「プロジェクトにいつも横やりが入る」
「いつも何らかの衝突がプロジェクトで起きている」

このような思いを持ちながら、プロジェクトに取り組んでいませんか?

プロジェクト管理というと、プロジェクトメンバーとプロジェクトマネージャーの関係性が主に注目されます。
ですが、プロジェクトに関わっている人は2者のみではありません。

例えばプロジェクトを運営している会社の経営層や取引先、地域住民の方々もプロジェクトに関係してくる場合があります。
以上のような、プロジェクトの利害関係者を包括して「ステークホルダー」と呼びます。

今回紹介するのは、ステークホルダーマネジメントについての概要や目的、実施するコツです。

多くの方が、何らかのプロジェクトのステークホルダーになっているかもしれません。
ぜひ皆さん最後までご覧ください。

ステークホルダーマネジメントとは?

ステークホルダーマネジメントとは、企業やプロジェクトの利害関係者を管理することです。
プロジェクトを円滑に運営するために実施します。

例えば、主なステークホルダーである顧客の意見をないがしろにしてプロジェクトを推進することはできません。

プロジェクトによって、ステークホルダーの範囲は異なります。

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PMBOKについて

PMBOKとは「Project Management Body of Knowledge」の略で、プロジェクトマネジメントについての知識を体系的にまとめたものです。

プロジェクトの品質と原価、そして納期を達成するための考慮すべき10の領域と過程5つがまとめられています。

2012年12月に、PMBOKで定められたマネジメント領域にステークホルダーマネジメントが新設されました。
以下は、現在のPMBOKのマネジメント領域です。

  1. 統合マネジメント
  2. スコープマネジメント
  3. スケジュールマネジメント
  4. コストマネジメント
  5. 品質マネジメント
  6. 資源マネジメント
  7. コミュニケーションマネジメント
  8. リスクマネジメント
  9. 調達マネジメント
  10. ステークホルダーマネジメント

マネジメント領域の新設は、今から25年以上前の1996年以来のことです。
ステークホルダーマネジメントが、注目されてきていることがわかります。

管理の対象は幅広い

ステークホルダーマネジメントで管理する利害関係者の幅は、プロジェクトに関係している人すべてです。
よって、非常に広範囲になります。

株主や経営者、取引先、顧客、自社で働く従業員などが主なステークホルダーに該当します。
プロジェクトによっては金融機関や行政機関、企業と関わりがある地域社会や住民、自治体なども該当するでしょう。

例えばビルを建設するプロジェクトの場合、ビルの建設によって日照権が侵される可能性のある住民はステークホルダーに入ります。

ステークホルダー分析はマネジメントの前段階

ステークホルダー分析では、ステークホルダーを特定し、プロジェクトへの関心度、影響力で振り分けます。

振り分けた後、各ステークホルダーをどのように管理するか決めます。

例えば組織でも稀に見る大規模プロジェクトを扱う場合、組織の取締役や他部署の部長もプロジェクトへの関心は普段以上に高まるでしょう。
また、以上の方々は影響力も大きいため、重要なステークホルダーとしてみなす必要が出てきます。

ステークホルダー分析は、ステークホルダーマネジメントの前段階に必要なフェーズです。

ステークホルダーマネジメントの目的

ステークホルダーマネジメントは利害関係者と良好な関係を築くために実施します。
利害関係者との関係は、プロジェクトに大きな影響を与えるからです。

例えば上場企業の場合、企業内でプロジェクトが円滑に進んでいても株主からの理解が得られていない場合一気に頓挫する可能性があります

普段から密にステークホルダーとコミュニケーションを取ることで、反対派が減っていき周りが協力してくれるようになります。

ステークホルダーマネジメントがなぜ重要視されるのか

ステークホルダーマネジメントがなぜ重要なのかを紹介します。

利害関係者の複雑化

現代社会は価値観が多様化しており、利害関係者が複雑化しています。

働き方も情報を得る方法も多様化しているため、複雑化が進むとともにステークホルダーの管理も難しくなっています。

例えば、ひと昔前は配当や給与などの金銭的な要求が企業には求められていました。
しかし最近では、金銭的なものより企業の存在理由やビジョンを求められるようになってきています。

ずっと同じような考え方をしていると、ステークホルダーからプロジェクトに対して予期しないクレームが発生してしまいます。

PMBOKにおける位置づけ

2012年に、PMBOKでステークホルダーマネジメントがマネジメント領域の10番目に定められました。
現在PMBOKはプロジェクトマネジメントの世界標準となっており、学ぶ人は世界中に多く存在します

学ぶ人の多いPMBOKに定められた事柄は、それだけ影響力も大きくなります。

世界標準のPMBOKできちんとマネジメント領域として位置づけられたことが、ステークホルダーマネジメントの重要性を加速させるでしょう。

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ステークホルダーマネジメントの方法

PMBOKにも記載されているステークホルダーマネジメントの方法を紹介します。

ステークホルダーの特定・洗い出し

まずは誰がステークホルダーに当たるのかを洗い出し、特定します。

ステークホルダーには、直接的なステークホルダーと間接的なステークホルダーが存在します。

直接的なステークホルダーは顧客や従業員、プロジェクトマネージャーなどで非常にわかりやすいでしょう。

間接的なステークホルダーは見落としがちですが、非常に重要な影響を与えることもあります。
例えば、労働組合、従業員の親族、行政機関、自治体などは、間接的なステークホルダーです。

特定のフェーズでは、普段業務では意識する場所にない人々にも気を配らせましょう。
徹底的に影響力と関係性を洗い出すことが重要です。

マネジメントの計画

マネジメントの計画では、ステークホルダーがどのようにプロジェクトへ関与してもらうかを決めます。
なぜなら、ステークホルダーといっても個々によって影響力や関心度、関係性はまったく異なるからです。

例えば、株主が現場のプロジェクトメンバーと同じように毎回プロジェクト会議に参加してもらうのは違います。

また場合によっては、プロジェクトマネージャーよりも他社から来ているコンサルタントの方がプロジェクトに対し大きな影響力を持つケースもあります。

プロジェクトの状況を見極めて、適切な利害関係者との関わり方を計画しましょう。

エンゲージメントの管理

続いて、利害関係者の期待に応え満足させることを目指します。

期待に応えるには、プロジェクトの現在の状況と将来の完成度を予測してステークホルダー別に期待値を都度調整します。

調節のためのコミュニケーションは非常に難しく、豊富な経験が必要です。この辺りに関しては後述するコツを参考にチャレンジして、自分なりの調整のためのコミュニケーション方法を探してみてください。

計画実施状況の監視

最初に立てた計画通りにマネジメントが進んでいるかを監視します。

多くの場合計画通りいかないので、計画からそれている部分を責任者に報告して改善します。

場合によっては、計画の進路変更も余儀なくされるでしょう。

ステークホルダーマネジメントのコツ

ステークホルダーマネジメントのコツを紹介します。

日頃からステークホルダーとコミュニケーションを取る

プロジェクトへの関与率が高いステークホルダーや、決定権を持つステークホルダーとは日頃からマメにコミュニケーションを取りましょう。

ステークホルダーも人間なので、日頃からコミュニケーションを取っている人間を信頼しやすくなります。
信頼されれば、自由にプロジェクトを進めやすくなるでしょう。

また、管理する側も相手の事情が常日頃からわかっていると合わせて調整ができます。

コミュニケーションをおろそかにしていると、知らない内にステークホルダーが考えている期待から大きく外れて衝突する可能性があります。

仕事が忙しくても、定期的にステークホルダーに目を向けるようにしましょう。

1人で仕事を抱え込みすぎない

ときには、周りに頼ることも必要です。
自分1人だとどうしてもステークホルダーとの関係が悪化してしまうこともあります。

特に初めてマネジメントを任されたときは、周りに迷惑をかけてはいけないと思い仕事を抱え込んでしまいがちです。

ですが必要なときは上司や同僚を巻き込んで対応することで、手厚くかつ繊細な対応が可能になります。

1人でできることには限界があるので、頼る勇気を持つことを心がけましょう。

ステークホルダーマネジメントがプロジェクトを左右する

今回の記事の内容を以下にまとめました。

  • ステークホルダーは広範囲に存在する
  • ステークホルダーマネジメントはPMBOKマネジメント領域のひとつ
  • ステークホルダーマネジメントは利害関係者と良好な関係をもたらす
  • 利害関係者は複雑化している傾向にある
  • ステークホルダーマネジメントの成功は日頃のコミュニケーションにかかっている

直接意識しなくてもプロジェクトは進むため、普段ステークホルダーマネジメントを意識せず仕事に取り組んでいる方も多いでしょう。

しかしステークホルダーマネジメントを意識して仕事をしないと、予期せぬ衝突が発生する原因になります。
より高精度なプロジェクト運営をしたいのであれば、ステークホルダーマネジメントは欠かせません。

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