製造業や建設業、開発プロジェクトを中心に、各工程(タスク)の進捗状況を適切に把握し、スケジュール通りに進行させるには工程管理は欠かせません。

多くの企業で、工程管理には専門のソフトウェアが使用されています。しかし、コスト面や手軽さなどの観点から、Excel(エクセル)を活用する方法も広く採用されています。

Excelで工程管理を行う際は、いくつかのポイントを押さえる必要があります。例えば、効果的な表の作り方や更新方法、関数の活用の仕方などです。

本記事では、Excelを使った工程管理の方法について、基本的な工程表の作成手順や、管理を効果的に行うポイントを解説します。本記事の内容を参考に、効率的な工程管理でプロジェクトを成功につなげてください。

Excel(エクセル)で作成できる工程管理表の種類と特徴

Excelで作成できる工程管理表の代表的な種類は、以下の3つです。

  • ガントチャート式工程表
  • バーチャート式工程表
  • グラフ式工程表

それぞれの工程管理表に見られる主な特徴を順番に解説します。

ガントチャート式工程表

タスク内容を縦軸に、達成率を横軸に配置した工程管理表です。各工程について以下の情報を記載し、進捗を管理します。

  • 進捗率
  • 担当者
  • 開始日と終了日

タスクの遅れを早期に発見して迅速に対処できるので、納品の遅延を防げます。Excelの数式を使って達成率を自動的に計算するように設定すると、各工程の進行状況を効率的に把握できます。

ガントチャート式工程表は、タスクの進行具合を視覚的に確認しやすく、スケジュール管理に適しています。特に複数のタスクが同時進行する現場では、進捗状況を直感的に把握できる点が大きな利点です。

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バーチャート式工程表

タスク内容を縦軸、日付を横軸に配置した形式の工程管理表です。「各タスクがいつ開始し、いつ終了するか」を横軸に沿ってバーで示します。

特に建築現場でよく利用されています。施工主や職人など、外部関係者とのスケジュール調整に役立ちます。

工程管理表の作成が簡単で、全体のスケジュールや各工程の期間を視覚的に確認できる点が特徴です。各タスクの開始・終了予定や進行状況を一目で把握できます。

ただし、タスク同士の関連性がわかりにくく、視覚的な工夫が必要です。工程の一部を修正する場合、全体への影響を把握しにくい点にも課題があります。

グラフ式工程表

ガントチャートとバーチャートの要素を組み合わせた工程表です。縦軸には進捗状況、横軸には日付を配置し、進捗を曲線で示します。

進捗率や作業予定の日時が視覚的に把握しやすく、各作業の関係性も直感的に理解できます。遅延が発生した場合、影響が波及する工程の確認も容易です。

ただし、工程管理表の作成がやや複雑である上に、タスク間の関連性を明確に把握しにくい面もあります。工程管理表の作成や理解に慣れるまでに、時間がかかるケースが多いです。

Excel(エクセル)で工程管理を行うメリット

本章では、Excelで工程管理を行う代表的なメリットを4つピックアップし、順番に解説します。

導入コストが発生しないケースが多い

Excelは、Microsoft Officeの一部としてほとんどの企業で標準的に使用されています。すでにインストールされているケースが多く、新たなソフトウェアの導入費用やライセンス費用がかかりません。

工程管理に特化した専用ツール・ソフトウェアを導入する場合、ライセンス費やトレーニングコストなどが発生する可能性があります。しかし、Excelであれば心配がありません。

テンプレート活用で簡単に作成・運用できる

Excelを提供するMicrosoftでは、ガントチャート式工程表をはじめ、工程管理に役立つテンプレートを用意しています。プロジェクトの実施期間やタスク内容を入力するだけで、工程管理表を容易に作成できます。

初心者でも操作が簡単で、すぐに作成・運用できる点が大きな魅力です。テンプレートは自由にカスタマイズでき、プロジェクトや業務内容に合わせたオリジナルの工程表を作成可能です。

テンプレートに関数や条件付き書式を追加すれば、タスクの進捗に応じて色分けしたり、期日が迫るとアラートが表示される仕組みを作ったりすることもできます。

Excel(エクセル)で工程管理を行う方法・手順

本章ではガントチャート式工程表を例に、Excelによる工程管理の基本的な進め方を以下の手順で説明します。

  1. タスクの洗い出しと細分化
  2. 担当メンバーの割り当て
  3. タスクの開始日と終了日・依存関係の整理
  4. テンプレートのダウンロード
  5. テンプレートへの入力

各ステップで実施する内容を順番に解説します。

1. タスクの洗い出しと細分化

はじめに、工程管理表の縦軸に記載するタスク内容を洗い出します。全体の流れを正確に把握できるよう、タスクを漏れなくリストアップしましょう。

次に、タスクをさらに詳細に分解し、具体的なステップに分けていきます。例えば、「要件定義」のタスクは、以下のように細かく分けることが可能です。

  • クライアントとの打ち合わせ
  • 必須要件と希望要件の整理
  • 要件定義書の作成
  • クライアントとの合意確認

分解したタスクは、作業の進行順に沿って工程管理表に記入します。ただし、あまりに細かくしすぎると管理が煩雑になるので、適度にまとめるのがポイントです。

2. 担当メンバーの割り当て

続いて、各タスクを担当するメンバーの割り当てを決めます。本ステップでは、特定の担当者にタスクが集中しないように配慮しましょう。

特定の一人に仕事が偏ると、当人の負担が大きくなってしまいます。また、万が一担当者が病気になったり、他のプロジェクトに時間を取られたりした場合、プロジェクト全体の進捗に大きな支障をきたしかねません。

3. タスクの開始日と終了日・依存関係の整理

工程管理表の横軸となる、各タスクの実施期間を決定します。単位は、日や月、年など、規模に応じて選びます。

タスクの開始日と終了日の設定にあたっては、過去の実績データを確認しながら、ある程度期限に余裕を持たせるのがポイントです。タイトなスケジュールにすると、トラブル発生時の対応が困難になるからです。

各タスクの開始日を決める際は、タスクの依存関係の整理もしておきましょう。タスクの依存関係とは、ある特定のタスクが完了しないと、次のタスクが進められない関係性を指します。

タスクの依存関係を整理しておかないと、プロジェクトのスケジュール計画が破綻してしまうリスクがあります。依存関係がある場合、「先行タスクの終了日=後続タスクの開始日」といった計算式でタスクの実施期間を決めるのが望ましいです。

4. テンプレートのダウンロード

引用元:Microsoft 365

本項では、Microsoftが提供しているテンプレート「シンプル ガント チャート」を紹介します。工程管理表のテンプレートは、シンプルで視認性が高いものを選ぶのがおすすめです。

Microsoftのテンプレートは、上記のリンクからダウンロードできます。ダウンロードボタンを押すと、テンプレートを利用可能です(あらかじめExcelが導入されている必要があります)。

5. テンプレートへの入力

本ステップまでに決めたタスク内容や担当メンバー、実施期間などをテンプレートに記入していきます。

前述の通り、タスクには依存関係が見られる場合もあります。依存関係のタスクは色分けをしたり、同時進行的に行えるタスクはまとめて記入したりなど、管理しやすいよう工夫するのがポイントです。

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Excel(エクセル)で工程管理の作成・運用を行う際の注意点

Excelは多くの企業ですでに活用されており、使用する際のハードルは比較的低いです。しかし、以下の注意点を事前に把握しておかないと、運用がうまくいかない原因になりかねません。

  • リアルタイムでの情報の共有や更新が難しい
  • 他の管理業務と一元化できない
  • 管理業務の属人化が起こりやすい

それぞれの注意点を順番に解説します。

リアルタイムでの情報の共有や更新が難しい

1つ目の注意点は、リアルタイムで情報を共有・更新できない点です。工程管理では、計画に基づいて実際の作業状況を記録し、必要に応じて調整を行います。

しかし、記録が漏れたり、共有が遅れたりすると、正確な工程管理が難しいです。計画と現場の状況にズレが生じると、工程管理がうまくいかなくなる可能性があります。

なので、情報の更新タイミングや方法について事前にルールを設定しておきましょう。

他の管理業務と一元化できない

1つのExcelで作成した工程表では、工程管理にしか対応できません。専用ツールでは他の業務と連携しながら包括的に管理できる一方、Excelでは工程管理に特化した使い方となりやすいのが課題です。

開発プロジェクトをスムーズに進めるには、工程管理以外にもスケジュール管理やタスク管理など、様々な管理項目との連携や情報共有が必要です。そのため、Excelだけで管理を行う場合、複数の管理業務を一元的に扱えない点には注意が必要です。

管理業務の属人化が起こりやすい

Excelによる工程管理表の作成にあたって、複雑な設定が求められる場合があります。VBAやマクロなどを活用したExcelファイルは作成した本人以外が内容を理解しづらく、結果として管理作業が特定の個人に依存するリスクがあります。

また、工程管理表の作成者が退職すると、エラーを修正できずにファイル全体が使えなくなる可能性があります。新しいファイルにデータを移行したり、過去のデータを取得したりする際に支障が出るリスクもあります。

工程管理表は継続的に修正・更新が求められるため、管理業務の属人化は大きなリスクです。設定内容をマニュアルにまとめ、業務の透明性や引き継ぎのしやすさを確保しておきましょう。

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なぜExcelよりプロジェクト管理ツールが工程管理に優れているのか

工程管理を行う際は、Excelではなくプロジェクト管理ツールの活用をおすすめします。プロジェクト管理ツールの活用で、より効率的に工程管理が行えます。

プロジェクト管理ツールは、進捗管理、スケジュール管理、工程管理といった、プロジェクト進行に欠かせない様々な管理業務を一元化するのに役立つツールです。

プロジェクト進行に必要な機能を同一のインターフェースでまとめて利用できます。「案件やタスクの進捗状況がひと目でわかる」「様々な管理手法に対応できる」「リアルタイムで共有できる」などの利点があります。

工程管理に役立つプロジェクト管理ツール「Lychee Redmine」

Lychee Redmineは、工程管理表の作成にも対応しているプロジェクト管理ツールです。

Excelも汎用性が高く、工程管理に利用することはできますが、Lychee Redmineは視覚的な表現と全体把握の容易さの観点からより優れていると言えます。例えば、プロジェクトのスケジュールを視覚的に表示するガントチャート機能は、工程間の関係性や進捗状況を一目で確認できます。また、タスク間の依存関係を視覚的に表現するネットワーク図を作成することで、クリティカルパスを特定し、遅延リスクを事前に把握することが可能です。

他にも、リアルタイムな情報共有ができる共同編集機能や、メンバー間で意見交換や質問ができるコメント機能など、豊富な機能とカスタマイズ性を備えています。

工程管理の効率化を目指すならLychee Redmineを活用

Excelによる工程管理は、導入コストがかからず、手軽に始められる方法です。カスタマイズの自由度が高く、プロジェクトの特性やニーズに合わせて柔軟に工程管理表を構築できる点も大きなメリットです。一方で、Excelの工程管理表は複雑になりやすい上に、情報更新が手作業で行われるのでミスの発生を招きます。また、リアルタイムでの情報共有が難しい点も課題です。

工程管理においては、Lychee Redmineのようなプロジェクト管理ツールの方が、より専門的で効率的な機能を提供します。視覚的な表現、リアルタイムな情報共有、進捗管理の自動化など、プロジェクトの成功をサポートする様々な機能が備わっています。

特にプロジェクトの規模が大きい場合や複数のメンバーが関わる場合、プロジェクト管理ツールの導入を検討しましょう。30日間の無料トライアルを実施していますので、工程管理ができるツールの導入を検討している方は、ぜひ無料で試してみてください。

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