予実管理とは、プロジェクトにおける予算と実績の差を比較する評価プロセスのことです。プロジェクトの予算目標を達成するためには予実管理が欠かせません。
本記事では、プロジェクトの予算と実績の差異を把握し、効率的に管理したいプロジェクトマネジメント層に向けて、予実管理の概要や目的、具体的な手順などについて解説しています。また、取り組む際のコツや注意点についても説明しているため、ぜひ参考にしてください。
予実管理とは
予実管理とは、プロジェクトにおける予算と実際に取り組んでみた上での結果の比較・管理を意味する言葉です。予実とは、予算と実績を意味しています。
プロジェクトに取り組むにあたっては、予算の的確な把握が必要不可欠です。実際にはかなりの金額を使用しているにも関わらず、特に予算との乖離を確認しないまま進めていると、プロジェクトを終えたときに赤字になっているといった事態にもなりかねません。予実管理ができていれば、予算に対してどのくらいの実績を上げているのか把握できます。
いずれにしても予実管理はプロジェクトの目標達成を目指す上で欠かせないものです。
予算管理との違い
予実管理と似た言葉に予算管理がありますが、両者は厳密には異なるものです。
予実管理は、予算と実際の結果を比較し、その差を分析し評価するプロセスを意味します。一方の予算管理は、数値的な目標を設定するプロセスのことです。具体的には将来の収入や支出などを計画します。
予算管理は計画を策定するプロセスで、予実管理は業績との比較を通してそれを評価するプロセスという違いがあります。
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予実管理の目的
予実管理を行う目的には様々なものがあります。ここでは具体的にどのような目的があるのか解説します。なぜ予実管理を行うのか、その目的を理解しておくことで、スムーズに取り組めるためぜひ参考にしてください。
進捗の可視化
予実管理に取り組む目的の1つは、進捗状況の可視化です。予実管理を通じて、予算に対する成果や目標達成への進捗を明確にできます。また、定期的な予実管理は比較を容易にし、目標への接近や乖離を認識する上でも有用です。
現状を正確に把握できれば、適切なアクションを考案できます。
プロジェクト運営の安定化
予実管理は、プロジェクト運営の安定化に大きく貢献するものです。なぜなら、予算と実績の乖離が明らかになれば、問題点や対応策を具体的に検討できるからです。
一方で、予実管理を怠ると、プロジェクトの予算面における課題が放置され、状況が徐々に悪化する恐れがあります。このような観点から、予実管理を通してプロジェクトの安定化を図ることも重要な目的の1つといえます。
予実管理の進め方
ここでは予実管理を実際にどのような手順で進めるのか解説します。予実管理に取り組みたいものの、何から始めれば良いかわからないといった方はぜひ参考にしてください。
予算目標の設定
予実管理はプロジェクトの予算目標に少しでも近づくために行うものであるため、まずは予算の目標を設定する必要があります。目標となる予算が決まっていなければ、実績との比較もしようがないため、最初に目標を設定してください。
目標設定のポイントは、プロジェクトとしてより高いレベルを目指しつつも、実現可能なものを選ぶことです。両者のバランスを意識しながら適切な目標を設定しましょう。
KPIとスケジュールの設定
予算目標が決まったら、KPIを設定します。KPIの設定で、目標達成に向けて具体的にどのようなアクションを起こせば良いかが明確にできます。全体の予算目標だけでは細かい部分の管理や課題把握が難しくなるため、KPIを設定してください。また、いつまでに目標を達成するのか、具体的なスケジュールも決めておきましょう。
月次決算の実行
予算目標が決まり、KPIとスケジュールを設定したら、実際に月次決算を行います。月次決算を行うことで、プロジェクト内でどのくらいのコストがかかっているのかが明確になるため、今後取り組む予算と実績の比較を行いやすくなります。なお、月次決算の内容はプロジェクトメンバーに共有してください。共有によりメンバー内でも予算に対する意識を高められます。
予算と実績の比較
予算と実績を実際に比較し、目標とどのくらい差があるのか、もしくは目標に到達できているのかどうかを確認します。差があるようであれば、なぜ差があるのかその原因を分析する必要があります。
課題の抽出および対策の検討
予算と実績の比較を踏まえて課題を抽出し、課題ごとに具体的な対策を検討します。課題が複数ある場合は、リソースを考慮して優先順位をつけた上で1つずつ課題を解消していくようにしましょう。優先順位は、プロジェクトチームへの影響が大きいものを上位に設定してください。
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予実管理のコツ
ここでは実際に予実管理を行う際に押さえておきたいコツを紹介します。ちょっとしたコツを知っているだけで予実管理を行いやすくなるため、ぜひ参考にしてください。
適切な予算設定
予実管理を行うにあたっては予算目標を設定する必要がありますが、適切な目標設定は大切なポイントです。簡単に達成できるもしくは難易度が高い目標だとプロジェクトメンバーは目標達成に向けたモチベーションの維持が難しくなってしまいます。簡単ではないものの、努力すれば届く、絶妙なラインの目標設定を心がけてください。
定期的なチェック
予算と実績は時間の経過とともに変化するものであるため、予実管理は定期的に行い、予算と実績の乖離がどのくらいあるのかリアルタイムで把握するようにしましょう。
しばらく確認しないうちに乖離具合が大きくなり、簡単に解決できないレベルになる可能性もあります。定期的なチェックは早期の課題解決、軌道修正を可能にするため月に1回チェックするなど、タイミングを決めておくことをおすすめします。
KPIの設定
予実管理の実施にあたっては、KPIの設定がポイントです。KPIとは、Key Performance Indicatorの略で日本語にすると重要業績評価指標です。簡単にいうと、プロジェクトチームが目標を達成するために各プロセスにおいてどのような行動をするかを示す指標です。予算目標の設定だけでは具体的に何をすれば良いかが見えてこないため、KPIを各段階で設定すれば、何をするべきかが明確になり、行動を起こしやすいです。
予実管理に取り組む際の注意点
予実管理に取り組むにあたってはいくつかの点に注意しなければなりません。ここでは具体的にどのような注意点があるのか解説します。先ほど紹介したコツと合わせて覚えておいてください。
細かい違いばかりに注目しない
予実管理に取り組むとなると、どうしても予算と実績の差が気になってしまいますが、細かい差を気にしすぎないように注意してください。これは、小さい差異ばかりに目が向いていると予実管理の本質を見失う恐れがあるためです。先ほども説明しているように、予実管理の目的は進捗状況を可視化およびプロジェクト運営の安定化です。予算と実績の差の分析はあくまでもこれらの目的を達成するための手段であるため、差を見つけることばかりに注力していると目的を見失いかねません。
予算にこだわりすぎない
予実管理において、予算目標の達成は非常に重要なものですが、予算にこだわりすぎるのも望ましくありません。これは、予算目標を至上命題にしてしまうことで、プロジェクトメンバーに無理をさせてしまったり、不正によって予算目標を達成しようとしたりするケースが起こり得るためです。
先ほども説明しているように、予算目標は簡単すぎず、難しすぎない、努力すれば到達できるラインに設定するべきです。無理や不正をしなければ達成できない目標はそもそも最初の設定段階で間違っている可能性があります。
予実管理に欠かせない要素
予実管理に取り組むにあたっては、様々なツールを使いながら数値を把握し、分析する必要があります。例えば、ガントチャートの実績線とベースラインがあれば進捗状況の把握に役立つほか、リソースマネジメントやタイムマネジメントができれば、プロジェクトにおける無駄を省きやすくなるため、結果的に予算目標に近づきやすいです。
予実管理におすすめのツール
予実管理を行う場合、プロジェクト管理ツールの活用がおすすめです。これは、プロジェクト管理ツールには、先ほど紹介したようなガントチャート機能やリソースマネジメント、タイムマネジメント機能など、予実管理に活用できる便利な機能が搭載されているためです。
ここでは、おすすめのプロジェクト管理ツールとしてLychee Redmineを紹介します。Lychee Redmineは、プロジェクトの進捗管理から工数管理、予算管理、リポート作成まで、プロジェクト管理に関する幅広い機能を備えている点が特徴のツールです。
プロジェクトの全体像の把握や進捗状況の把握が可能となるため、予実管理も行いやすいです。
また、製造業や自動車関連業、ソフトウェア開発など、業種・業界、チームの規模を問わず様々な企業が利用しており、実績も申し分なしです。
予実管理でプロジェクトを円滑に進めよう
今回は予実管理の概要や目的、進め方、注意点などについて解説しました。予実管理とは、予算目標の達成に向けて、プロジェクトにおける予算と実績の差を比較する評価プロセスのことです。
予実管理に取り組む場合、まず予算目標を設定する必要があります。この目標の難易度設定を誤るとその後の予実管理がうまくいかない可能性があるため注意が必要です。
予実管理をスムーズに行うためには、プロジェクト管理ツールの活用がおすすめです。ぜひ、Lychee Redmineのように便利な機能を備えたツールの導入を検討してみてください。