リスクの中でも純粋リスクは、いくら対策を練っても完全には避けられない可能性があります。

例えば自然災害の発生や外部からのサイバー攻撃、取引先の倒産などです。近年だと新型コロナウイルスの感染拡大も純粋リスクの1つだといえます。

これらのリスクが発生すると会社やプロジェクトチームは何らかの被害を受けることが予想されます。このようなリスクに対して被害をゼロにすることは難しいため、リスクを回避するのではなく低減するという考え方が適用されます。

リスクを移転する

「移転」はその名の通り、リスクの影響を他の場所に移転させるという考え方です。

具体的には、保険への加入が挙げられます。自然災害が発生した時に備えて保険に加入することで、発生時の被害を保険でカバーできるため、リスクを抑えることができます。

また、システム開発のプロジェクトであれば、データのバックアップをデータセンターに保存することもリスクの移転だといえるでしょう。リスクの移転は、リスクの種類に関係なく適用できる考え方であるため、ぜひ覚えておいてください。

リスクを受容する

「受容」は、リスクを受け入れることです。会社やプロジェクトチームに対して損失を発生させる恐れのあるリスクを受け入れることを不思議に思う人もいるかもしれません。

しかし、他に適切な対応策がないときなどにはリスクを受容することもあります。例えば、外注先の業績が悪いものの、プロジェクトに必要不可欠なスキルやノウハウを持っている唯一の企業であるため、引き続きアウトソーシングをするといったケースです。

リスク管理の手順

ここでは実際にリスク管理を行う際の手順を紹介します。何から着手すべきか、どういった流れで進めればいいのかを理解しておきたい方はぜひ参考にしてください。

リスク要因の洗い出し

まずは、リスク要因の洗い出しを行います。この段階で想定される全てのリスク要因を特定できるようにしておきましょう。

特定が漏れていると、リスクが発生した時に対応できず損失が大きくなる可能性があるためです。

リスク要因はプロジェクト内でのヒアリングやブレインストーミングなどを通して明らかにしていきます。また、過去の同種のプロジェクトで実際に発生した事柄も、今回のプロジェクトで発生する可能性の有無を検討し、必要に応じてリスクとして取り扱います。その場合にも、関連する部署からのヒアリングは欠かせません。

リスクの分析・評価

リスク要因の洗い出しができたら、リスクを分析して危険度を評価します。その上で、どのリスク要因から対応していくのか、優先順位を決めてください。

優先順位を決める際は、リスクの影響度と発生確率という2つの軸に基づいて判断することが大切です。優先すべきものは、影響度・発生確率ともに高いリスクです。

次に、発生確率は低いものの影響度が大きいリスク、影響度は小さいものの発生確率が高いリスクに対応します。影響度・発生確率ともに低いリスクは最後に対応します。

対策の検討

優先順位が決まったら、各リスク要因に対してどのような防止策を行うのかを検討する必要があります。

メンバー間で入念に話し合い、プロジェクトにとって最良だといえる選択をすることが大切です。また、防止策の担当者も合わせて決めておきましょう。

対策の実施

検討した防止策を実際に行う段階です。事前に決めた内容に沿って実行してください

リスク管理において最も重要な部分だといえます。

評価

リスク要因に対する防止策を実施して終わりではありません。防止策の実施後には、評価を行う必要があります。

具体的には、対策を実施した結果どうなったのか、改善しなければならない部分は何か、といった点を話し合ってください。また、防止策の実施は適切に行われていたか、といった点もチェックしておきましょう。

対策自体に問題はないものの、実施する人に問題があるケースも考えられるためです。

リスク管理に役立つツールを紹介

プロジェクトのリスク管理を行うにあたっては、普段からプロジェクトに関する情報を適切に管理・把握しておくことが大切です。

情報を把握しておけば、純粋リスクは防げないとしても、少なくともプロジェクトメンバーが起因となるリスクを防ぐことができるためです。

プロジェクトの管理には、ツールの導入を検討してみてください。Lychee Redmineは、スケジュール管理や人的リソース管理、コスト管理などプロジェクトに関わる各種情報を管理する機能が備わっています。

また、プロジェクトメンバーの進捗状況がリアルタイムで確認できるため、トラブルが発生しそうな時はすぐに対応できるでしょう。

さらに、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の認証を取得するなど、セキュリティ面でも安心して利用できるため、情報漏洩などのリスクも回避できます。

無料のメールサポートや有償による定着化支援などのサービスも行なっているため、ぜひ導入を検討してみてください。

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リスク管理の重要性と手順を理解しよう

今回は、リスク管理の概要や重要性、考え方や実施する際の手順などを紹介しました。リスク管理は、想定されるリスクが起こらないように対策を検討し実行することです。

企業やプロジェクトチームを取り巻く環境は近年さらに複雑化しており、どこからリスクが発生するかわかりにくい状況です。リスクによっては大きな損失をもたらす可能性もあるため、事前にリスク要因を特定し、対応策を検討することが求められます

今回の内容を参考に、リスク管理に取り組んでみてください。

 

 

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