新規事業であれ既存事業であれ、成果を上げるためには年間計画の策定が必要不可欠です。

しかし、年間計画とは具体的に何を指すのかを厳密に把握できている方は少なからずいます。どういった内容を盛り込むべきか、どういった手順で計画を立てれば良いのか、疑問に感じている方も少なくありません。

本記事では、年間計画の立て方についてわかりやすく解説します。

計画作成の前に必要な準備や、事業を円滑に進めるためのポイントも紹介しますので、効果的な年間計画を立てる際の参考にしてください。

年間計画とは

本記事では、年間計画を、事業計画のように企業全体の戦略を含むものではなく、特定のプロジェクトや個別の業務に焦点を当てた計画と定義します。個人・チームレベルでのタスクや目標達成に向けたアクションの管理・把握に役立つスケジュールに近いものです。

年間計画と似た言葉に、事業計画や年間の事業計画などが挙げられます。

事業計画は、企業の成長や収益の向上などを目的として、中長期的な視点で立てられる計画です。企業のビジネスの方向性を示す指針として機能します。

年間の事業計画は、上記で示した事業計画のうち、特定の年度で実施する内容をまとめたものです。企業・組織が1年間にわたり取り組む事業活動全般についての計画を指します。

年間の事業計画には、組織全体のビジネス活動を支える大枠の計画が含まれます。例えば、企業の成長戦略や収益目標、リソースの配分、プロジェクトの優先順位、マーケティング戦略などです。

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年間計画を立てるメリット

年間計画の作成は義務ではなく、計画がなくても業務を進行できます。しかし、円滑で安全な業務運営の進行にあたっては、計画策定が望ましいです。

例えば、新規事業で売上を10%アップさせるといった目標がある場合、具体的な計画が従業員に共有されないと、業務の足並みが揃わず生産性が低下する可能性があります。また、目標が不明瞭なので、モチベーションに悪影響を与えるおそれがあります。

こうしたリスクが考えられる場合、年間計画を作成し、進捗状況や施策の結果を適宜共有しましょう。従業員の目標達成に向けた意識向上が期待できます。

年間計画を策定する際は、各メンバー個人単位のタスク・アクションに落とし込みましょう。各メンバーが部署・プロジェクトにおける役割を明確に把握でき、パフォーマンス向上につながります。

年間計画の立て方

本章では、年間計画の基本的な立て方を4つのステップに分けて取り上げます。各ステップですべきことを順番に解説するので、年間計画を策定する際の参考にしてください。

1. 年間計画の目標を明確に定める

まず、年間計画の基本となる目標を明確に設定します。目標は、事業計画および年間の事業計画に基づいて設定しましょう

具体的かつ測定可能な目標(例:売上や利益など)を立てることで、年間計画の達成に直結します。そのほかに押さえておきたい目標設定のポイントは、以下の通りです。

  • 達成可能である:現実的な範囲内で、努力すれば達成できる目標にする
  • 期限を設定する:目標の達成に向けた期限を1年の中で設定する

2. 現状分析により課題を把握する

次に、現在の状況を分析し、目標達成に向けた課題や障害を把握します。SWOT分析や業績データ、競合他社の動向などを参考にして、自社の強み・弱み、外部環境の機会や脅威を明確にしましょう。

SWOT分析は、企業やプロジェクトが置かれている内外の環境を以下の4つの要素に分解して分析する手法です。強みを生かし、弱みを克服し、機会を捉え、脅威を回避する上で効果的な戦略を導き出します。

  • Strengths:競争上有利なリソースや能力など、企業や組織が持つ強み
  • Weaknesses:競争上不利な点や改善が必要な要素など、企業や組織が持つ弱み
  • Opportunities:市場や業界の動向から得られる成長や拡大のチャンス
  • Threats:市場や業界の変動、競合の強化、技術革新などがもたらすリスク

3. 戦略とアクションプランを策定する

現状分析により課題が明確になったら、目標達成に向けた具体的な戦略とアクションプランを策定します。戦略は大まかな方向性を示すものであり、アクションプランは戦略を実行に移すための詳細な手順です。

以下に、戦略策定を行う際の大まかなステップをまとめました。

  1. 大枠の方針や取組を決め、達成に必要な行動を定義する
  2. 各戦略を実行に移す際の具体的なステップを設定し、担当者と期限を明確にする
  3. 人材、資金、時間などのリソースの配分を決定する

上記の戦略を基にアクションプランを策定します。年間計画における戦略とアクションプランの一例を下表に示しました。

戦略 アクションプラン 期限 担当者
デジタルマーケティング強化 SNSキャンペーンの展開、新規広告の作成 2025年3月末 マーケティング部
顧客満足度の向上 顧客アンケートの実施とフィードバックの収集 2025年2月末 営業部
新商品の開発 新商品のコンセプト立案、プロトタイプの開発 2025年9月末 商品開発部

4. 立案した年間計画の実行・検証を進める

最後に、立案した計画を実行し、検証を進めます。年間計画を実行していく中で、進捗を定期的に管理しつつ、必要に応じた計画の見直しが非常に重要です。

計画が進行する中で、新たな課題が発生したり、外部環境の変化から影響を受けたりする場合もあり、柔軟な対応が求められます。

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事業達成につながる年間計画を立てるポイント

本章では、事業達成を目指す上で把握しておきたい年間計画策定のポイントを2つ紹介します。

SMARTの法則を用いて具体的な目標を設定する

事業達成に向けた年間計画を立てる際に、目標設定は極めて重要です。目標が漠然としていると計画の策定・実行が曖昧になり、目指すべき方向性が不明確になる可能性があります。

具体的な目標を設定する上で有効なのが、SMARTの法則活用です。

SMARTの法則とは、目標設定をより効果的に行う際の基準を示すものです。以下に、SMARTの法則における5つの要素と、目標設定の例を紹介します。

要素 説明
Specific 達成すべき目標を具体的かつ明確に示す 新規顧客を100件獲得する
Measurable 進捗状況や達成度合いを数値で確認できるようにする 毎月の新規顧客数、売上高
Achievable 現実的で無理のない目標を立てる 営業チームを増員し、ターゲット市場を拡大する
Relevant 事業・プロジェクトの達成につながる目標を立てる 新規顧客の増加は、売上増加や市場での占有率拡大に寄与する
Time-bound 目標達成までの期限を明確にする 2025年12月末までに100件の新規顧客を獲得する

わかりやすく具体的な表現・根拠のある数値を使う

年間計画は、チーム全体に共有し計画の意図・各自の役割を把握してもらう必要があります。なので、わかりやすく具体的な表現・根拠のある数値を使って作成しましょう。

あまりに情報を詰め込みすぎると、資料が膨大になりがちです。読み手にとってわかりやすく、簡潔な内容にまとめることが大切です。

誰でも理解できるよう、グラフや図表を使って視覚的にわかりやすくしましょう。デザインに凝りすぎず、シンプルなものを心がけると効果的です。

また、年間計画に示した数値には実現性が求められます。例えば、売上を5%増加させたり、50万円の収益を見込んだりといった数値目標を立てる際は、根拠を明確に示しましょう。

具体的な根拠や裏付けを提供すれば、信頼性の高い計画書を作成できます。根拠の説明は簡単ではありませんが、客観的なデータや確かな分析に基づいた年間計画は、事業・プロジェクトを達成させる上で非常に重要です。

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年間計画の策定・管理に役立つツール3選

本章では、年間計画の策定・管理に役立つツールを3つピックアップし、機能や特徴を中心に紹介します。自社の事業・プロジェクトに適したツール選びにお役立てください。

Lychee Redmine

Lychee Redmineは、導入社数7,000社を突破しているプロジェクト・タスク管理ツールです。操作性に優れ、ツール操作に不安のある方でも安心して利用できます。

Lychee Redmineでは、年間計画表をガントチャート形式で管理できます。策定した計画に基づき、担当者ごとのタスク管理や進捗管理も容易に行えるのでおすすめです。

また、ガントチャート、カンバン、リソースマネジメント、タイムマネジメント、EVM、CCPMなどの多彩な機能を活用することで、事業やプロジェクトを円滑に進められます。現場の要望に応じて必要な機能を追加開発できる点も強みです。

Lychee Redmineには、無料プランと有料プランが用意されています。無料プランは期間の制限なく無料で利用できますが、主に使える管理機能はカンバンのみとなっているのでご注意ください。

有料プランからは、ガントチャートをはじめプロジェクトを管理するさまざまな機能が利用できます。有料プランも30日間は無料でお試しが可能です。

プラン 月額料金 利用機能
フリー 無料
  1. 基本機能
  2. カンバン
スタンダード 900円
  1. 基本機能
  2. ガントチャート
  3. カンバン
  4. ダッシュボード
プレミアム 1,400円
  1. 基本機能
  2. ガントチャート
  3. カンバン
  4. ダッシュボード
  5. 工数リソース管理
  6. EVM
  7. コスト管理
  8.  CCPM
ビジネス[無料トライアルはこちらをお試しできます] 2,100円
  1. 基本機能
  2. ガントチャート
  3. カンバン
  4. ダッシュボード
  5. 工数リソース管理
  6. EVM
  7. コスト管理
  8. CCPM
  9. プロジェクトレポート
  10. カスタムフィールド
  11. チケット関連図
  12. グループの階層化機能

年間計画の策定・管理に役立つツールの活用を考えている場合には、ぜひLychee Redmineの導入をご検討ください。

サイボウズ Office

引用:サイボウズ Office

サイボウズ Officeは、スケジュール共有、ワークフローなど、社内の情報共有を支援する簡単で便利な機能が豊富なグループウェアです。

サイボウズ Officeに備わっているスケジュールは、予定を管理する機能です。個人の予定管理だけではなく、部署・チームメンバーの予定管理・共有もでき、会議の予定に合わせて施設や備品を予約できます。

また、登録された予定が種類ごとに色分けして表示されるので、毎日の予定を直感的に把握できます。

Sactona

引用:Sactona

Sactonaは、クラウド上で利用可能な経営管理システムです。予算編成や管理、経営計画や事業計画のExcel操作を効率的にサポートします。

複数の部署や子会社との情報共有も簡単にでき、連結管理やグループ管理にも対応しています。

Sactonaが高く評価される理由の一つが、レポート作成の自動化機能です。

データの取り込みからレポートの出力まで、すべてを自動で処理し、ボタンを一度クリックするだけで完了します。単純作業に時間を取られず、より重要な業務に集中できます。

さらに、Sactonaは大規模な利用にも対応可能で、1,000人以上のユーザーがいてもスムーズに活用できます。億単位のデータ処理もメモリ上で高速に行えるので、大規模なデータ管理が求められる企業にも最適です。

効果的な年間計画の立て方を押さえて実践しよう

本記事では、年間計画の立て方について解説しました。大切なことは年間計画の策定自体ではなく、立てた計画の実現です。

上記を実現するには、経営層やマネジメント層が計画を達成する熱意を持ち続けるだけでなく、従業員はじめステークホルダーの協力も必要です。年間計画は一人で立てるのではなく、ステークホルダーと一緒に作っていくのが望ましいです。

また、年間計画を効果的に策定・管理するには、ツールを活用しましょう。数あるツールの中でも、Lychee Redmineの導入をおすすめします。

Lychee Redmineは、年間計画表をガントチャート形式で管理できます。策定した計画に基づき、担当者ごとのタスク管理や進捗管理も容易に行えるのでおすすめです。

操作性や導入のしやすさに優れており、プロジェクトの規模や人を選ばずに使えるので、非常に使い勝手が良いです。有料プランも30日間は無料でお試しできるので、ぜひ申し込みをご検討ください。

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