要求仕様書とは？作成の流れや書き方をサンプルでわかりやすく解説！

要求仕様書は、システム開発やプロジェクトを進める上で「何を作るのか」「どのような機能が必要なのか」を明確にするための重要なドキュメントです。しかし、「難しそう」「何から書けば良いかわからない」と感じている方もいるのではないでしょうか。

本記事では要求仕様書の基本・作成の流れ・書き方について、具体的なサンプルを交えながらわかりやすく解説します。似たドキュメントとの違い、作成時のポイント、さらにはよくある失敗とその対策まで網羅的にご紹介します。

要求仕様書とは

要求仕様書は、システム開発やプロジェクトにおいて顧客やユーザーの要求を明確に記述したドキュメントです。「何を作るのか」「どのような機能が必要なのか」など、プロジェクトの方向性を明らかにする役割を持ちます。

要求仕様書の基本

要求仕様書は、以下の要素を含むドキュメントです。

要件	説明	例
機能要件	システムが提供すべき機能	ログイン、検索、決済など
非機能要件	機能以外の要件	システムの性能、セキュリティ、可用性など （レスポンス速度は3秒以内、不正アクセスを防止するなど）
制約条件	開発における制約	予算、納期、使用技術など

3つの要素を明確に記述することで、開発チームは顧客の要求を正確に理解し、手戻りの少ない開発を進めることができます。

要求仕様書の作成者

要求仕様書は通常システム開発プロジェクトの初期段階で、以下の3者が協力して作成します。

• システムの実際のユーザーとなる顧客
• 顧客の要求を分析して、システムとして実現可能な形に落とし込むシステムエンジニア（SE）
• プロジェクト全体の計画・実行・管理を担当するプロジェクトマネージャー（PM）

顧客の要求を正確に理解し、開発チームに伝えるためにはシステムエンジニアの役割が非常に重要です。また、プロジェクトマネージャーは、要求仕様書の内容がプロジェクトの目標と一致しているかを確認し、必要に応じて調整を行います。

顧客側に十分な知識を持った担当者がいない場合、開発担当側が積極的に関与する必要があります。

要求仕様書の役割

要求仕様書は、プロジェクトにおける関係者間の共通認識を形成し、開発の方向性を定める上で極めて重要な役割を果たします。具体的には、以下の3つの役割があります。

項目	説明
プロジェクトの目標明確化	開発するシステムや製品が「何を実現すべきか」という目標の明確化により、プロジェクトに関わる全員が同じ方向を向き、一貫性のある開発を進められます。
開発範囲の確定	必要な機能や性能、制約条件などの詳細な記述で、開発範囲を明確に区切ります。「どこまで作るのか」「何を含めるのか」の具現化で、スコープクリープ（計画外の機能追加による肥大化）を防ぎ、予算と納期を守ることにつながります。
品質基準の確立	性能、信頼性、セキュリティなどの具体的な品質目標を設定することで、開発者は品質を重視した設計・実装が可能となり、製品の品質向上につながります。

関係者全員が要求仕様書を理解し共有することで、誤解や手戻りを減らし、効率的な開発を実現できます。

要求仕様書と似たドキュメントとの違い

本章では、要求仕様書と混同されやすい「要件定義書」と「提案依頼書（RFP）」との違いについて解説します。

要件定義書の違い

要求仕様書と要件定義書は、どちらもシステム開発における上流工程で作成されるドキュメントですが、目的と作成者に違いがあります。

要求仕様書は顧客（ユーザー）側が作成するもので、システムに求める機能や性能などの要求を具体的に記述したものです。つまり、「何を作ってほしいか」と顧客の要望を明確にするためのドキュメントを意味します。

要件定義書は開発者側が作成するもので、要求仕様書を基にシステムとして実現するために必要な要件を定義したものです。したがって、「どのように作るか」と開発側の視点から、具体的な実現方法や技術的な制約などを考慮して作成されます。

目的や作成者は異なりますが、要求仕様書は要件定義書作成の基となるドキュメントであるため、両者が密接に関連していることを覚えておきましょう。

提案依頼書（RFP）との違い

要求仕様書と提案依頼書（RFP：Request for Proposal）は、どちらも顧客側が作成するドキュメントですが、目的と対象が異なります。

要求仕様書は、特定のシステムに対して、顧客が求める機能や性能などの要求を詳細に記述したものです。一方でRFPは、システム開発の依頼先を選定するために、複数の業者に対して提案を依頼するためのドキュメントです。RFPには、要求仕様書の内容に加えて、予算やスケジュールなどの情報も含まれます。

簡単に言うと、要求仕様書は「何を作ってほしいか」を具体的に伝えるもので、RFPは「誰に作ってもらうか」を決めるためのものと覚えておきましょう。

要求仕様書の重要性

プロジェクトにおいて要求仕様書が欠かせない理由は、プロジェクト関係者全員が共通の理解を持つための基盤となるからです。もし要求仕様書がなければ、開発者は何を開発すべきか、顧客は何を期待できるのかが曖昧になり、結果として顧客が期待するシステムとは異なるものができてしまう可能性があります。

また、開発の初期段階で要件が明確でないと、手戻りが多くなり、スケジュール遅延やコスト増加につながることもあります。さらに、完成したシステムが顧客のビジネスニーズを満たしていない場合、顧客満足度の低下は避けられません。

最終的にプロジェクトを成功に導くため、要求仕様書は非常に重要なドキュメントです。

要求仕様書作成のタイミング

要求仕様書作成のタイミングは、プロジェクトの企画段階が終了し、プロジェクトを開始する直前に作成されるのが理想的です。なぜなら、要求仕様書はプロジェクトの方向性を決定づける重要なドキュメントで、その後の工程に大きな影響を与えるからです。

プロジェクト開始前に、関係者間で「何を」「どのように」実現するのかという共通認識の形成で、手戻りを減らしスムーズにプロジェクトを進行できます。

具体的には、以下のタイミングで要求仕様書の作成を検討しましょう。

状況	要求仕様書が役立つ理由
新規システム開発プロジェクトの開始時	システムの全体像を把握し、開発の方向性を定めるためのポイントとなります。
既存システムの改修・機能追加時	変更範囲や影響を明確にできます。
パッケージソフト導入時	自社の業務要件との適合性を評価し、カスタマイズの必要性の判断に役立ちます。

要求仕様書を作成するタイミングが早すぎると、プロジェクトの目的や範囲が曖昧なまま作成することになり、後から大幅な修正が生じるため注意しましょう。また、開発がすでに進んでいる段階で作成すると手戻りが多くなり、スケジュール遅延やコスト増加につながる可能性があります。

適切なタイミングで要求仕様書を作成し、プロジェクトの成功につなげることが重要です。

要求仕様書の作成までの流れ

要求仕様書の作成は、以下の4つの段階で進めます。

1.要求収集

最初のステップは、顧客、エンドユーザー、開発チームなどのプロジェクトの関係者から、プロジェクトに対する要求を幅広く収集することです。初期段階では、ブレインストーミング、インタビュー、アンケートなど様々な手法を用いて、可能な限り多くの要求を洗い出します。先入観を持たずに、様々な意見や要望を丁寧に聞き取ることが重要です。

例えば、システム開発であれば、以下のような要求が挙げられます。

• 「顧客情報を一元管理したい」
• 「スマートフォンからもアクセスできるようにしたい」
• 「売上データを自動で集計したい」

2.要求分析

次に、要求収集で集められた情報を整理し、要求の重複や矛盾を洗い出し、実現可能性や優先順位を評価します。分析結果は、要求仕様書に記載する内容を決定するための重要な判断材料となるため、しっかりと分析を行いましょう。

例えば、複数の関係者から「顧客管理機能を強化したい」という要求が上がってきた場合、以下のような分析内容が挙げられます。

• 「どのような情報を管理したいのか」
• 「どのような機能が必要なのか」
• 「既存のシステムとの連携はどのように行うのか」

また、要求分析では、要求を明確化するために、図や表を用いることも有効です。

3.要求定義

要求分析の結果に基づいて、プロジェクトで実現すべき要求を明確に定義します。ポイントは、要求を具体的かつ客観的に記述し、関係者間で共通認識を持つことです。そのため、要求の範囲、機能、性能、品質などを明確に記述することが重要です。

例えば、「顧客情報を一元管理したい」という要求を定義する場合、以下のような内容が挙げられます。

• 「顧客ID、氏名、住所、電話番号、メールアドレス、購入履歴などの情報を管理する」
• 「顧客情報を検索、登録、更新、削除できる機能を提供する」
• 「顧客情報をCSV形式でエクスポートできる機能を提供する」

4.要求仕様記述

最後に、要求定義で明確化された要求を要求仕様書として文書化します。要求仕様書は、システムを構築する開発チームの設計図となるため、正確かつ詳細に記述しなければなりません。具体的には、機能要件、非機能要件、制約条件などを記述します。

要求仕様書は、プロジェクト進行中に頻繁に参照される重要なドキュメントです。そのため、作成後も適切に管理し、必要に応じて更新を行うことが重要です。

要求仕様書の書き方とサンプル

本章では、具体的な項目とサンプルやテンプレートを交えながら、要求仕様書の書き方を解説します。

プロジェクト概要

プロジェクトの目的や背景、目標などを簡潔に記述します。要求仕様書を受け取った人がプロジェクト全体像を把握できるように、以下の要素を含めると効果的です。

• プロジェクト名
• 開発の目的・背景
• 期待される効果
• ターゲットユーザー

▼サンプル：

• プロジェクト名：ECサイトリニューアル
• 開発の目的・背景：既存ECサイトの老朽化に伴い、UI/UXを刷新し、顧客満足度の向上と売上増加を目指す
• 期待される効果：コンバージョン率15%向上、顧客単価10%向上
• ターゲットユーザー：20代～40代の女性、スマートフォン利用頻度の高い層

対象読者

要求仕様書の読者層を明確にします。読者層に合わせた表現や専門用語のレベルの調整が重要です。

▼サンプル：

• 開発チーム（SE、プログラマー）
• デザインチーム（UI/UXデザイナー）
• テストチーム
• プロジェクトマネージャー
• 顧客担当者

機能要件

システムが提供すべき機能を具体的に記述します。ユーザーがどのような操作を行い、システムがどのような応答を返すのかを明確に記載しましょう。具体的には、以下のような項目が挙げられます。

• ログイン機能
• 商品検索機能
• カート機能
• 決済機能
• 注文履歴閲覧機能
• 会員登録機能

各機能について、以下の情報を記述します。

• 機能名
• 機能概要
• 入力情報
• 出力情報
• 処理内容

▼サンプル：

機能名	機能概要	入力情報	出力情報	処理内容
ログイン機能	ユーザーがECサイトにログインするための機能	ユーザーID、パスワード	ログイン成功/失敗メッセージ	入力されたユーザーIDとパスワードをデータベースと照合し、認証を行う。
商品検索機能	ユーザーがキーワードやカテゴリで商品を検索するための機能	検索キーワード、カテゴリ	検索結果一覧	入力された検索キーワードまたはカテゴリに合致する商品をデータベースから検索し、一覧表示する。

非機能要件

非機能要件とは、システムの品質に関する要件のことです。性能やセキュリティ、可用性、保守性など、機能要件以外の重要なポイントの明確な定義で、システム全体の品質向上につながります。

例えば、以下のような項目が挙げられます。

• 性能要件：応答時間、処理能力
• セキュリティ要件：認証、認可、データ保護
• 可用性要件：稼働率、障害回復
• 保守性要件：システムの変更容易性、テスト容易性

▼サンプル：

要件	詳細
応答時間	トップページ表示：3秒以内 商品検索：5秒以内
セキュリティ	個人情報：SSL暗号化 パスワード：ハッシュ化
可用性	稼働率：99.9%以上

制約条件

プロジェクトを進める上での制約条件を記述します。技術的な制約、予算の制約、スケジュールの制約など考慮すべき制限事項を明確にすることで、現実的な計画を立てられます。

▼サンプル：

• 予算：〇〇万円以内
• 納期：〇〇年〇〇月〇〇日まで
• 使用技術：既存システムとの連携のため、〇〇技術を使用
• 法的制約：個人情報保護法に準拠

開発体制・スケジュール

開発チームの体制と、プロジェクトのスケジュールを記述します。誰がどの役割を担い、いつまでに何を行うのかを明確にすることで、プロジェクトの進捗管理を円滑に進められます。

▼サンプル：

開発体制：

• プロジェクトマネージャー：〇〇
• システムエンジニア：〇〇、〇〇
• プログラマー：〇〇、〇〇、〇〇
• UI/UXデザイナー：〇〇
• テスト担当：〇〇

スケジュール：

工程	期間	担当
要件定義	〇〇年〇〇月〇〇日～〇〇年〇〇月〇〇日	〇〇
設計	〇〇年〇〇月〇〇日～〇〇年〇〇月〇〇日	〇〇、〇〇
開発	〇〇年〇〇月〇〇日～〇〇年〇〇月〇〇日	〇〇、〇〇、〇〇
テスト	〇〇年〇〇月〇〇日～〇〇年〇〇月〇〇日	〇〇
リリース	〇〇年〇〇月〇〇日	〇〇

用語集

要求仕様書で使用する専門用語や略語について、定義を記述します。読者間で用語の解釈の相違を防ぎ、共通認識を持てるようにすることが目的です。

▼サンプル：

用語	定義
UI	ユーザーインターフェースの略。
UX	ユーザーエクスペリエンスの略。
SSL	Secure Sockets Layerの略。インターネット上でデータを暗号化して送受信するプロトコル。

要求仕様書を作成する際の4つのポイント

要求仕様書の作成にあたっては、以下の4つのポイントを押さえることで、より明確で実用的な仕様書を作成できます。

目的を明確にする

要求仕様書を作成する上でもっとも重要なことの一つは、目的の明確化です。「何のためにシステムを開発するのか」「どのような課題を解決したいのか」といった目的の具現化で、プロジェクトの方向性が定まり、関係者間で共通認識を持てます。

目的が曖昧なまま開発を進めてしまうと、途中で要件がブレたり、不要な機能が追加されたりする可能性があります。目的の明確化でマイナスな事態を防ぎ、効率的な開発が可能です。

目的を明確にするためには、以下の点を具体的に記述しましょう。

• 解決したい課題
• 達成したい目標
• 期待される効果

5W1Hで記述する

要求仕様書は、5W1H（When, Where, Who, What, Why, How）を意識した記述で、より具体的でわかりやすい内容になります。

例えば、以下のような記述で、要件がより明確になります。

要素	内容
WHY（目的）	何のためにシステムを開発するのか、なぜその機能が必要なのか、なぜそのデータを取り扱う必要があるのか
WHAT（内容）	どのような機能が必要なのか、どのようなデータを取り扱うのか
WHO（利用者）	誰がシステムを利用するのか（例：特定のユーザー、特定の役割）
WHEN（時期）	いつまでにシステムが必要なのか
WHERE（場所）	どこでシステムを利用するのか（例：特定の部署、特定の地域）
HOW（方法）	どのようにシステムを開発・運用するのか、どのようにシステムを操作するのか、どのようにデータ処理を行うのか

5W1Hを意識することで、関係者間の認識のずれを防ぎ、手戻りを減らせます。

優先順位を定義づける

すべての要求事項が同じ重要度を持つわけではないため、各要件の優先順位を明確に定義づけることが重要です。優先順位付けによって、開発リソースを効率的に配分し、もっとも重要な要件から順に実装できます。

優先順位の定義方法としては、以下のような方法があります。

優先度	説明
必須（Must have）	プロジェクトの成功に不可欠な要件
重要（Should have）	必須ではないが、実現することで大きなメリットがある要件
推奨（Could have）	実現できれば望ましいが、必須ではない要件
将来（Won’t have this time）	今回のリリースでは実装しないが、将来的に検討する要件

優先順位の明確化で、開発チームはどの要件に注力すべきかを判断しやすくなり、効率的な開発が可能です。

図表や画像を盛り込む

テキストだけで要求仕様を説明するよりも、図表や画像を盛り込むことで、より視覚的にわかりやすく伝えられます。画面遷移図やシステム構成図、業務フロー図など、必要に応じて適切な図表や画像を活用しましょう。

ただし、図表や画像は、あくまで説明を補足するものであり、テキストによる説明を省略するものではありません。テキストと図表・画像を適切に組み合わせることで、より効果的な要求仕様書を作成できます。

【チェックリスト付き】要求仕様書作成でよくある失敗と対策

本章では、よくある失敗例とその対策、そして失敗を防ぐためのチェックリストをご紹介します。

ありがちな失敗例と対策：曖昧な表現、記述漏れ

要求仕様書でもっともよく見られる失敗の一つが、曖昧な表現や記述漏れです。開発者と依頼者の間で認識のずれが生じ、手戻りや追加コストが発生する原因となります。

失敗例	詳細	対策
曖昧な表現	「高速に処理する」「使いやすいインターフェース」など、具体的な基準がない表現。	数値や具体的な指標を用いて表現する。（例：「3秒以内に処理を完了する」「3ステップで目的の操作が完了する」など）
記述漏れ	必要な機能や条件が抜け落ちている。（例：エラー処理、セキュリティ要件、パフォーマンス要件など）	要求収集段階で関係者へのヒアリングを徹底し、抜け漏れがないか複数人でレビューする。

曖昧な表現を避け、5W1H（いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように）を意識した記述で、認識のずれを防げます。また、記述漏れを防ぐためには、チェックリストを活用し、複数人でレビューを行うことが重要です。

ありがちな失敗例と対策：スコープの不明確さ

要求仕様書においてプロジェクトのスコープ（範囲）が不明確だと、途中段階で機能の追加や変更が起き、プロジェクトの遅延を引き起こす可能性があります。

失敗例	詳細	対策
スコープの肥大化	当初の計画になかった機能が追加され、プロジェクトの範囲が際限なく広がってしまう。	プロジェクト開始前に、スコープを明確に定義する。変更管理プロセスを導入し、スコープ変更時には影響範囲を評価し、承認を得る。
スコープの誤解	開発者と依頼者の間で、プロジェクトの範囲に対する認識が異なっている。	要求仕様書にプロジェクトの目的や目標、対象範囲、除外範囲などを明記する。必要に応じて、図や画像を用いて視覚的に表現する。

スコープを明確にするためには、プロジェクト開始前に関係者間で十分なコミュニケーションを取り、共通認識を持つことが重要です。また、スコープ変更管理プロセスを導入し、変更の際には影響範囲を評価することで、プロジェクトの遅延を防げます。

ありがちな失敗例と対策：非現実的な要求

技術的に実現困難な要求や予算、スケジュールに見合わない要求を盛り込んでしまうことも要求仕様書作成における失敗例の一つです。

失敗例	詳細	対策
技術的実現不可能性	現在の技術では実現できない、または実現に多大なコストがかかる要求を盛り込んでしまう。	要求仕様書作成前に、技術的な実現可能性を調査する。開発チームと協力し、実現可能な代替案を検討する。
予算・スケジュールの超過	要求を満たすために必要な予算やスケジュールが、現実的ではない。	要求仕様書作成時に、予算とスケジュールを考慮する。優先順位の低い要求を削減する。

非現実的な要求を避けるためには、要求仕様書作成前に、技術的な実現可能性や予算、スケジュールなどを考慮しなければなりません。

失敗を防ぐためのチェックリスト

要求仕様書作成における失敗を防ぐために、以下のチェックリストを活用しましょう。

項目	チェックポイント
明確性	曖昧な表現や専門用語を避け、誰にでも理解できる言葉で記述されているか
網羅性	必要な機能、性能、制約条件などがすべて記述されているか
一貫性	要求事項に矛盾がないか
実現可能性	技術的に実現可能であり、予算とスケジュールに見合っているか
検証可能性	要求事項がテスト可能であり、結果を検証できるか
優先順位	各要求事項に優先順位が付けられているか
トレーサビリティ	各要求事項が、ビジネス要件や設計書と紐づいているか
レビュー	複数人でレビューを行い、抜け漏れや誤りがないか確認したか

チェックリストを参考に、要求仕様書を丁寧に作成しましょう。

要求仕様書はプロジェクト成功へのポイント

要求仕様書は、プロジェクトの初期段階における関係者全員の共通認識を形成し、後工程での手戻りを防ぐための重要なドキュメントです。

要求仕様書が明確であれば、開発チームは迷うことなく開発を進められ、顧客の期待に応えるシステムを構築できます。一方で要求仕様書が曖昧または不十分な場合、プロジェクトは方向性を見失い、失敗するリスクが高まります。

プロジェクトを成功させるために、要求仕様書の作成に十分な時間をかけ、関係者全員が納得できるまで意見を収集・共有することが重要です。

しかし、要求仕様書をしっかりと作成できても、プロジェクト自体をうまく管理できていないと、プロジェクト成功に近づけない恐れがあります。そのため、プロジェクト管理ツールの活用で効率的にプロジェクト成功へ導くことがおすすめです。

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