ナレッジマネジメントツールは、事業活動を通じて、組織を構成する個人に蓄積されたノウハウを共有するために導入されます。
ナレッジマネジメントツールの導入は、「業務効率の向上」や「属人化の防止」などのメリットを組織にもたらします。
ただし、こうした恩恵を受けるためには、自社の業務に適したナレッジマネジメントツールを導入しなければなりません。
そこで本記事では、ナレッジマネジメントを支援するおすすめのツールを3つ厳選してご紹介します。
各ツールの特徴や機能、ツールを活用する利点なども解説していますので、ナレッジマネジメントツールを導入したい方にとって必見の内容です。
ナレッジマネジメントツールとは?
ナレッジマネジメントの「ナレッジ」とは、知識・知見・スキル・ノウハウなど、幅広く業務上で役立つ情報を意味します。
個人の持つナレッジを組織全体で共有・活用するというのが、ナレッジマネジメントの基本的な考え方です。
そして、ナレッジマネジメントツールとは、社員ひとりひとりの知識・経験を会社全体で共有するためのツールです。
このツールを使うことで、ナレッジマネジメントをより効率的に進められるようになるでしょう。
経験豊富な社員のノウハウ共有をスムーズに進めながら、社員全員の能力向上・企業価値の向上・作業の効率化などが図れるようになります。
ナレッジマネジメントの重要性
従来の日本企業では、先輩から後輩へと経験・知識が自然継承により伝えられていました。
これが日本企業の強さの一因でもありましたが、近年は商品市場において大きな変化が起きており、その方法では厳しくなってきました。
例えば、サービス業が増え、物を購入するよりも経験を楽しむ形での消費が増えたり、新しい商品が次々と出てくるスピードが早まったりしています。
こうした状況を踏まえて、顧客のさまざまな希望をくみ取り、それに応える新しい商品やサービスを考えるための経験・知識が大切になってきています。
その一方で、従来のようにずっと同じ会社で働く文化が減り、人々が職を変えることが増えてきており、その人が持つ大切な経験・知識が会社から失われることも増えてきました。
また、AIをはじめとする最新技術を使って、これまで形にできなかった経験・知識を具体的なものとして残せるようにもなってきました。
こうした変化が、社員の知識・経験を上手く活用し、全員で共有するためのナレッジマネジメントの考え方に注目が集まっている大きな理由です。
ナレッジマネジメントツールの種類
ナレッジマネジメントツールには、大まかに以下のような種類が存在します。
種類 | 特徴 |
専門知識タイプ | 社員からのよくある質問をデータベースにまとめたもので、社内での問い合わせがスムーズになります。 |
業務プロセスタイプ | 顧客からの質問にどう答えるか、その手順を社内で共有することに特化しているタイプです。 顧客の満足度向上に寄与します。 |
ベストプラクティス共有タイプ | 優れた成果を出している社員の考え方・やり方を共有することに特化しているタイプです。 社内全体の仕事のクオリティ向上につながります。 |
経営資産・戦略策定タイプ | これまでに蓄積したナレッジを分析し、会社の方針を決めることに特化しているタイプです。 より大量のデータを扱うのがこのツールの特徴です。 |
それぞれの特徴を把握し、自社に適したナレッジマネジメントツールを選ぶことが大切です。
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ナレッジマネジメントツールの主な機能
ナレッジマネジメントをより効果的に実施するために、ナレッジマネジメントツールには、さまざまな機能が備わっています。
代表的な機能を下表にまとめました。
機能 | 概要 |
ヘルプデスク(FAQ) | ある社員が出した質問に、他の社員で回答できます。 多くの人が参加することで回答のブラッシュアップが期待でき、新たな発見につながる可能性があります。 |
ファイル共有(ドキュメント・文書管理) | 業務に使用する書類・資料を一か所に整理できます。 新しいバージョンの資料もスムーズに見つけることが可能です。 |
マイニング・検索 | たくさんのデータの中から、すぐに欲しい情報を見つけられる高速検索ツールです。 |
グループウェア(情報共有) | 社員同士で情報を共有するためのツールです。 掲示板やメッセージなどを使って、成功事例・失敗要因などを共有できます。 |
eラーニング | 蓄積したナレッジをオンラインの教材として社員に提供できます。 教育コストの削減にもつながります。 |
ブログ・SNS | 社員同士で情報を交換するための内部ネットワークです。 気軽に情報・知識を共有できます。 |
自社で使用する機能に合わせて、導入するナレッジマネジメントツールを検討することも大切です。
ナレッジマネジメントツールを導入する利点
ナレッジマネジメントツールの導入にはさまざまな利点があります。
本章では、代表的な利点として、4つの内容をピックアップし、順番に解説します。
業務ノウハウを蓄積できる
ナレッジマネジメントツールを通じて、社員が仕事で得た知識や経験を会社の大切な資産として蓄積していくことで、業務のクオリティ向上につながります。
「あの人にしかわからない」や「私にはできない」といった属人化のトラブルを防止できるうえに、過去に誰かが行った業務や対応方法を別の社員が一から調べるといった無駄の削減にもつながるでしょう。
業務スキルを平準化させられる
業務の基本的な決まりや必要な知識をしっかりと共有しておくことで、知識不足から起こるミスや業務のクオリティのばらつきを防ぐことが可能です。
新しい社員の教育がスムーズになったり、業務の引き継ぎが容易になったりするメリットもあります。
システム連携によるデータ統合がしやすくなる
ナレッジマネジメントにおいて必要な情報を集める際、難しいのがデータをまとめる作業です。
データ統合を手作業で行うと多くの手間がかかりますが、ナレッジマネジメントツールを活用することで作業を効率化できる場合があります。
例えば、関連システムやサーバと連携しデータの収集・統合を自動的に行えるツールを導入すれば、ナレッジマネジメントをよりスムーズに行えます。
問い合わせ対応業務の削減につながる
「申請書の保管場所が分からない」や「前回の見積もりの内容が知りたい」といった社内での問い合わせを減らすためにも、ナレッジマネジメントツールは役立ちます。
ナレッジマネジメントツールを導入することで、各社員が社内の情報を検索し、自分で答えを見つけられるようになります。
リモートワーク時も情報を手軽に探せるため、働き方改革の推進にもつながるでしょう。
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ナレッジマネジメントツールを導入する注意点
ナレッジマネジメントツールにはさまざまな利点がある一方で、恩恵を得るためには注意して導入する必要があります。
本章では、導入時の注意点として代用的な2つの内容を解説します。
導入効果を実感しにくい
ナレッジマネジメントの成果は、営業成績のように明確な数値で示すことが難しい点にデメリットがあります。
また、情報を共有したスタッフへの評価やフィードバックが不足すると、彼らの情報共有の意欲が下がるかもしれません。
以上の理由から、ナレッジ共有に関して、成果をしっかりと評価・測定する方法を考える必要があるでしょう。
導入コストが求められる
ナレッジマネジメントツールを新しく導入する場合、費用がかかります。
Microsoft ExcelやGoogleスプレッドシートなど無料のツールでナレッジマネジメントを行うことも可能ですが、専用の有料ツールに比べると、管理に多くの手間がかかりやすいです。
ナレッジマネジメントツールを導入する際は、その目的を明確にし、費用対効果を見極めたうえでツールを選択する必要があります。
ナレッジマネジメントツールの効果を最大化するポイント
ナレッジマネジメントツールを上手く使うためには、まず社員がナレッジマネジメントの重要性を理解することが大切です。
ナレッジマネジメントツールを組織で活用するためには、「情報を提供する人」と「情報を使う人」という2つの役割が求められます。
ただナレッジマネジメントツールを導入するだけでは不十分で、社員に実際に使ってもらうための働きかけが大切です。
例えば、「情報共有を行う際はナレッジマネジメントツールを使用する」といったルールを決め、徐々に社員の間でナレッジマネジメントツールに触れる習慣を作っていくことが大切です。
上記に加えて、情報共有する文化を組織に作ることも重要です。
例えば、成果を上げている営業員の成功の秘訣や、効率的に業務を進める事務のコツなど、その経験を他の社員と共有してもらう意識を育てることが求められます。
そのためには、優れた情報を共有した社員を評価する仕組みを整えることが大切です。
ナレッジマネジメントツールの失敗しない選び方
前提として、自社の導入目的に適したナレッジマネジメントツールを導入することが大切ですが、それ以外にも押さえておくべき選定ポイントが存在します。
本章では、ナレッジマネジメントツールの失敗しない選び方として、4つのポイントをピックアップし、順番に解説します。
操作性が優れているか
ナレッジマネジメントツールを通じて、社員が積極的に情報を登録・活用するためには、優れた操作性が求められます。
操作が簡単なツールを選び、情報の登録や検索がストレスなく行えることが重要です。
操作が難しいものは避け、誰でもすぐに使えるようなシンプルなツールが最適です。
スマートフォン・タブレット端末に対応しているか
働き方が多様化する中、外出中や在宅での仕事でもナレッジマネジメントツールにアクセスしたいと考える社員は多いです。
ナレッジマネジメントツールには、スマホアプリで情報を閲覧したり投稿できたりするものや、どんなデバイスでもインターネットブラウザから使えるものがあります。
不明点が生まれたときに手持ちのスマホで情報を調べたり、研修動画を見たりできるツールであれば、在宅勤務のある会社にピッタリです。
スモールスタートで運用できるか
新しいITツールを導入しても、思ったほど良い成果が出ないというケースは珍しくありません。
むしろ、ツールの変更に伴い、仕事のルールや体制の変更が生じることで、混乱が起こることもあります。
そこで、ナレッジマネジメントツールは、いきなり全社で導入するのではなく、初めは一部のチームや支店のみで導入することをおすすめします。
そして、少しずつ全員が使えるよう広げていくと、スムーズに導入できるでしょう。
試験運用を行う際は、各ツールに設けられている無料トライアルの利用が望ましいです。
ツールを使った後の質問・意見をまとめ、それをもとに改良していけば、ナレッジマネジメントツールを使いやすい環境が整います。
セキュリティ対策が万全か
特にクラウドを用いたナレッジマネジメントツールを選ぶ際は、安全性をチェックすべきです。
ナレッジマネジメントツールでは、顧客情報や機密情報などを扱うためです。
これらの情報が外部に漏れないように、ベンダーがしっかりと安全対策をしているか確かめましょう。
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ナレッジマネジメントツールおすすめ3選
ここまでのポイントを踏まえて、ナレッジマネジメントを行う際におすすめのツールとして3つをピックアップし、順番に紹介します。
Lychee Redmine
Lychee Redmineはプロジェクト管理ツールのひとつですが、ナレッジマネジメントにも役立ちます。
Lychee RedmineにはWikiの機能が備わっており、プロジェクトのメンバーに共有したい情報を記載・保存しておけます。
マニュアル・手順書など、プロジェクトメンバーが必要な情報を記載し、プロジェクトのナレッジとして蓄積していくことが可能です。
過去のナレッジを蓄積し、必要なときにさかのぼって確認可能なので、対応に悩むことがなくなります。
また、メンバー間での共有が容易なので、組織内でナレッジマネジメントの考え方を浸透させやすいでしょう。
Lychee Redmineの機能と料金プランは以下のとおりです。
プラン | 月額料金 | 利用機能 |
フリー | 無料 |
|
スタンダード | 900円 |
|
プレミアム | 1,400円 |
|
ビジネス[無料トライアルはこちらをお試しできます] | 2,100円 |
|
フリープランは基本機能(ワークフロー・通知設定・ファイル共有・Wiki)とカンバン機能の限定された機能しか利用できませんが、有料プランはガントチャートをはじめプロジェクト管理に役立つ多くの機能が利用できます。
有料プランは30日間の無料トライアル期間を提供しているので、リスクなく始められます。
ぜひ一度お試しで使ってみてはいかがでしょうか。
flouu
出典:https://lp.flouu.work/
flouuは、社内に散在した情報を集約し、効果的なナレッジマネジメントを実現するクラウド情報共有ツールです。
ドキュメントをリアルタイムで共有できるうえに、各ドキュメントに対して直接チャットで意見交換できるので、オンラインで会議をするときにも便利です。
ドキュメントをラベル・フォルダできちんと整理できるほか、全文検索も可能なので、必要な情報をすぐに探せます。
flouuの機能と料金プランは以下のとおりです。
プラン | 料金(1ユーザーあたり) | 主な機能 |
基本料金 | ¥660/30日 | ・同時編集可能なテキストエディタ ・高機能なファイル管理 ・ファイルの中身も含めた全文検索 ・公開範囲を設定可能なラベル付け ・フォルダでの階層管理 ・ドキュメント単位でのチャット機能 ・詳細な公開範囲設定 ・ゲストへのドキュメント共有 |
セキュリティオプション | +¥550/30日 | ・基本料金プランの機能すべて ・IPアドレスによるアクセス制限 ・操作ログの出力 ・定期的なパスワード更新設定 ・シングルサインオン |
OCRオプション | +¥200/30日 | ・文字が埋め込まれていないPDFファイル(紙の書類をスキャンしたPDF等)をアップロードするとflouuが自動的に文字認識を行い、flouuで検索可能に |
Confluence
出典:https://www.atlassian.com/ja/software/confluence
Confluenceは、アトラシアンが提供するナレッジマネジメントツールです。
Wiki方式に対応しており、バージョンの管理・変更時の通知・情報の共有といった機能が揃っています。
75種類以上のカスタマイズ可能なテンプレートがあるので、きれいな文書が作れます。
また、プロジェクト管理ツールである「Jira」とも連携でき、ソフトウェアの開発計画と社内の情報を一緒に閲覧することが可能です。
Confluenceの機能と料金プランは以下のとおりです。
プラン | 料金(1ユーザーあたり) | 主な機能 |
Free | ¥0 | ・ユーザー10名まで ・最大2GBのファイル ストレージ ・無制限のスペースとページ ・アプリと統合 |
Standard | ¥690 | ・Freeプランの機能すべて ・50,000ユーザーまで ・250GB ・ユーザー権限 ・現地営業時間サポート |
Premium | ¥1,310 | ・Standardプランの機能すべて ・無制限のストレージ ・アナリティクス ・年中無休の Premium サポート ・99.9%のアップタイム SLA ・Team Calendars ・IP 許可リスト |
Enterprise | 要お問い合わせ | ・Premiumプランの機能すべて ・無制限のサイト ・Atlassian Access ・年中無休の Enterprise サポート ・99.95% のアップタイム SLA |
自社に適したナレッジマネジメントツールを導入し生産性を向上させよう
ナレッジマネジメントツールとは、社員ひとりひとりの知識・経験を会社全体で共有するためのツールです。
活用することで、ナレッジマネジメントをより効率的に進められるようになるでしょう。
ナレッジマネジメントツールを選ぶ際は、以下のポイントを意識することが大切です。
- 操作性が優れているか
- スマートフォン・タブレット端末に対応しているか
- スモールスタートで運用できるか
- セキュリティ対策が万全か
数あるナレッジマネジメントツールの中でも、Lychee Redmineの導入をおすすめします。
Lychee Redmineはプロジェクト管理ツールですが、ナレッジマネジメントにも役立ちます。
無料プランでもwikiの機能を利用でき、チームメンバーで共有すべき開発環境䛾作り方や業務フロー、ガイドラインなどを記載し、知識共有・情報共有䛾場として利用できます。
プロジェクト管理に役立つさまざまな機能を備えた有料プランも30日間は無料でお試しできますので、申し込みを検討してみてはいかがでしょうか。