プロジェクトの人員配置に、いつも頭を悩ませていませんか。誰がどのプロジェクトにどれくらい関わっているのか、全体像を把握するのは一苦労です。Excelで管理しようとしても、フォーマット作成に時間がかかったり、後で見にくくなってしまったりと課題を抱えてしまうパターンはよくあります。
本記事では、Excelで簡単に、しかも見やすく要員計画表を作成する方法をステップごとに解説します。ぜひ活用して、人員配置の悩みを解消しましょう。
要員計画の基本
まずは要員計画の基本として、以下について解説します。
- 要員計画とは
- 要員計画表の役割と必要性
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要員計画とは
要員計画とは、企業や組織が事業目標を達成するために、必要な人材を確保し、適切に配置するための計画です。単に人員数を調整するだけでなく、必要なスキルや経験を持つ人材を、必要な時期に、必要な場所に配置することを目的としています。
具体的には、採用計画、教育研修計画、人事異動計画など、人材に関する様々な計画を包括的に含みます。
要員計画は、企業の長期的な戦略に基づいて策定されることが重要です。将来の事業展開を見据え、どのような人材がどれくらい必要になるのかを予測し、計画的に人材を確保していくことで、事業の成長を支えることができます。また、既存の人材の能力開発やキャリア形成も考慮に入れることで、従業員のモチベーション向上や定着率向上にもつながります。要員計画は、経営戦略と人材戦略をつなぐ重要な役割を担っていると言えます。
要員計画表の役割と必要性
要員計画表は、要員計画を可視化し、管理するためのツールです。プロジェクトごと、部署ごと、あるいは期間ごとに、必要な人員数、担当業務、スキルなどを一覧で表示することで、人員配置の状況を明確に把握できます。
要員計画表の主な役割は、以下のとおりです。
人員配置の最適化 | 切な人材を適切な部署やプロジェクトに配置し、業務効率や生産性の向上を目指す |
---|---|
進捗管理の円滑化 | プロジェクトの進捗に合わせて人員配置を調整し、遅延を防ぎ、計画通りにプロジェクトを進める |
人材不足・過剰の防止 | 将来の人員需要を予測し、計画的に採用や配置を行うことで、人材不足や過剰を未然に防ぐ |
情報共有の促進 | 関係者間で要員計画の情報を共有し、認識の齟齬を防ぎ、スムーズな連携を促進する |
要員計画表は、プロジェクトマネージャーや人事担当者だけでなく、経営層にとっても重要な情報源となります。組織全体の人材状況を把握し、戦略的な意思決定を行うための基礎資料となるからです。
要員計画にExcelフォーマットを使う利点
要員計画表を作成するツールは様々ですが、Excelはその手軽さと汎用性から、多くの企業で活用されています。Excelフォーマットを使う主なメリットは以下のとおりです。
- 導入コストが低い
- カスタマイズが容易
- 操作が簡単
- 共有が容易
もちろん、大規模な組織や複雑な要員計画の場合、専用のソフトウェアの方が適している場合もありますが、中小企業や小規模プロジェクトであれば、Excelフォーマットで十分な効果を発揮します。テンプレートを活用したり、関数やマクロを駆使することで、さらに効率的に要員計画表の作成・管理が可能です。
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導入コストが低い
Excelは、多くの企業でオフィススイートの一部として標準的に導入されています。そのため、要員計画表を作成するためだけに新たなソフトウェアを購入する必要がなく、追加のライセンス費用や導入費用が発生しません。これは、特に中小企業やスタートアップ企業にとって大きなメリットとなります。
予算が限られている中で、高価な専用ソフトウェアを導入するのは難しい場合もありますが、Excelであれば既存の環境を有効活用できるため、導入コストを大幅に抑えることができます。また、クラウド版のMicrosoft 365などを利用していれば、常に最新のバージョンを利用できるため、バージョンアップに伴う追加コストも抑えられます。
カスタマイズが容易
Excelは表計算ソフトとしての柔軟性が高く、自社のニーズに合わせて自由にフォーマットをカスタマイズできます。例えば、プロジェクトの種類や規模に合わせた必要な項目の追加や、不要な項目の削除ができます。また、色分けや罫線、フォントなどを変更することで、見やすく整理された要員計画表の作成も可能です。
関数や条件付き書式を活用すれば、自動計算やデータの強調表示なども行うことができ、より効率的な管理が実現します。さらに、マクロを組むことで、複雑な処理の自動化も可能です。
操作が簡単
Excelは、ビジネスパーソンにもっとも馴染みのあるツールの1つと言えます。多くの企業で業務に使用されており、基本的な操作方法を習得している人が多いため、要員計画表を作成・管理するために特別な研修などを必要としません。基本的な表作成、データ入力、簡単な関数(SUM、AVERAGEなど)の操作ができれば、十分に要員計画表を作成できます。
また、インターネット上にはExcelに関する情報やチュートリアルが豊富に存在するため、不明な点があってもすぐに調べることができます。
共有が容易
Excelファイルは、広く普及しているファイル形式(.xlsx、.xlsなど)で保存できるため、メール添付や社内ネットワークを通じて簡単に共有できます。関係者間で最新の要員計画情報を迅速に共有することで、情報共有の遅延による意思決定の遅れを防ぎ、スムーズなプロジェクト運営に貢献します。また、クラウドストレージサービス(OneDrive、Google Driveなど)と連携すれば、複数人の同時編集や、変更履歴の管理も可能です。
これにより、バージョン管理の手間を省き、常に最新の情報を共有できます。さらに、PDF形式で保存し、閲覧専用の資料として配布することも容易です。
要員計画表をExcelで作成する方法
要員計画表をExcelで作成する方法は、下記の通りです。
- シート構成を決める
- 「要員リスト」を作成する
- 「要員計画表」を作成する
- 体裁を整える
- 関数やグラフを活用する
- 共有と更新
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ステップ1:シート構成を決める
まず、要員計画表を構成するシートを決めます。最低限、「要員リスト」と「要員計画表」の2つのシートがあると便利です。
要員リスト | 社員名、所属部署、役職、スキルなどをリスト化する |
---|---|
要員計画表 | プロジェクト名、期間、担当者、工数などを記載する |
必要に応じて、「プロジェクトリスト」や「休暇管理」などのシートを追加すると、より詳細な管理が可能です。シート名はわかりやすく、例えば「要員リスト」「2024年度要員計画」のように命名しましょう。
ステップ2:「要員リスト」を作成する
「要員リスト」シートでは、管理したい項目を列に設定します。例えば、「社員ID」「氏名」「所属部署」「役職」「スキル」「連絡先」などで、各行に社員の情報を入力していきます。
スキルについては、具体的なスキル名(例:プログラミング、英語、プロジェクトマネジメント)を記載することで、要員配置の際に役立ちます。このリストは、後のステップで要員計画表と連携させるために重要な役割を果たします。
ステップ3:「要員計画表」を作成する
「要員計画表」シートでは、横軸に期間(月ごと、週ごとなど)、縦軸にプロジェクト名や担当業務を設定します。セルには、各プロジェクトに割り当てる担当者名や工数(人月、時間など)を入力しましょう。ここで、「要員リスト」で作成したリストを参照するように設定すると、入力の手間を省き、入力ミスを防ぐことができます。
このときにVLOOKUP関数などを使用すると、社員IDを入力するだけで、氏名や所属部署が自動的に表示されるように設定できます。
ステップ4:体裁を整える
表が見やすくなるように体裁を整えます。罫線で区切りを見やすくしたり、色分けでプロジェクトや担当者を区別したり、フォントサイズを調整したりしましょう。
条件付き書式を活用すると、特定の条件を満たすセルを自動的に強調表示することも可能です。例えば、工数が上限を超えている場合にセルを赤く表示するなどの設定ができます。
ステップ5:関数やグラフを活用する
SUM関数などで、各担当者の工数合計やプロジェクトごとの工数合計を自動計算するように設定しましょう。
また、グラフを作成することで、配置状況の視覚的な把握が可能です。例えば、棒グラフでプロジェクトごとの工数を比較したり、折れ線グラフで月ごとの要員変動を可視化したりできます。
ステップ6:共有と更新
作成した要員計画表は、関係者と共有し、定期的に更新しましょう。クラウドストレージサービスなどを利用することで、常に最新の情報を共有できます。
Excelで要員計画を管理するためのコツ
Excelで要員計画を効率的に行うためには、以下の点を意識しましょう。
適切な期間設定を行う | プロジェクトの期間や特性に合わせて、月単位、週単位、日単位などを選択する |
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バージョンを管理する | ファイル名に日付を入れるなどしてバージョン管理を行い、最新のファイルを共有するように心がける |
これらのコツを実践することで、Excelでも効率的に要員計画を管理し、プロジェクトの成功につなげることができます。ただし、大規模なプロジェクトや複雑な要員管理が必要な場合は、専用のソフトウェアの導入も検討しましょう。
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要員計画表のフォーマットはExcelで作成できる
本記事では、Excelを使って簡単に要員計画表を作成する方法をステップごとに解説しました。一連の流れを理解することで、これまで人員配置に苦労していた方も、見やすく、使いやすい要員計画表を自作できるようになったはずです。
しかし、プロジェクトが大規模になり、要員数やプロジェクト数が多くなってくると、Excelだけでは管理が煩雑になってくるのも事実です。バージョン管理が難しくなったり、複数人での同時編集が困難になったり、高度な分析ができなかったりと、課題も出てきます。
もし、Excelでの管理に限界を感じているなら、「Lychee Redmine」のようなプロジェクト管理ツールの導入を検討してみてはいかがでしょうか。要員計画はもちろん、進捗管理、工数管理、課題管理など、プロジェクト全体を効率的に管理するための豊富な機能を備えています。特に、要員計画においては、ガントチャートでの可視化、リソースの負荷状況の把握、スキル管理など、Excelでは実現が難しい高度な管理が可能です。
無料トライアルもご用意していますので、まずはその使いやすさを実感してみてください。