株式会社アジャイルウェアでは、2020年12月2日(水)に、オンラインイベント「Lychee Redmineユーザ会2020」を開催、「Lychee Redmine」ユーザー企業様による、様々な事例を発表いただきました。
本記事では、株式会社JSOL 鈴木 未知郎様の発表をご紹介します。ICTソリューションを提供する同社で、「Lychee Redmine」が開発支援プラットフォームとして1000人規模で利用されている事例についてお話しいただきました。

 

<鈴木 様 プロフィール>

株式会社JSOL業務推進本部 品質・生産性改革部 認定プロフェッショナル ITアーキテクト

1969年大阪生まれ。趣味は、学生時代から続けているバンド活動、鉄道写真、天体写真。管理会計システムや販売物流システム等の開発を経て、現職に着任。現在は、開発部門の効率化を目指して、開発支援プラットフォームを全社に展開中。

株式会社JSOL(本社:東京都中央区) https://www.jsol.co.jp/

ICTコンサルティングからシステム構築・運用までの一貫したサービスで、幅広いニーズに応えるICTサービスコーディネーター。NTTデータグループおよびSMBCグループの一員として、ICTソリューションの提供に取り組む。

プロジェクト推進の中核を担う開発支援プラットフォーム:「Lychee Redmine」

株式会社JSOLは、パートナーも含め2000人近い開発者が関わるIT企業です。当社の本社向かいには、東京オリンピックの選⼿村があります。そのため、オリンピック期間中の交通混雑緩和のために、テレワークを推進する必要がありました。昨今、コロナでテレワークが急激に普及しましたが、当社では数年前から注⼒していました。そんな背景もあり、私の所属する品質・生産性改革部では、開発部門の業務環境について大きな実現イメージを策定し、計画的に実行してきました。

実現イメージは、ツールの導入にとどまらない、もっと大きなものです。リモート・アクセス/インターネット環境の整備、PC実機購入でなく申請により開発環境を使用できる開発VDI提供、クラウド環境提供といった“新しい開発環境”の一部として、ツール導入を含む開発支援システム提供があります。ツールについては、汎用VLANによる開発環境の一環である開発支援システムのなかで、「Lychee Redmine」や「Redmine」、または「GitLab」など開発を効率化するツールセットを提供しています。

 なかでも、「Lychee Redmine」と「Redmine」は“開発支援プラットフォーム”としてプロジェクト推進の中核を担うツールと位置付けています。個々の開発者にとっても「Lychee Redmine」を使うことで、スケジュールやバグ管理など付随タスクの負荷が減り、コーディングなど、より重要な業務に集中できることも、同時に期待しています。

「Lychee Redmine」導入の経緯

「Lychee Redmine」と「Redmine」導入のきっかけは、以前使っていた自社向けカスタマイズパッケージソフトのEOL(使用終了)に伴い、代替ツールが必要になったことでした。現在は、バイモーダルIT時代(下図参照)と言われています。2つのモーダル(様式)が共存する時代であり、例えば、開発スタイルでもウォーターフォールとアジャイル、両方を共存させる必要があります。そのような時代に対応するためにも、「Lychee Redmine」と「Redmine」をはじめ、最新のツールをセットで提供したいと考えました。

モノ(ツール)ではなく、コト(働き方がかわる経験)を提供する

ツール利用にはコストが発生します。予算確保には明確なメリットが必要ですが、例えば、コスト削減額などツール単体の導入メリットを説明するのは難しいものです。私たち業務推進本部は、社員がより便利に働けるようにすること、同時に会社全体にもメリットをもたらすことが役割ですので、ツールというモノだけではなく、金額だけでは表現できない「便利になったね」「変わったね」という経験、つまりコトを提供しようと、導入メリットを捉え直しました。「Lychee Redmine」をはじめ色々な最新ツールのセットを幅広く展開することで、会社の働き方や開発のやり方が変わる、変えるということです。

ウォーターフォールにアジャイル、開発に保守…「Lychee Redmine」は柔軟な対応が可能

システム開発運用を事業とする当社にとって、「Lychee Redmine」+「Redmine」は、いまや中核のツールとなっており、プロジェクト推進に不可欠な進捗管理・課題管理・バグ管理を担っています。本社に「Redmine」サーバーがあり全社で共同使用していますが、使い方については指針だけ示し、プロジェクトごとに柔軟に使ってもらっています。

社内には、数名から数百人まで様々な規模のプロジェクトがあり、ウォーターフォールもアジャイルもある、さらに開発と保守運用では進捗管理からバグ管理まで管理方法も違うため、プロジェクトマネジメントにも多くの手法が共存しています。「Lychee Redmine」は、そのような多種多様な状況でも、プロジェクトの特性や工程ごとに非常に柔軟に対応できる、とても使い分けがしやすいツールだと思います。

「Lychee Redmine」の機能をどう使い分けているかを下図にまとめました。ウォーターフォールの進捗管理は、規模問わずガントチャートが多く、課題管理はバックログ+カンバンが多いですね。アジャイルはバックログだけでなく、ガントチャートを併用することがあります。インシデント管理が多い保守運用はバックログ+カンバンが使いやすいようです。プロジェクト管理スキルが高い大規模開発のプロジェクトマネージャーは、Excelのガントチャートがいいと言う方がまだまだ多いため、無理にツールを指定したり強制したりはせず、Excelも利用してもらっています。このあたりは、ツールの利用拡大を図る提供側として課題ではあります。

「Lychee Redmine」の便利なところ!

ここからは、個人的に「Lychee Redmine」で便利だと思うところをご紹介します。

便利なところ①

バックログが使える。簡単にチケットをスプリントに割り当てられる。

 

便利なところ②

カンバンが使える。ステータス単位にチケットを確認できる。

便利なところ③

ドラッグ&ドロップだけ、ワンアクションでステータス変更できる。

便利なところ④

画面遷移なしで表示・編集できる。サブウインドウで表示・編集でき、画面遷移の際の煩わしさがない。

「Lychee Redmine」に期待すること!

現在、プロジェクトの全情報は「Lychee Redmine」+「Redmine」に集約しています。議事録についてはWikiに格納しているのですが、これを「Lychee Redmine」画面から、もっと簡単に見られるようにして欲しいですね。「Lychee Redmine」の上部メニュー、カレンダーやレポートなどと並んで、アジャイルウェアのリアルタイム議事録共有サービス「GIJI」へのリンクボタンが実装されると理想的だな、と思っています。

「Lychee Redmine」を広め、会社の文化(仕事のやり方)を変える

スムーズなツール導入には、経営層の会議で公式発表したうえで管理職に通知するなど、会社のデファクトツール化が欠かせません。その上で、実務者向け説明会の実施など認知度を向上する丁寧な活動も行なってきました。その甲斐があり、「Lychee Redmine」+「Redmine」のユーザー数は順調に伸長、現在では1000人が利用するツールとなっています。

「会社の文化(仕事のやり方)を変える」ために、モノ(ツール)ではなくコトを提供し、丁寧に説明する。これを実践すれば、必ずユーザーは広がります。

「Lyhcee Redmine」、そして「Redmine」が幅広く普及しますように!

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