プロジェクト管理において、作業工数の把握は非常に重要な要素です。ビジネス用語として作業工数がよく使われますが、重要性を改めて問われると、うまく説明できない方も多いです。

本記事では、作業工数とは何か、具体的な計算方法を簡単に解説します。工数管理を効率化する上で便利なツールも紹介しているので、効果的なプロジェクト運営にぜひ活用してください。

プロジェクトにおける作業工数とは

作業工数とは、ある作業を完了させるために必要な時間や労力の量を指します。プロジェクトの進捗やリソースの配分を適切にコントロールするための基礎となる概念です。

作業工数の管理は、スケジュールやリソース、コストを効果的にコントロールする上で必要不可欠な要素です。

正確な工数を見積もり、適切に管理すれば、プロジェクトの達成率を大幅に高められます。

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作業工数の単位と算出方法

作業工数の管理で使用する基本的な単位を3つ取り上げます。各単位の概要と算出方法を順番に解説します。

人時

1人が1時間で完了できる作業量を表す単位です。例えば、1つのタスクを1人が8時間(1日)かけて行う場合、作業工数は8人時です。

2人で同じ作業を4時間で完了させた場合でも、作業工数は同じく、8人時です。つまり、工数は人数と時間の掛け算で表され、個々の作業にかかる全体の労力を表す指標です。

作業工数を人時で表すには、以下の基本式を用います。

  • 作業にかかる時間×担当者の人数

上記の式をもとに、作業に必要な時間や作業を行う人数に応じて工数を計算できます。2人のメンバーが3日間にわたり、毎日4時間ずつ作業を行ったとすると、必要な作業工数は以下の通りです。

  • 4時間×3日×2人=24人時

タスクに必要な工数は、24人時と計算されます。

人日

1人が1日(一般的には8時間)で作業を完了するために必要な労力の単位です。例えば、1つのタスクを1人が1日で完了する場合、作業工数は、1人日です。

作業工数を人日で表すには、次の基本式を使用します。

  • 作業にかかる日数×担当者の人数

もし3人のメンバーが5日間、毎日6時間ずつ作業を行った場合、一般的な1日(8時間)を基準に作業工数を以下のように計算します。

  • (5日×6時間÷8時間)×3人=11.25人日

タスクに必要な作業工数は、11.25人日と計算されます。

人月

1人が1カ月(一般的には20営業日×8時間)で完了できる作業量を表す単位です。

長期的な作業量を把握しやすくするために使われる単位です。複数の担当者が同時に関与するプロジェクトや、作業ボリュームの大きいプロジェクトに適しています。

人月で作業工数を算出する際は、次の式を使用します。

  • 作業にかかる月数×担当者の人数

例えば、4人のメンバーが3カ月間、毎日6時間ずつ作業を行った場合、標準労働時間(8時間)に基づいて以下のように作業工数を計算します。

  • (3カ月×20日×6時間÷8時間)×4人=18人月

タスクに必要な作業工数は、18人月と計算されます。

プロジェクトで作業工数を管理するメリット

本章では、プロジェクトで工数管理を行うメリットとして、主な内容を3つピックアップして解説します。

リソースを適切に配分できる

工数計算を正確に実施すれば、適切な人員配置が可能になり、従業員の負担を軽減する効果があります。必要なリソースを大まかに見積もっていたところ、実際には工数が足りず、人手が不足するケースは珍しくありません。

途中で追加の人員を投入したり、スケジュールを延ばしたりできれば問題ありません。しかし、こうした対応が難しい場合には、限られた人数で作業を完了させなければなりません。

結果として、長時間の残業や休日出勤が必要となり、社員の負担が増えてしまうおそれがあります。事前に工数をしっかりと計算しておけば、こうした労働環境の悪化を未然に防げます。

プロジェクトの進捗状況を把握し問題の早期発見につながる

工数管理を行えば、作業の進捗状況を確認し、予定通りに進んでいるか、遅れているかを判断できます。各従業員の作業効率や進行状況を把握できれば、特定の人に負担が集中しているかどうかも見えてきます。

もし早い段階で進捗の遅れが確認できれば、適切な対策を講じて遅れをできるだけ抑えることが可能です。

チームの一体感が強まり生産性やモチベーションの向上が期待できる

工数管理により作業時間が明確になれば、プロジェクトメンバーのタスクに無駄がなくなり、作業効率が向上します。具体的な完了時間が設定されていると、メンバーは目標に向かって集中しやすくなり、モチベーションも高まります。

メンバー自身が、優先すべき作業や改善すれば良い部分を判断できるようになるので、業務の効率化が進みます。計画通りに工数が管理されることで、失敗のリスクが減るだけでなく、コスト削減や社内の生産性向上にもつながります。

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プロジェクトで作業工数の管理を効果的に行うポイント


本章では、プロジェクトの円滑な進行を目指す上で押さえておきたい、効果的な工数管理のポイントを3つピックアップして解説します。

予測不能なリスクや遅延に備えてバッファ時間を設定する

プロジェクトでは予期せぬリスクや遅延が発生し、計画通りに進行しない場合があります。予測不能な事態に備えて、プロジェクト計画にバッファ時間を設定しておきましょう。

バッファ時間は、予測不能なリスクや遅延に対処する目的で、あらかじめ設定しておく余裕時間です。たとえ作業が遅れても、プロジェクト全体のスケジュールが大幅に影響を受けずに済みます。

プロジェクト全体に一括で大きなバッファを設定するのではなく、各作業に適切なバッファを分散させましょう。作業が遅延しても柔軟に対応でき、全体のスケジュールに大きな影響を与えないように調整が可能です。

定期的な進捗確認と調整を怠らない

作業工数を正しく管理するには、プロジェクトの進捗状況の定期的な確認・調整が不可欠です。

進捗確認により、現在の作業が計画通りに進んでいるかどうかや、遅れが生じている部分を早期に把握できます。結果として、計画遅延のリスクを未然に防ぎ、適切な対応が可能です。

進捗確認・調整はプロジェクト全体を通じて定期的に行いましょう。例えば、週次やフェーズ終了時などのタイミングでの進捗確認がおすすめです。

ツールの活用により管理業務を自動化する

大規模なプロジェクトでの作業工数の管理には、アナログな方法やMicrosoft Excelの使用よりも、プロジェクト管理ツールを活用するのが効果的です。

手作業やMicrosoft Excelを使った管理ではデータ入力・整理や、チームメンバーとの情報共有時に手間が増え、無駄な時間が発生しやすいです。また、工数管理に特化しておらず、正確で有用なデータを得るのが難しいです。

一方で、プロジェクト管理ツールを使えば、工数の入力や情報共有がスムーズになり、余計な作業を削減できます。ツール活用の主なメリットとして、以下のようなものが挙げられます。

  • 勤怠入力と同時に工数を入力できる
  • プロジェクト全体の予算や工数、進捗を一元的に管理できる
  • メンバーのタスクを効率的に管理できる
  • SNSのような感覚で簡単に情報を共有できる

近年のプロジェクト管理ツールには、メンバー間のコミュニケーションを促進する機能が搭載されています。情報の共有が円滑になり、トラブルへの迅速な対応が可能です。

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プロジェクトにおける作業工数の管理に役立つツール

本章では、作業工数の管理に役立つツールを3つピックアップし、機能や特徴を中心に紹介します。自社の環境・プロジェクトに適したツール選びにお役立てください。

Lychee Redmine

Lychee Redmineは、導入社数7,000社を突破しているプロジェクト・タスク管理ツールです。操作性に優れ、ツール操作に不安のある方でも安心して利用できます。

ガントチャート、カンバン、リソースマネジメント、タイムマネジメント、EVM、CCPMなどの多彩な機能を活用して、プロジェクトを円滑に進めます。現場の要望に応じて必要な機能を追加開発できる点も強みです。

メンバーの予定工数と作業実績を棒グラフと表でリアルタイムに可視化し、負荷バランスを把握可能です。各メンバーの空き状況や生産性を一目で確認でき、見積り精度の向上と適切な割り当てによるチームパフォーマンス向上を支援してくれます。

Lychee Redmineには無料プランと有料プランが用意されています。無料プランは、期間の制限なく無料で利用できますが、主に使える管理機能はカンバンだけとなっているのでご注意ください。

有料プランからは、ガントチャートをはじめプロジェクトを管理するさまざまな機能が利用できます。

プラン 月額料金 利用機能
フリー 無料
  1. 基本機能
  2. カンバン
スタンダード 900円
  1. 基本機能
  2. ガントチャート
  3. カンバン
  4. ダッシュボード
プレミアム 1,400円
  1. 基本機能
  2. ガントチャート
  3. カンバン
  4. ダッシュボード
  5. 工数リソース管理
  6. EVM
  7. コスト管理
  8.  CCPM
ビジネス[無料トライアルはこちらをお試しできます] 2,100円
  1. 基本機能
  2. ガントチャート
  3. カンバン
  4. ダッシュボード
  5. 工数リソース管理
  6. EVM
  7. コスト管理
  8. CCPM
  9. プロジェクトレポート
  10. カスタムフィールド
  11. チケット関連図
  12. グループの階層化機能

工数管理や進捗管理など、プロジェクトの複合的な管理を効率化したい場合には、ぜひLychee Redmineの導入をご検討ください。

TimeCrowd

引用:TimeCrowd

在宅勤務やテレワークに対応しながら、業務の効率化や生産性向上、働き方改革を進めたい企業に最適な時間管理ツールです。

タスクの所要時間の記録や可視化に特化しています。ブラウザやアプリ、Chromeの拡張機能を使って簡単にデータを記録可能です。

稼働中のメンバーの状況をリアルタイムで確認できる機能もあります。異なる場所で働くメンバーの動きも可視化できるのが特徴です。

レポート機能では、チームや個人、期間ごとのグラフを生成でき、すべてのデータをCSV形式でエクスポートして詳細な分析が可能です。ChatworkやSlackといった外部ツールとの連携で、作業履歴の通知や記録したタスクの表示ができ、作業効率の向上が期待できます。

ジョブカン勤怠管理

引用:ジョブカン勤怠管理

勤怠管理に必要な機能を搭載し、誰でも簡単に使えるシンプルな操作性が特徴の勤怠管理システムです。

工数管理のほか、出勤管理やシフト管理、有給管理、残業管理などを組み合わせて利用できます。プロジェクトに必要な機能を一つのシステムで完結できるのが魅力です。

基本ルールを設定しておけば、工数入力など日々の作業が簡単になり、所属や雇用形態、個人に応じた設定にも対応しています。工数データは自動的に集計され、タスクやスタッフごとのデータとして抽出され、CSV形式での出力が可能です。

作業工数の管理でプロジェクト管理ツールを活用しよう

作業工数とは、ある作業を完了させるために必要な時間や労力の量を指します。プロジェクトの進捗やリソース配分を適切にコントロールするための基礎となる概念です。

効果的な工数管理にあたっては、プロジェクト管理ツールの導入がおすすめです。工数管理だけでなく、進捗管理をはじめプロジェクトの複合的な管理を効率化できます。

数あるプロジェクト・タスク管理ツールの中でも、Lychee Redmineの導入がおすすめです。

Lychee Redmineは、ガントチャートやカンバンなどプロジェクト管理に役立つ機能を豊富に備えています。プロジェクトの規模や人を選ばずに使えるので、非常に使い勝手が良いです。

有料プランも30日間は無料でお試しできます。ぜひ申し込みをご検討ください。

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